テガフール・ギメラシル・オテラシル(ティーエスワン)TS-1 S-1
〇胃がんでのS-1の位置づけ
胃がんの薬物治療では一番使用されやすい薬物療法となっています。
術後補助化学療法、切除不能例、再発、いずれにおいてもメインで使用される可能性の高い薬剤です。
・術後補助化学療法
ステージⅡまではS-1単独療法が優先される場合が多い。
ステージⅢではS-1単独かS-1 + ドセタキセルの併用が使用される。
・切除不能進行・再発胃がん
S-1とシスプラチンまたはオキサリプラチンで併用される例が多い
〇各種抗がん剤の特徴
テガフールが代謝されて抗腫瘍効果を持つフルオロウラシルになる。
フルオロウラシルが腫瘍に対して効果を発揮する。
細胞の増殖に必要なDNA成分のピリミジンと呼ばれる物質がある。フルオロウラシルはピリミジンに似た構造をもっている。
DNAの合成の過程でピリミジンの代わりにフルオロウラシルが取り込まれることによってDNAの合成を阻害する。
ギメラシルは肝臓でフルオロウラシルが代謝されるのを防ぎ、効果の増強や長時間効果を発揮させる。
オテラシルは胃腸障害を軽減する。
〇副作用
・骨髄抑制
感染症の予防について説明する。37.5度以上の発熱時は主治医に連絡する。貧血の対処や出血傾向についても説明する。
・下痢
水様性の下痢が起きた場合は脱水を予防するために水分摂取を十分に行う。止瀉薬の処方があれば服用する。下痢が続く場合や、発熱・嘔吐など他の症状を併発している場合はすぐに連絡。
・口内炎
うがいやブラッシングを行い、口の中を清潔に保つようにする。
痛みや症状がひどい場合は連絡する。
・色素沈着
手足あるいは全身の皮膚、爪などにみられる。
直射日光でされに悪化が強まる傾向がある。
投与中止により多くの症例でやがて軽減する。