連載『オスカルな女たち』
《 ギフト 》・・・6
(え…)
瞬間的に手を引っ込める。
ゴトリ…と鈍い音がしてデスクの上にまっすぐと落ちた。
「これ…」
仰天した眼差しを織瀬(おりせ)に向けると、そちらもそちらでどう表現していいのか解らないような表情で目を潤ませていた。
「こんなの、どうしたらいいの? 処分するにも…なにゴミ?」
確かに。
でもゴミ…?
「これって…」
真実(まこと)は再度包みを持ち上げ、完全に包装を剥がしきる。透明なケースに、お人形さんを飾るようにしっかりと固定されて梱包されたそれは、濃い緑色のまがまがしい姿をした〈女性用バイブレーター〉だった。
(ジャンボ金太郎…?)
なにやら陳腐なネーミングだが、パッケージには金の文字でそう書かれたステッカーが貼ってあった。丁寧だが手作り感が半端ないその様子は、その手の専門店のオリジナルということなのだろう。
「これを、結婚記念のプレゼントに…?」
「そう」
「立花さんが、あんたに…」
「そう…。しかも、それを開けたのは幸(ゆき)なの」
「げ…」
それはまた気の毒な…と、思わずその様子を想像して口元がゆがんでしまう。
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