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コンテンツ制作において進む生成AI活用。編集者とのよい関係性とは?
このnoteは、どんなnote?
正解は一つではなく、企業それぞれの正解を探して取り組んでいるBtoBコンテンツマーケティングの世界。私たちも“私たちなりの正解”を探すのに精一杯な毎日です。それでも、お客さまにも、事業にも、自分たちにもヘルシーな形を探すなかで見えてきた、小さな実践知が少しずつ蓄積してきました。
本noteではささやかな実践知ではありますが、「Contents for Content Marketers」という連載の形をとって簡単に紹介させていただきます。本noteをご覧頂いた方のコンテンツマーケ業務において何かしらの一助となり、お客さまへよきコンテンツが届く一助になれば幸いです。
今回は「AI活用と編集者のよい関係性」について、部への導入・浸透を推進されているmukaharuさんへ話を聞いてみました。導入目的、活用例、浸透の工夫、得られた成果を紹介します。
※AI活用においては、著作権などの課題に配慮しながら、適切な範囲での活用を心がけています。
個人活用からチームでの活用へ。鍵は「自然な日常化」
ー コンテンツマーケティング部での生成AI活用は、どのような状況ですか? mukaharu:大きく分けると2段階で進めています。まずは個人でミニマムに活用・検証から始めて、24年11月時点ではチームで活用する段階へ進んでいます。
ー チームへの展開は、具体的にどのように進めていますか?
mukaharu:マニュアルやガイドライン、AIにインプットする参考情報*など、活用の土台を整備しました。 ※SmartHR Mag.における統一表記リスト、表現ルールなど そのうえで、私が実際に使ってみて「こんな成果が出せた」「こういう活用法もあった」といったメリットの共有も大事にしています。ほかにも、オンラインミーティングで画面共有しながら「こうやって使います」と伝えています。
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ー チームへの浸透には難しさはなかったですか?
mukaharu:まさにマニュアルを共有するだけでは、浸透しづらいだろうと思っていたので、日常の業務に組み込むことを意識していました。誰かがイベントレポートを書くってときに「AIで試してみませんか?」と声をかけたり。とにかく「AIって、こんなときにも使えるんですよ」と接点を増やした結果、メンバーも積極的に使ってくれている状況です。
「早く作る」だけじゃない。視野を広げ、アイデアを膨らませる
ー AI導入にはどういった目的がありましたか?
mukaharu:大きく2つあって。一つはコンテンツ制作の効率化、もう一つが質の向上です。後者については、AIは人間よりもたくさんのアイデアを出せたり、違う視点を提供してくれたりするので、その特徴を活かしたいと考えています。
ー 具体的な使い方を教えていただけますか?
mukaharu:イベント・セミナーレポートなどの記事作成やポッドキャストの文字起こし、ほかには記事の構成検討時に初稿のたたき作成にも使っています。
想像以上に広がっているのが、編集作業での使い方かもしれません。記事冒頭に記載する「この記事でわかること」を作ったり、自社で作成した事例記事を資料用に要約したり。また、SEOコンテンツで「業種別の目標設定例」などを考える際も、10種類くらいのパターンを出してもらい、たたき台として活用しています。
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ー 校正観点でも活用しているとのことですが。
mukaharu:そうなんです。基本的な誤字脱字チェックだけではなく、「専門家の目線で気になりませんか?」といった指摘もしてもらってます。そうすると「あ、ここの説明が足りないな」「この流れ、ちょっと飛躍があるな」と気づけますね。
ー自社イベントレポートの作成や公開済みコンテンツの資料化、コンテンツのさらなる質向上といった業務で活用が進んでいるのですね。
工数が大幅削減。でも、一番うれしいのは?
ー AI活用によって感じている成果、手応えはどうですか?
mukaharu:制作工数の削減が大きいです。イベントレポートでは初稿作成まで1〜2週間ほどかかってしまっていたのが、“翌日には初稿草案ができているケース”もあります。
ー 質の面でも変化は感じますか?
mukaharu:そうですね。たとえば、対話形式で執筆した記事を地の文形式に変更したり、また戻してみたり。こういった執筆形式自体の大きな変更は人力では気軽にトライできませんが、AIだといろんな草案作成が可能です。ほかの大きな手応えとしては、たたき台のスムーズな作成ですね。それにより、その先の執筆や図表作成といった編集業務・改善作業により時間を使えるようになりました。ここが一番うれしいかもしれません。
AI時代の編集者に欠かせない大事な“疑い”の目
ー これから先、AIとどう付き合っていけばいいと思いますか?
mukaharu:変に信用しすぎず、「半信半疑の姿勢」が大事だと思っています。『ChatGPTを使い尽くす! 深津式プロンプト読本』という書籍のなかで「Chatgptは確率で続きを書く機械」と書かれていました。あくまで前に書かれた文章を見て、確率的に「次はこう来そうだな」と文章を作成するツールであり、理解してるように見えても、本当の意味では分かってないのだ、と。
最後は「これ、ちゃんと使える内容になってる?」と判断するのは私たち人間の仕事。だからこそ、その判断ができる知識は持ち続けないといけないなって、自分に言い聞かせてます。
ー 人間の判断力が欠かせないということですね。
mukaharu:そうなんです。AIでいろんなものが作れるようになると、それだけ「これ使える?」「これはちょっと違うかな?」「合っているか?」と判断する場面が増えるんです。結局、私たちがちゃんと頭を使わないといけない。AIに頼りすぎるんじゃなくて、知識のインプットと正しい判断力が、これまで以上に求められる。そんな気がしています。
ガイドラインを設けて適切なAI活用を
生成AIの導入によって確実に変化している、コンテンツ制作。制作時間の短縮や表現の幅が広がるなど、具体的な成果も実感しています。
一方、私たち編集者はAI活用シーンを見極め、その結果を正しく判断していく。このようなスタンスが現時点でのよい関係性なのかもしれません。SmartHRではAI活用ポリシーや社内規定を設けており、そのうえでAIツールの活用を進めています。また、私たちコンテンツマーケティング部でもAI活用範囲を定め、取り組んでいます。
自社情報や公開済み情報の要約・初稿作成のみに活用するといった適切なガイドラインを定め、AIと編集者のよい関係性を築いていきましょう。なお、本連載自体も草案作成にAIを活用して制作しています。効率化を進めた結果の取り組みの一つの実例となりました。
次回は「質重視のSEOコンテンツは正解か」について、私たちの小さな実践知を紹介します。
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