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うたかたの…

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短編…より短いかな。小話かな 詩…とか、心のささやきとか
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2018年5月の記事一覧

雪どけの春の日に

彼は、いつもニコニコ笑っていた。 時代も時代なら、田舎町の学校に、支援級はなかった。 だから彼は、一日の授業のうちのほとんどを保健室で過ごしていた。 だけど誰も彼のことを気持ち悪がったり、仲間はずれにしたりする者はいなかった。 田舎は、いろいろと遅れている部分があるかもしれないが、そういうところは遅れていてもいいと思った。 遅れているから「いじめ」がないのかといえば、そういうわけではない。 家族ぐるみ、学校ぐるみ、地域ぐるみで子育てをするような土地だったので、みん