やさしいたまご
ボクちゃんは、小学4年生。
なんでも4年生は、学校で飼っている鶏小屋の掃除を当番でするそうな。
「たまごがあったらもって帰って来ていいんだよ」
「えー食べたい」
鶏の大きさがどの程度かは知らないが、新鮮卵はありがたい。
「でしょー・・・でもね、今日は3つしかなかったの。
もうひとつあったらみんなもってこれたんだけど・・・」
なんでも、当番は5人一組で班編成されてるらしい。
今日はひとりお休みで、4人だったのだそうだ。
でも、たまごは3つしかなかったので、ボクちゃんは辞退したそうな。
「ごめんね。お母さん、食べたかったでしょ」
「お友達のために、我慢したの?」
「うん。ごめんね」
「いいよ。おかあさんは、違うたまごもらった気分だから」
「なんのたまご?」
「ボクちゃんのやさしい心のたまごをもらったよ」
ボクちゃんははにかんで笑った。
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