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うたかたの…

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短編…より短いかな。小話かな 詩…とか、心のささやきとか
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#彼

彼とわたしの間

彼とわたしの間に、特別な感情はない ただ、お互いを大事に想っているというだけ 彼とわたしの間に、肉体的な結びつきはない ただ、友だち以上の信頼関係が存在するだけ 彼とわたしの間に、将来的な約束はない ただ、必要な時にはすぐに連絡をとれるというだけ 彼とわたしの間に、障害はない ただ、それ以上もそれ以下もないというだけ 彼とわたしの間に、秘密はない ただ、すべてを話せる関係であるというだけ 彼とわたしの関係に、形はない ただ、ふたりの関係をあらわす言葉がないだけ

”彼”

ずっと下書きにあって、最終話が2年越しになってしまった・・・・ まとめておきます 第一話 第二話 第三話 第四話 最終話 ホントはもっと書きたかったけど、キャパオーバーでした

”彼”の事情~粧子side

「ねぇ、あなたのお友達、そろそろ留学先から帰って来るんじゃない?」 「そうなんだよなぁ…住むとこ決めないと」 「私のところにくる?」 「なんで?」 「なんでって…。ねぇ、私あなたに一度聞きたかったんだけど」 「あ、俺も」 「な、なに?」 「なんで俺たちいつも一緒にいないとなんないわけ? 別にいいんだけどさ、お前といるとみんな遠慮すんだよな」 「なんでって…そりゃ邪魔しちゃ悪いと思って遠慮してるんでしょうよ。ていうか、当然じゃない? 私たちつきあってるんだから」 「え、俺らって

”彼”の事情~おたおside

「月がキレイだな」 奏詩先輩が、空を見上げてそう言った。 これは、あれだ。文学的に答えねばならないやつだ…と、何故か咄嗟にそう思った。だけど、 「死んでもいい」 とは、答えられなかった―――― 「奏詩先輩、彼女と別れたんだってよ」 食堂で必死にレポートの仕上げをしていた昼休み、突然そんな言葉が耳に飛び込んできた。 「へぇ…でもなんとなく、先輩いつも退屈そうな顔してたしな」 「だって、この大学始まって以来の首席カップルだぜ!? キレイで頭いいだけで、ほかになにが必要なんだよ」

熱視線

わたしが素晴らしい発見をして心豊かにスキップした日、 その日は彼の誕生日だった 初めて一緒に帰ったあの日、ドキドキして未来を想像していた その夜彼は、わたしではないひとを想っていた なんの変哲もなく過ぎた一日の最後、眠れなくて星を仰いだ その日初めて、彼の涙を見た 同じものを見たくて、同じ方向に目を向けた その先には彼の想う人がいた どうでもいいと思っている相手と話すわたしを見て、 わたしはそいつが好きなのだろうと、わたしの好きな人はいつも勘違いする やっとの思いで