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うたかたの…

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短編…より短いかな。小話かな 詩…とか、心のささやきとか
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2018年8月の記事一覧

あぁ、お父さん

わたしはあなたのプリンセス。わたしはあなたの自慢の娘「おねえちゃん」 短気も冷たさも、隠れた優しさも、みんなあなたがくれたもの いなくなってから2年、まだ実感がない 時々ぐっときて、熱いのが目のうらっかわまで来るけど、涙は出ない まだまだ実感がわかない。どこかにいる気がする。いや、心の中でなくて なんだろう。いつまでも、いつまでも、「お父さん」って呼べると思ってた 「はいよ」「なんだい?」って答えてよ。「おねえちゃん」って呼んでよ 「お父さん、死ぬんだ」って、あ

わたしをみて

「なかなかよさそうな人じゃない」 どこにでもありそうな狭いBarのカウンターで、折れそうなほど細っこい肢体を揺らしながらグラスを磨いている、昔好きだった男に今つきあっている彼氏を引き合わせたときの感想…が、これだった。 「わたしはあなたと泥沼のような恋がしたかった」 そう言ったらこの男はきっと失笑し『まさか』と笑うだろう。そのくらいわたしとこの男は年の差がひらいている、憎らしいほどかわいい男。 「彼ならきっといっちゃんのこと大事にしてくれるよ」 年下なのにこの上からの物言い