「個」の重要性について

人が生きていく上で必ず起点となるもの。それが「個」。故にその内情を知っておくことは、人生における最重要事項と言える。

なぜなら、自分を知らなければ満足に人生を送ることもままならないから。

これから空へ飛び立とうとするパイロットが自身が操縦する航空機の仕組みも知らないで、無事に目的地へ辿り着けるだろうか。

不可能。途中で操縦不能になって墜落するのがオチだろう。

「個」を知るとはこれと全く一緒である。

さて、そんな大事な「個」とは具体的に何を指すのか。

「個」を構成する要素はいくつか存在する。以下はその中核を成すもの。

・人生観
・価値観
・能力(強みと弱み)
・成熟度
・社会性

 etc….


全てを書き切ることは出来ないが、ざっとまとめるとこんな感じ。

要するに、

「自分はこう生きるんだ」という人生の羅針盤を作り、自分自身の価値基準で物事を判断し、自分自身の能力を理解した上でさらに向上させ、一人の人間として、または社会の一員として成熟する。

それらの条件を満たすことで初めて「個」を知った。つまり、「個」を確立した状態と言える。

「個」を確立した人間は他人に流されることもなければ、判断にも迷わない。なぜなら自分という人間を隅々まで理解しているからだ。


『孫子』の作者は「彼を知り己を知れば百戦殆からず」と云った。

まさにその通りで、さらに言えば「個」を知ることによって生存戦略における判断の誤りもグッと少なくなるだろう。

もちろん(パイロットを例にすると、天気や空を指すだろうか)を知ることも同じくらい大切。


反対に「個」が確立されていない、もしくは「個」が未熟な人間は他人に流されることが常であり、判断にも迷ってしまう。

というか、自分で決断することもできなかったりする。退職代行なんてその心理をうまく逆手に取ったビジネスと言えるのではないか。

「個」がないとは要するに自分軸がないと言っているわけで、それはすなわち判断が全て他人に左右されるということに他ならないわけだ。


残念なことに今の社会には「個」として成熟した人間はほとんど存在しない。

なぜ、いないのが分かるかって?

いたらすぐに分かるから。彼らは存在感に満ち溢れている。

彼らの特徴の1つとして、自分自身を完全に理解しているためにブレない軸を持つ

「ここだけは譲れない」
「これが自分の使命だ」
「これは自分がやるべきこと」
「これは死んでもやりたくない」

というように。


いわゆる信念と呼ばれるもの。

そんな信念は一貫した態度となって表面に現れるため、周囲は「あの人は本当に筋が通っている」という印象を持ちやすい。

ゆえにいたらすぐに分かる。


もしかするとひと昔前ならそういう人間もたくさんいたのかもしれないが、今の時代にはほとんどいない。

あまりにもいないので、いまや絶滅危惧種に指定された。

ただ、そういう本当の意味で「個」のある人間が増えなければ、自身の幸福の実現のみならず、社会の発展もあり得ないと私は考えている。

以上。


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