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[じくミレのコツ](横浜国立大学研究室 石田喜美先生)「ファシリテーターの設置と研修」


■お名前

横浜国立大学教育学部学校教育専攻・国語領域・石田喜美研究室

■どこで遊ばれましたか

  1. 横浜国立大学大学院教育学研究科教育実践専攻・授業「国語教育方法論講義Ⅰ」(授業当日のレポート:https://kimilab.hateblo.jp/entry/millet )

  2. 横浜国立大学教育学部公開講座「アートを見ること・語ることで言葉を育てる」(講座概要:https://www.ynu.ac.jp/hus/edu/29450/detail.html )

  3. 水戸芸術館現代美術センター「アートセンターをひらく 第Ⅱ期」内自主練(こちらにレポートされているのは「ZENタイル」のみですが、この打ち合わせ時にスタッフ同士で「じっくりミレー」を遊びました https://kimilab.hateblo.jp/entry/kakubu201912

■遊ばれた感想

  1. 詳細については、こちらのブログ記事のレポート
    https://kimilab.hateblo.jp/entry/millet )をご参照いただければと思いますが、小学校教師経験者の方から「自分自身も、1・2年生の図工の授業で、関連する試み(単元名は「じっくりミロ!」でミロの絵画の中の要素について「これは何だと思うか?」をみんなで考える授業だったということでした)を行ったことがある」という感想をいただいたことが印象的でした。神奈川県内にあるいくつかの自治体では、アートカードを使用した小学校・図工科の実践が広く行われているように思います。たとえば私の大学が所在する横浜市の小学校では「国立美術館アートカードセット」、川崎市では岡本太郎美術館の開発したアートカードセットを用いた図工科での鑑賞教育が行われています。しかしアートカードを用いた試みは、みんなで同じ作品をともに観るという経験に結びつきにくく、作品の言葉化を促すには最適だけれども、いっしょに何かをじっくり見る対話型鑑賞的な試みとは少し距離があるような印象です。「じっくりミレー」はそのような意味で、「アートカード」が得意としない、「一緒に見る」活動を実現してくれるように思いました。

  2. 高校生対象の公開講座で実施しました。当日は、美術領域への進学に関心のある高校生と、国語領域への進学に関心のある高校生が混在していましたが、その両者の学生がともに楽しみながら、それぞれの個性的な解釈を披露することができており、アイスブレイクや関係づくりのツールとして、とても有用であるという感想を持ちました。公開講座に集まる高校生たちは、ほぼみんな初対面で、しかも、関心ある領域もわかれていたので、ふだんあまり出会わない人たちであったようですが、その人たちが自然にコミュニケーションをしあい、笑いあっている姿を見て、「じっくりミレー」が有する、人と人との関係づくりの力を感じました。

  3. 美術館での鑑賞教育の実践家数人でのプレイでした。鑑賞教育に関心のたかいスタッフ同士が、有名絵画を素材に「じっくりミレー」をプレイすることによって、どんなに美術館に通いなれている人びとであっても、その見方は決して一様でないことを実感することになりました。そのような意味では、美術館のスタッフやボランティアの皆さんで集まって遊ぶことによっても、発見があると思います。私自身が、美術館での鑑賞教育に関わっていて思うのは、鑑賞教育に長年関わればかかわるほど、定説とは異なった感じ方を表明することが難しくなってしまうということです。「じっくりミレー」はそういう意味では「単なるゲーム」「単なる遊び」であるという体裁をとることで、今までは表明しにくかった感じ方や見方を言いやすい雰囲気をつくってくれるように思います。

■コツやアドバイス

  1. ファシリテーターの設置と研修:
    「じっくりミレー」を、ただ、知人・友人同士で遊ぶだけであれば、すでにお互いの関係性もできているのでそれほどトラブルになることはないのですが、美術館のプログラムや講習などで人を集めて行うときには、1グループに1人くらいファシリテーター(ゲームマスター)を置いたほうが良いと思います。(「じっくりミレー」はかなりルールが単純化されているほうですが、それでも、ゲームに慣れていない人はどうしてもはじめ戸惑ってしまうので、初心者が集まるワークショップや講座では、各テーブルにファシリテーターを置くことができるとよいです。)
    ファシリテーターは、いろいろな人たちが持ち出すびっくりするような解釈を、一緒に楽しく面白がってくれる人であればだれでもよいのですが、どうしてもいろいろな人が集まる会だと、だれかの表明した解釈に対して「えーー」などと、ネガティブな反応を返す人もあらわれることがあります。
    そのため、もし可能なのであれば、事前にファシリテーター研修のようなものを実施することが有用だと思うのですが、そのときには、「じっくりミレー」を一度遊んでみるということはもちろんのこと、その前にウォーミングアップとして、東京都写真美術館「色と形と言葉のゲーム」(https://www.nadiff-online.com/?pid=149909955 )を使ってみることが有用だと考えています。
    「色と形と言葉のゲーム」には、ファシリテーターの心得のようなものも書いてあるので、はじめに「こういうことが大切ですよ」と周知しておくことができますし、このゲームそのものも、「絵画」というストーリー性があるものに入るまえの手前で、「色」「形」だけでも人の感じ方がいろいろであることを経験できる素材になっているので、大人たちだけのスタッフ研修の入り口としては使いやすいと思います。

  2. 「鳥獣戯画」の扱いを工夫する
    授業や講座などで遊んでいて気付いたことのひとつに、「鳥獣戯画」のプレイ体験がけっこう二分化されるということがあります。「鳥獣戯画」だけに、漫画やアニメでも見られるような記号的表現があり、「だから全然解釈がわかれなかった」というチームもあれば、「西洋絵画よりも、解釈がわかれた」というチームもあって、驚かされます。ですので、プログラムの流れとしては、まずはじめに西洋絵画を対照に、ルールを全体で共有しながら、プレイしてみたあと、2周目には、自分たちのグループで西洋絵画を1つ選んでプレイしてもらう、3番目くらいに「鳥獣戯画」でプレイしてもらう…というような感じで進行したりしていました。
    こうすることで、「こんなに絵画によって、解釈の別れ方が違うんだ」ということを体験するのも参加者にとっては面白いことのようです。

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https://note.com/guchi_fukui/n/ne76557395fe0


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