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来ない電話を待っているほど長い時間はない 今夜もやはり、彼の車のエンジン音はしないし、電話もならない つらく、とても苦しい でも決して、さみしいとは言いたくない それはあまりにむなしすぎる…わたしの気持ちがかわいそう 彼は今、なにをしているのだろう 彼は今、なにを考え、誰を想い、どこにいるのか わたしと一緒でないことだけは確か… 別に悲劇のヒロインになりたいわけじゃない でも、彼がまだ、わたしを想っていると信じたい 叶わないと知っていても… 煙草に火をつける…むせる
「あまり、ひとにメアドを教えたくないの」 「なんでですか?」 「待ってしまうから…」 「いいじゃないですか、いくらでも送ります」 「でも、重要じゃないメールは、いらないわ」 「なぜ?」 「あまりメールは得意じゃないから」 「はぁ…じゃ電話の方が?」 「顔も見えない人と、本音で話ができる気もしない」 「文字よりは言葉の方が、真実味があるのでは?」 「だけど、親しくなったら会いたくなるわ」 「そうなったら会えばいい」 「ほらね…そうやって…結局待ってしまうのよ」 「僕は待