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うたかたの…

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短編…より短いかな。小話かな 詩…とか、心のささやきとか
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2018年12月の記事一覧

空の鏡

月のことをそういうらしい なるほど、三日月の暗い部分はそういうことかと解釈する 雨降りお月さんという童謡がある お月様は女性らしい お嫁に行くときはひとりでから傘をさしていくという 傘がなければ、鈴の付けた馬に揺られていくという いったい誰に嫁ぐのか・・・?

その時彼は・・・

わたしがのんびりテレビを見ながら転寝をしていたあの日、 その時彼は自分の命を絶っていた わたしにとってなんでもない意味のない日、 その日は彼の命日になった 彼が歌う、孤独としあわせが入り混じった日々 その時彼は他人を想い自分を憂いていた こんなにもわたしたちが彼を求めていることを知った日、 その時彼は時の人になっていた 生まれてくるとき人は「おめでとう」と言われるが、 星になる時も「おめでとう」なのだろうか・・・ わたしは星になったあなたに「ありがとう」と言いたい

わたしは地球、あなたは宇宙

そんな風に 愛されたい わたしの 居場所は ずっと ここ なの 大きなあなたに 抱かれ たゆたう わたしは 地球、あなたは 宇宙 なにが 起きても 安心 ね わたしは ずっと ここに いる 大きなあなたに 守られ たゆたう わたしは 地球、あなたは 宇宙 いつでも ここに いるからね そんな風に 愛されたい そんな風に 眠りたい そんな風に 愛したい

世が世なら

 わたしの母方の生家は、昔から代々続く由緒ある家柄で、いまだ跡取り問題で親戚中が神経をすり減らす風習が続いていた。  今現在は母の弟である長男〈源一郎(70)〉が当主を名乗っている。源一郎には息子が三人おり、次の当主は当然長男〈源太(40)〉となるのだが、源一郎の正妻に対する仕打ちに腹を立て家を出た切り戻っていない。しかも彼は相続放棄の手続きを済ませ本家との縁を切ったという噂がある。次男〈郷太〉は幼くして病死、三男〈甚太(34)〉はなにをしたのか服役中で、当然ながら除外。源一