レ・ミゼラブル
レ・ミゼラブル
パリ郊外に位置するモンフェルメイユはスラムと化している。そこの犯罪防止班に新しく加わることになった警官のステファンは暴力的な警官や、悲惨な街を目のあたりにする。そんな時サーカス団の子ライオンが盗まれという事件が発生する。そして、この事件をきっかけに思わぬ暴動が起きる
レ・ミゼラブルってあのミュージカルの?違いますよ。厳密には全く違うわけではなく、レ・ミゼラブルの舞台となっているのが今作と同じ、モンフェルメイユらしいです。レ・ミゼラブルは見てなくても大丈夫。なぜなら俺も見たことないから笑
結論から申し上げて、この映画素晴らしいです。むちゃくちゃ面白い。カンヌ国際映画祭、アカデミー外国語映画賞にて、あの「パラサイト」と最後までせっていたらしいのだが、それもそのはず!フランスのスラムのことはなんとなく存在は聞いたことはあっても、実態は知らない社会の闇のもとで起きる、悲劇のエンターテイメントという点で「パラサイト」と似た作りの映画。
内容説明
冒頭、おそらくサッカーでフランスが勝って、街中が盛り上がっている様子が、サッカーという情報がなく、音楽は不穏なので、暴動を彷彿とさせてすごく怖い。そこからステファンが新しく配属されるシーンになる。観客はステファンと同じ視点で観る。フランスなのにアフリカ系やらイスラム系の人ばっかりでボンジュールな街並みや人々(伝われ!!)は全然映らない。フランス映画だと視覚的に気づく人は少ないだろう。前半は割とうわぁ、まじか。なフランスツアー。それから、ドローンで盗撮してるハイテク少年が出てきたり、ライオンの子供のジョニーがいねぇ!!ってキレてるおっさんとか出てきて、元ギャングの店に聞き込みに行ったり、展開が多くて、最初は断片的に感じるけど、どんどん全部が絡まって一触即発のところまで行った時のこえ〜〜ーー!!!!感はすごい。ラスト30分が衝撃的ってよく聞くけど、このシーンのことかな?かなり良かったけど、いうほどかな?と思ったら。まだその先があって、もうそこはウギャアやあyさyhsgdhdgvびdkvjでした。
シティ・オブ・ゴッドとエンド・オブ・ウォッチ合わせたみたいと聞くけど、確かにって感じ笑。デトロイトっぽさも感じたというか、恐怖演出がキャスリン・ビグロー的というか。あとは、アスガー・ファルハディっぽいような…はいこの辺はテキトーですすいません。言いたかっただけ。
ここからディティールに入るのでネタバレ含んだりすると思うし雑になると思います
ドローン盗撮ボーイ可愛いけど、どうせ撮るならもっと可愛い子とりなよ笑むっちりちゃんがタイプなんか?それはそれで可愛い!!子ライオンかわちい!!大人オスライオン怖すぎ!!!奪い合うまで行かないでも、ライオンをめぐる話になって、「ライオンはイスラムにおいて、力の象徴だ」ってセリフから、権力争い感が出て怖くなったなぁ。あそこ素晴らしい。SNSでライオンの居所を掴むあたり近代的やんなドローンもそやけど。イッサ(ライオンを盗んだこ)を警官が捕まえる時の力づく感が怖いよなぁ。それに対して戦おうとする子供。これがこの地区の治安を表している。この映画で警察の暴力が問題的に描かれてるけど、どっちが先かは知らんけど。不信による攻撃のインフレなんよな。警察が下手に出ると、犯罪者はつけあがるし、警察が権力を持ちすぎると、無実の人が捕まってしまう。グワダ(黒人警官)がイッサを撃ってしまうけど。あとあと、ステファンに「意思がなく発砲できない」って詰められるところ、ほんまそれよなぁ。アメリカとかでも警官が殺してしまうけど、なんだかんだ殺人にならなかったりする。そいうのの積み重ねなんやろな、この不信のインフラは。イッサを撃ってしまって、ドローンに映ってもうて、ってあたりからはもうなんかわかるようで言語化できないくらい目まぐるしくことが進むのが気持ちよくあり、怖い。警官が頼るのってあれもギャングやんな?警官がギャングにもみ消しを頼むとかなかなか落ちてるねぇとか思いつつ、日本でもないとは言えないのだろね。その怒涛の1日が終わって、登場人物それぞれのソロショットがあるけど、みんな悲しそう。みんなこんな生活嫌やけど、もうぬけだせない感というか。翌日の、イッサたち子供による大暴動はまじで怖かった。前半で警官が子供たちにひどいことをしてるのを見てきたから、反撃に何も言えないし、悲しいし怖いし。ただ使ってくる武器が花火やったり、ショッピングカートやったりでちょっと可愛いとも思った笑最終シーン、イッサとステファンが向かい合ったところの緊迫感すごい。
もう俺すごいしか言ってなくね?まぁそんだけすごいんですよ。ラストの字幕の「悪い草も、悪い人もいない。ただ育て方が悪いだけ」これは「レ・ミゼラブル」の原作からの引用らしいけど。これはポジティブな意見なのか、文脈はわからないけど。ポジティブに解釈したいなというところ。
俺が「レ・ミゼラブル」で思い出すのは、「アデルの恋の物語」でヴィクトル・ユゴーがなんちゃらかんチャラやったなぁという程度でした。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?