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うたかたの…

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短編…より短いかな。小話かな 詩…とか、心のささやきとか
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#詩

ヌマ

そこにいては行けないと知りながら そこから抜け出すことが出来なかった 懐柔されていた訳では無い そこにいることには自由意志だ 居心地が良かったのかもしれない そこにいる人たちはみな、自信に満ち溢れ 失敗を恐れない前衛的な集まりだった だから勘違いしたのかもしれない 自分にも可能性はあると・・・・ そこにいては行けないと感じるのは 他人に話をすると警戒されてしまうからだった そこにいる人たちはみな、堂々としているのに 活動そのものは何故か コソコソしているように見えたの

羽ばたき

わが子らの幼い頃の胸の内を知ると 心が痛まないことはない 大事に大事に、心健やかに そうあることだけを願っていた それでも 大人の詮無い言葉尻や悪気ないひとことが 幼い心の胸の奥深くを突き刺すことがある その都度取り除いてあげられたらいいけど ようよう上手いこと行かないこともあり 大人になって、言葉を知って、表現かなう頃に知る それがまた切ないことで・・・・ 幼きあの頃を癒してあげることは出来ずとも 寄り添いあの頃の傷を労ることは出来る? それで済む話では無いけれ

彼とわたしの間

彼とわたしの間に、特別な感情はない ただ、お互いを大事に想っているというだけ 彼とわたしの間に、肉体的な結びつきはない ただ、友だち以上の信頼関係が存在するだけ 彼とわたしの間に、将来的な約束はない ただ、必要な時にはすぐに連絡をとれるというだけ 彼とわたしの間に、障害はない ただ、それ以上もそれ以下もないというだけ 彼とわたしの間に、秘密はない ただ、すべてを話せる関係であるというだけ 彼とわたしの関係に、形はない ただ、ふたりの関係をあらわす言葉がないだけ

ことのはの森

負けないからね

欲のないあなたが憎らしいと思った だって、だれだって欲しいものはあるはず なにをおいても手に入れたいと思うもの そうね、わたしの欲しいものが あなたのそれと同じであれば これほど嫉妬もしなかったのでしょう 謙遜する姿こそに殺意を覚える 顔も知らないあなたにそこまでの自分が可哀想ね だって、負けを認めているようなものだもの そうよ! 負けてるわけじゃない ただ少し価値観が違うから、イライラするだけ だからこれこそ無駄な感情、無駄な時間 欲のないあなたが物欲しそうにすると

夢遊病

暗闇の中では枯葉を羽と見間違えるほど、空気に色がない カサカサと気忙しい足元は、なにか噂されているようで落ち着かないが 指の間に食い込むものの正体を、この際探りたくはない 自然の音は安全なはずなのに、静寂が全身を耳にする なにかがつけてきているような、気配に追いかけられているようで それは「幻影」と解っていても、孤独がそれを否定する 刺さるような視線を浴びているのは、ここでは自分も小動物だから 神経質に己を殺して潜むより、棘のような威嚇を身にまとい 本来の姿よ

めざめ

始まりは、小さな吐息から・・・・ もしくは、偶然できた泡 わたしは生まれた まだ形はない。ただ在るだけ わたしは在る、または居る なんらかのアクションで動き出す 少しずつ変形して、大きくなって、殻を破って 真っ暗闇で蠢いて、形を変えて伸びていく どこに? 目指すところはみんな違う だれひとり、なにひとつ、同じものはない 明るいところに向かっていく なんのため? 注目されたいのか、傍観してほしいのか、 だけど時間だけは平等で、それがいちばん不公平でやりきれない

ここはどこ そこはどこ ここはあなたのいる場所 そこはわたしがいない場所 ここはどこに続いているの? そこはどこに続いているの? だけどどちらも円の中、多分おなじところなのでしょう なのにここでは不安になるの なのにそこでは不安になるの あなたもわたしも迷っているの? ここはそこにもつながっていて そこはここにもつながっていて あなたもわたしも存在してる だけどなぜだか不安になるの いつまでもそれが払えない、離れない それが在るってことかしら・・・・ ここはわたし そ

心がざわついて、落ち着かない時は、 無性に誰かと話をしたくなる だれ・・・・というわけではない誰か 誰でもいいわけではないけれど 声が聞きたい なにを話したいというわけでもなく、 ただもやもやとしたものを解消したい 承認欲求なんだろうか? なにを求め、なにを認められたいのか… 不確かな、自分の置き場に困る ひとはなんのために在るのか ひとはなんのために生まれて来たのか ひととして、在るのは役目があるから ひとの親になって解るのは、自分以外のしあわせ 会いたい思いだ

心がざわついて、 眠れない夜は思い出す 自分がちっぽけで無力なのだと・・・・ 自分の人生と自分以外の人生が重なり 自分の生涯以上に大切にしたいと思ったとき 喜びと同時に怖さを知った 1日24時間 自分ひとりの分もうまく使いこなせている気がしないのに 個人の生き様に責任を持ち、 且つその何分の1かを担うことが出来るだろうか ある意味それは奢りで、おそらく大半がエゴだ だが焦がれて止まない、愛おしさに理性は勝るか それとも壊してしまうのか・・・・ 叶うことなら放っておきた

あぁ、いつも求めてしまうのはわたし あなたの自由を守りたいのに すぐに名を呼んでしまう 宿命だとか、天命だとか、 そんなもに逆らいたい ただただ自由に、大きく羽を広げて わたしはあなたの帰る場所 だれにも邪魔できない絆 わかっているのに縛ってしまう 時にその羽を手折って傷つけるほどに あぁ、閉じ込めてしまいたい あなたの自由を望んでいながら すぐに手を伸ばしてしまう 運命だとか、人生だとか、 すべてを支配したくなる ただただ愛おしいだけなのに いつもあなたの幸せを願

また、泣かせた また、泣かせてしまったようだ いちばん守らなければならないのに いちばん守ってあげなきゃならないのに 大事にしてきた 大事にしすぎた わたしという「疵」が苦しめる わたしの存在が妨げになってしまう いじめたいわけじゃない 突き放す、引き戻す、通り越す思い あなたの心を 真綿で包んでしまっておきたい 大切なあなたの心 大事にしまって、閉じ込めてしまいたい 愛しいことには変わりないのに いつまでもはじめての頃の独占欲が支配する 涙は鎖のようになり、

火の消えた恋

来ない電話を待っているほど長い時間はない 今夜もやはり、彼の車のエンジン音はしないし、電話もならない つらく、とても苦しい でも決して、さみしいとは言いたくない それはあまりにむなしすぎる…わたしの気持ちがかわいそう 彼は今、なにをしているのだろう 彼は今、なにを考え、誰を想い、どこにいるのか わたしと一緒でないことだけは確か… 別に悲劇のヒロインになりたいわけじゃない でも、彼がまだ、わたしを想っていると信じたい 叶わないと知っていても… 煙草に火をつける…むせる

一方通行

ケンカした でもケンカにならない ケンカにならないから、イライラする だから、悪いのはいつもわめいてるあたし 落ち込む前に、反撃して見せろよ 困らせたくないのに  そう思っていても、 無理なことは言えないと解っていても、 抑えきれないわがままと、 いとしさのジレンマ 傷つけてる でも謝らない 優しいにもほどがある ばか、の~天気 日頃の言葉の足りなさが、 いつもあたしを惨めにする もう少し、気の利いたこといえないのかしら まったくボキャブラリーが足り