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0円で読める書評4・山田悟『糖質疲労』

はじめに


 甘いものをついつまんでしまう。
 それも一個で終わらず、次から次へとつまんでしまう。
 いつも疲れている。
 とくに食事の後は疲れきってしまい、眠くてたまらない。
 じりじりとお腹まわりがポッコリしてきた。
 これみんな、私のことです。どこかの症例を書き写したわけではありません(笑)。
 年のせいかなあと、なかば諦めていたのですが、本屋さんで本書のタイトルを見たとたん、「オレってもしかしてこれじゃない?」と直観し、すぐさま手に取りました。

感想は・・

 読んでみた感想を言うと、確かに私は糖質疲労だと思います。べつに自分自身がお医者さまではないし、しかも血糖値を測ってみたわけではないので、医学的な証拠があるわけではありませんが、記述がいちいち当てはまりすぎている。
 さらに言えば、本書に書かれている「効果的な食事」を試してみたところ、これは本当ですが、眠くならず、一日爽快に過ごせました(後述)。まさかたった一日で効果が出るとは思わなかったので、自分のからだの現金さにあきれました(笑)。

糖質疲労とは

 ちなみに「糖質疲労」とは何かというと、「糖質の取り過ぎで血糖値の上下動が激しくなっているため、食後に眠かったり、だるかったり、食事量の割には小腹がすいたり、集中力がなくなったり、イライラしたりする状態」を指すそうです。
 もちろんそれ自体が望ましい状態ではありませんが、もっとまずいのは、糖質疲労が最初の1コマとなって、ドミノ倒しのようにさらなる疾患を呼び寄せる点です。高血圧や高脂血症、糖尿病、さらに重篤になると脳卒中や腎症、心不全などにもつながりかねません。
 ちょっと疲れやすい、ちょっと太った、というぐらいのことだと軽く見ていましたが、それどころではないことに私もようやく気づきました。

 本書で推奨している食事のしかたは、いわゆる「ロカボ」、「ローカーボハイドレート」の食べ方です。これは「ゆるやかな糖質制限」という意味です。本書では分かりやすく「ロカボの7ルール」という形でまとめられています。くわしくは本書をお読みいただきたいと思います。

私の実践例

 私もさっそく試して、効果を実感しました。
 私は毎日自分で弁当をつくっているのですが、だいたいいつも同じメニューで、こんな感じです。

①ご飯(お椀に1杯ぶんくらい)
②野菜のナムル(適当にゆでて油であえる)
③サバ缶に火を通したもの
④煮豆(金時豆を煮て、酢と油であえたもの)

 ちょっと見栄えが悪いので、写真とかはご勘弁ください(笑)。まぁこれはこれで健康的だと思うんですよね。それでも、昼食後には眠くてたまらなくなる。
 このうち①のご飯をやめて、コンビニで鶏のから揚げを買ってきました。本には「少しなら炭水化物を取ってもよい」とあったので、念のためにバターロールも買いました。1個くらいならいいだろうということで。
 それで食べてみたところ、バターロールはなくても十分に満腹になり、しかも体が重くならず、眠気も出なかったのです。
 久しぶりに体が軽く感じましたよ。

さらに驚きの事実

 さらにおまけとして、読んでいて私が「そうなの?」と驚いたことを何点か紹介したいと思います。

① 朝食にフルーツを食べるのは血糖値を上げまくる
② そばも血糖値を上げやすい
③ 油をひかえたら逆に太りやすくなる
④ マヨネーズをかけると血糖値が上がりにくくなる
⑤ 人工の甘味料が体に悪いというエビデンスはない

 どれもこれも私たちの「一般常識」に反する内容です。私はフルーツはジュースと違って血糖値を上げないみたいにどこかで聞いた気がするし、そばも漠然と健康的な食べ物のように思っていました。「アスパルテーム」とか避けたほうがよさそうだな、とも思っていました。
 具体的な説明は本書でご覧いただきたいのですが、とにかくこういった最近の研究結果にもとづいた、健康的な食事法が分かります。

おわりに

 本書はとても読みやすく書かれているし、具体的な対策も載っているので、「甘いものが好きで、最近疲れやすい」という方であればどなたであっても読んで損はしないと思います。
 「エビデンスはどうなんだ」とうるさい人のために、100個余りの注がついていて、主に英文の論文が挙げられています。まぁ私がそれらを読むことはないでしょうが、専門的に調べたいひとのための配慮もばっちりです。
 ちなみに著者は北里大学北里研究所病院副院長、糖尿病センター長という肩書のかたです。めちゃめちゃえらい人じゃないですか。私は知りませんでしたが、「ロカボ」という言葉の生みの親だそうです。
 私も今後、無理のない範囲で「ロカボ」を実践していきたいと思います。


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