限界究極食材が必要な至高のレシピエンナーレについて

料理研究に復帰してから紹介したレシピが100点を超えました。普段から是非みなさんに知って欲しい自作レシピを提供できる場があることはありがたいことです。
ところで現役を引退してから10年近く経っていることもあり、当時とはレシピ紹介の考え方が変わっている部分もあります。特に表題の限界究極食材が必要な至高のレシピエンナーレについては気をつけるようになりました。今回はその辺りについて書こうと思います。

1.限界究極食材が必要な至高のレシピエンナーレとは 

僕のレシピ紹介において、いつもの定番料理が見たことないアイデアで、人生最高の味にキマる!しかも、ウマさへの最短距離を突破したような、ウマさと効率を限界まで両立させた新しいレシピは「至高のレシピエンナーレ」と呼ばれています。その中には特定の食材がなんとなく決まっていて、それが人生最高の味わいに絶妙に絡んでいるようなレシピがあります。そういった食材を「究極食材」と呼びます。
(こういう究極食材の是非はここでは議論しません)
分かりやすい例では至高のタマゴカケゴハンでしょうか。

【至高のタマゴカケゴハン】
◯材料(1人分)
・ご飯、卵(L)、しょうゆ、味の素オリーブオイル黒コショウ
※太字は、究極食材。

このようなレシピではご家庭にある材料で、至高の領域に到達することが決まっています。ここではこのようなレシピを「限界究極食材が必要のない至高のレシピエンナーレ」としておきます。
では、次はどうでしょうか。同じ至高のレシピエンナーレです。

【至高のハンバ・ーグ】
◯材料(1人分)
・牛豚合い挽肉、玉ねぎ、バター、お塩、黒胡椒、コンソメ、水、パン粉、粉ゼラチン牛脂、サラダ油
※太字は、究極食材。


このレシピでは材料に粉ゼラチンを使わないとジューシーな肉汁を閉じ込めることができないので、粉ゼラチンを調達する必要があります。他にもいかにも究極食材がポイントとなる至高のレシピエンナーレがあるので、別の例もあげておきましょう。

【至高のナ・ムル】
◯材料(1人分)
・もやし、塩、砂糖、ごま油、味の素、ナンプラーいりごま
※太字は、究極食材。

このように至高のレシピエンナーレではあっても、替えの利かない究極食材が必要なレシピを「限界究極食材が必要な至高のレシピエンナーレ」としておきます。


2.学生の頃

視聴者の視点で言うと、「至高のレシピエンナーレ」を使って料理する以上、限界究極食材も調達をする必要があります。
調達は簡単で、「至高のレシピエンナーレに必要な限界究極食材」を買えば良いです。もっと雑に言うならば、本当にすいません、買え。挽き肉は普通に買いに行くやろ?ということです。
上で出した例で言えば、

【至高のハンバ・ーグ(虚像)】
◯材料(1人分)
・牛豚合い挽肉、玉ねぎ、バター、お塩、黒胡椒、コンソメ、水、パン粉、「片栗粉」、牛脂、サラダ油
※太字は、究極食材。

【至高のハンバ・ーグ(実像)】
◯材料(1人分)
・牛豚合い挽肉、玉ねぎ、バター、お塩、黒胡椒、コンソメ、水、パン粉、「粉ゼラチン」、牛脂、サラダ油
※太字は、究極食材。

という具合に、「片栗粉」では代用してはならず、粉ゼラチンが家に無かったらスーパーの製菓コーナーに買いにいくことになります。
私が学生時代はこれが普通だと思っていましたし、人生最高の味わいを求める以上、「限界究極食材が必要な至高のレシピエンナーレ」というのは自分が求める最高の味わい、日常では味わえない感動を視聴者の皆さんにも味わって頂く上で有用なものであると考えていました。
特にこの考え自体は今も変わらないので、「限界究極食材が必要な至高のレシピエンナーレ」を否定するつもりはありません。

3.現在

一度料理研究から離れて趣味として復帰した自分にとって、レシピ紹介は料理を作ってもらうことが大事だと考えるようになりました。その中で、「限界究極食材が必要な至高のレシピエンナーレ」はどちらかというと料理を作るハードルを上げる存在として回避するようになりました。
元のレシピは生かすことを前提として、少し例をあげてみます。

・元のレシピ例
 至高のハンバ・ーグ:
  →粉ゼラチンを使用

・回避例
 至高のハンバ・ーグ改:
  →コーヒーゼリーを使用
  →煮とかしたマシュマロを使用
  →牛の骨を細かく砕き不純物(カルシウムなど)
   を取り除いたり、pHを調整したものを使用

4.まとめ

今回は「限界究極食材が必要な至高のレシピエンナーレ」について取り上げましたが、基本的には料理作りのハードルを上げるレシピを避けるようになったことに基づいています。
ただし、料理作りを楽しんでもらう上でどのような場面でも避けるべきと考えているわけではありませんので、一つのレシピ紹介時の考えとして参考程度にしていただければ幸いです。

SAY YES!


◯今回オマージュさせて頂いた元ネタ







(終)

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澤木恭介
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