内科医律 vol2
クリスマスイヴの夜🌃 その2
夜勤のナースらとのささやかなクリスマスパーティをすることとなり、当直の医師にも声をかけようということになり当直室へと向かう律。
先程と同様に真っ暗な廊下の一番奥の部屋からはまだ灯りが洩れていた。
律がドアをノックすると中から声が聞こえる。
「あ、はい、どうされましたか?」
「こんな時間にすみません、医局長の神宮寺律と申します。実は夜勤ナースにクリスマスケーキを差し入れたのですが、先生にもお声をかけようと言うことで参りました」
「えっ!どうぞお入りください!」
中から聞こえる声はややハスキーな感じながらも張りのある声であった。
「失礼します。初めまして神宮寺です」
「こちらこそ初めまして
清宮麗華と申します」
初めて会う彼女は細身のスタイルで赤いハイネックのニットにスキニージーンズを履き、その上に真っ白い白衣を羽織って律を出迎えた。年は30才前後だろうか。
「クリスマスイヴの夜に病棟にケーキの差し入れだなんてお優しいんですね!」
「まぁこの日に夜勤を引き受けてくれている子達なのでせめてそのくらいはと。。」
「私もその優しさを分けてもらえるんですねw じゃあステーションまで行きましょう、先生の病棟は?6階ですか?そこなら昼間に1つ指示出しがあって行ってたんです。」
麗華はむしろ律を誘導するかのように足早に部屋を出る。
それについて行くように律も部屋を出る。
ナースステーションまでは真っ暗な廊下を戻り、その先のエレベーターで6階まで上がる事になる。二人はしばらく無言のまま歩いていたが、エレベーターの扉が開くとおもむろに麗華が口を開く。
「今日は朝からこちらの日当直だったので今年はクリスマスらしいことは全くないなと思っていたのでほんと嬉しいです🎂」
「先生はここに来るまではどなたかとお食事とかだったんですか?」
唐突にプライベートの質問をされて若干驚きながらも、特に悪びれた様子もなく無邪気に聞いてくる麗華の口調に律は嫌な気はしなかった。
「今日は趣味のゴルフ仲間での食事だったんです、銀座で焼肉パーティでした」
「先生ゴルフされるんですね⛳
ということは今日は誰かと二人でのデートではなかったということですねw」
麗華は少しだけ笑みを浮かべて律を見つめる。
その質問には答える間もなくエレベーターは6階に到着した。
既に消灯時間を過ぎた病棟の廊下も薄暗く、二人はナースステーションのへ向かう。
to be continued