Dr.Dske

医師、競技ゴルファー、血統(血糖)評論家。 世の中の常識にとらわれ過ぎないように日々生…

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医師、競技ゴルファー、血統(血糖)評論家。 世の中の常識にとらわれ過ぎないように日々生活しているつもり。

最近の記事

導き (内科医律Vol22)

2024年 8月 東京も例年にも増して暑さの厳しい夏を迎えていた。 律はここ数年夏休みらしい夏休みも取る事なく働いていたが、今年は思うところもあり1週間の夏休みを取ることにしていた。日曜や祝日を合わせると実質10日間の長期休暇となった。そんな夏休みを直前に控え病棟で仕事をしている律に話かけてきたのはいつも飲みやらご飯やらを共にする看護師の宮野瞳だった。 瞳「先生明日から夏休みなんですねぇ、どこに行くんですかぁ?」 律「久々に長く時間が取れたから一人で車で関西方面をまずは

    • 暑い夏

      例年以上に暑い夏となった今年の日本の夏。 暑いだけでなく急なゲリラ豪雨や雷鳴が連日のようにあると 「これは気象すら操作されているのでは?」と思ってしまうのは 私だけなのでしょうか。 まぁそうした陰謀論的考察はともかくとして、コロナ以降世間には「病原体」からいかに命を守るかという議論が盛んになっています。 コロナ第11波(と呼ばれているらしい)もさることながら、昨今は食中毒系のニュースがやけに目立つので思っていることを書いておこうと思います。 まずはタイムリーな話題として横

      • アウトレットの恋物語 (内科医律vol21)

        律は週末は大学の同期と共に箱根にいた。 土曜の仕事を昼に終えて大学同期の気のおけない面々で食事、お酒、そして翌日はゴルフを楽しんだ。 文句のつけようのない楽しい時間はあっという間に過ぎ、仲間と次回の再開を誓い帰路に付いた。 日曜夕方の東名高速は当然の渋滞、それは想定内ではあった、しかし事件が起きた。 ゴルフ場を離れる際に律はスマートフォンを落として画面が僅かながら割れてしまっていたのだった。それでも操作に問題はなかったためそのまま帰路についたが、徐々にスマートフォンが熱

        • 〇〇ハラスメントと日本の衰退

          こんにちは、異端の内科医Dskeです。 さて今回は小説ではなく最近思った事を綴ります。 いつの頃からか当たり前のように聞くようになったハラスメントという言葉。セクハラ(セクシャルハラスメント)、パワハラ(パワーハラスメント)あたりまでは理解は出来たがその後『何でもハラスメント』状態に陥っているのは皆さまも御承知の通りかと思います。 もちろん男性から女性を守ったり、上司から部下を守ったりという 「弱者」を「強者」から守るという意味では一定の意義があるものであろうとは思います

        導き (内科医律Vol22)

          ある恋の記憶(vol19)

          「おはようございます4/12金曜日の朝、いかがお過ごしでしょうか」 ラジオから流れるアナウンスで律の脳裏には古い記憶が浮かび上がった。 今日4/12は中学校のクラスでマドンナ的な存在だった朋美の誕生日、記憶に残っているのには理由がある。 律の中学校はこの時期に東京に修学旅行があった。当日の行動は6人程の班に分かれて行動することになっていた。 男子の誰もがマドンナである朋美と過ごす時間を夢見ていたのだが、少年律は何と同じ班になることを勝ち取ったのだった。確かくじ引きとか

          ある恋の記憶(vol19)

          突然の逢瀬2(内科医律vol18)

          律の施術を受けた皆藤紗那の症状はかなり改善し、職場で合わせる表情も柔和なものへと変わっていた。 「先生、春分も過ぎましたしまた飾り付けを変えておいたのでご覧になってくださいね」 律の自宅からの帰り道の車内で紗那はそう律に話していたのを思い出して律は給湯室へ自然と足を運んでいた。 季節の飾付けと小さなお菓子が綺麗に並べられていた。 コーヒーメーカーでエスプレッソを抽出してお菓子を2.3個持って昼休憩に向かおうとした律のスマホが震えた。 「先生、今夜はご予定ありますか?

          ¥500

          突然の逢瀬2(内科医律vol18)

          ¥500

          突然の逢瀬(内科医律vol17)

          「お疲れ様です」 聞き覚えのある声が律の後ろから聞こえた。 給湯室に花を飾る謎の美女 皆藤紗那だった。 「おはようございます!あれ?どうしました?」 「ちょっと腰を痛めてしまって。。。」 皆藤紗那は痛そうに左の腰をさすっている。 「それは辛いですね、簡単なストレッチとかなら指導出来ますので外来にいらしてくれれば」 「ほんとうですか?仕事の合間を見て伺いますね・・・」 しかしその日の外来に皆藤紗那は現れなかった。 その日の夜に律のスマホが鳴る。 皆藤紗那からのLI

          突然の逢瀬(内科医律vol17)

          密会その2(内科医律vol16)

          「では改めて乾杯!」 二人は律の行きつけの会員制の店にいた。 「しかし本当に久しぶりでしたね、顔を忘れるところでしたよ」 『申し訳ありません、ちょっと上司とトラブルがあって退職も考えて動いていたので・・・』 「え?上司ってあの?」 『はい』 真中伊織が言う上司というのは前回の講演会で律にべったりくっついていたあの男のことだろう。 コテコテの典型的おべっか使いのベテランMRだ。 「それでも辞めずに続ける事にしたの?」 『はい、というよりもいろいろと上司に問題が噴出し

          密会その2(内科医律vol16)

          密告(密会)(内科医律 vol15)

          桜の開花も聞こえてきそうな春分を間近に控えた3月中旬、律はいつものように午後の外来を終えて医局に戻っていた。しばらくやり残した雑務などを片付けてから帰宅しようと考えていたのだが、18時近くなったその時電話が鳴る 「はい、神宮寺です」 「あ、事務の者ですけどメルカディオファーマの真中さんという女性の方が先生に御面会出来ないかとのことなのですが」 メルカディオファーマの真中とは冬の社内講演会の後に律の話に興味を持ち、帰りのタクシーの中でも話し足りずにもう一件付き合って飲んだM

          密告(密会)(内科医律 vol15)

          ある冬の出来事 (内科医律vol14)

          2023年冬 「以上です、御清聴ありがとうございました」 律は某製薬会社の社内講師として講演を終えた。 その後、律は営業所所長の斉木、斉木の部下であり律の担当者である真中伊織の三人で恵比寿の個室高級居酒屋にいた。 「神宮寺先生、本日は暮れのお忙しい中ありがとうございました」 50代半ばの斉木がMR特有の月並な文句を並べてくるのに対して、まだ29才と若い真中伊織が 「先生の薬に対する考え方がこれまで他の先生方からは あまり聞けない内容で興味を持ちました。私たち製薬メ

          ある冬の出来事 (内科医律vol14)

          突然の密会(内科医律vol13)

          週明けの月曜日の夜 いつもの様に律は通常業務を終えて当直帯の勤務に入っていた。紹介状の返事、保険の書類などの事務仕事を片付けたり、新たな学びのための本や動画視聴などをしているとあっと言う間に21時近くなっていた。 週末の疲れがあるのか、眠気をいつもよりも感じていたため律は早めに当直室に移動することにした。 医局から真っ直ぐ続く廊下は既に暗く、人の気配は消えていた。その一番奥に当直室がある。灯りを付けると綺麗にベッドメイキングされた真っ白なシーツが周囲の暗闇とのコントラス

          突然の密会(内科医律vol13)

          再接近(内科医律 Vol12)

          律「まさかあの飾り付けとかをしてるのが皆藤さんだとは思わなくて驚きました」 皆藤「入職してしばらくして何となくあのスペースが寂しい感じがして勝手に始めてみたんですが、先生みたいに楽しんでくれてる方がいるなんて思いませんでしたからとても嬉しくて!」 律「自分も含めた日本人がああいう季節感を失ってしまってる感じがあるじゃないですか、それを感じていた矢先だったのでインパクトもありました、そういう方だからこそちょっとお話してみたくなりました」 皆「それでお誘い頂いたんですか?コ

          再接近(内科医律 Vol12)

          薬の考え方

          Yahooに載っていた記事で薬に対する見事なまでの見解を書いた医者がいたので扱ってみることにした。 副作用はほぼないが効果も証明されていない…そんな「日本独自の薬」が50年以上販売され続けているワケ(プレジデントオンライン) - Yahoo!ニュース 「副作用はほぼないが効果も証明されいない、そんな「日本独自の薬」が50年以上も販売され続けているワケ」 という題名の記事である。 早速読んでみると、最初の段落に 「効果を誤認することはよくある。検証不十分な薬にはリスクも

          薬の考え方

          再会は突然に 内科医律 Vol11

          「以上のように、内服薬に頼らない医療により、知らず知らずのうちに起きている医原性の副作用を防ぎ、また別な側面からは医療費の削減も視野に入れられると考えます、癌の治療などに関しても・・・」 と律が話かけた時、聴衆の中の一人が声を上げた。 「神宮寺君、癌の治療には三大標準療法言うてな、手術、放射線、化学療法、この三つが全てやねん!エビデンスはこれしかないねんな、君もそれはよう知っとるやろ?そのほかの選択肢を患者に提示するなど訴訟にわざわざ足突っ込みに行っとるようなもんやさかい

          再会は突然に 内科医律 Vol11

          ある囁き 内科医律 Vol10

          瞳から聞いたその名前が律は頭から離れなかった。 「皆藤紗那」 何気なくコーヒーを飲んだりしている給湯室にいつの頃からかちょっとしたお菓子が入ったかごと一輪挿しの花が置かれるようになり、季節ごとに いや二十四節気ごとくらいに花がかわっていくのを何となく律は気が付いていた。 「実は育ちが良いと評判の看護部長あたりがきっとやっているんだろうな」 と律は思いながらも、小さな楽しみになっていたのは事実だった。 しかしその日は急に訪れたのだった。 皆藤紗那が新たに生ける花を手にその

          ある囁き 内科医律 Vol10

          真犯人?(内科医律 Vol9)

          「律ちゃん昨日はありがとう!タノシカッタヨ」 朝の病棟で瞳がこっそりと耳打ちした。 ~~~~~~~~~ あの後二人は瞳の希望でカラオケボックスに入ることになった。 「律ちゃん歌上手いって聞いてたから、独り占めしてやろうと思ってさ」 どこで聞いてきたのかわからないが、瞳が入職した頃からコロナ騒動が始まって病棟スタッフと飲み会などを行うこともめっきり減っていたたため瞳は同僚から話だけは聞いていたようだったがカラオケに来るのは初めてだった 。 律は得意としている曲を数曲

          真犯人?(内科医律 Vol9)