デザイナーとして、なるべくわかりやすく「プロの定義」を考えてみた
今まで深く考えたことはなかったのですが、雑談の中で「プロの定義」が自分なりに言語化出来たような気がするので、改めてまとめてみました。結構長いので、まとめから読んでもらっても大丈夫です。
ちなみに、図を足そうと思ってたんですが、力尽きたので、随時足してくスタイルで公開に踏み切りました。
仕事のプロとは
いきなりですが、仕事のプロとは「自身の任務に責任を持つこと」だと考えます。いやいや、皆んな責任持ってやってるよ、と言う声も聞こえてきます。おっしゃるとおりです。
「でも仕事において責任を持つって具体的にどういうことよ」と、僕も十数年社会人をしているつもりですが、改めて言語化したことはない。ここいらでもう一回整理してみよう、そう思ったわけです。
ということで、「責任を持つ」とは具体的にどういう意味か、3つ考えてみました。
最終的な目的の達成のために、自分に求められている成果を正しく把握する。
成果を挙げるために適切な行動をする。
期待された成果を挙げる。
今挙げた3つのプロとして責任の定義(というかマインド)、これは「経験が浅かろうと深かろうと常に意識すべき」と思っています。なぜなら、わたしたちは自分の行動の対価としてお金をもらうからです。
目的と目標と成果
定義を語る前に、目的と目標・成果の違いにも触れたほうが良いですね。
辞書で引いてみました。
ちょっとわかりにくいですよねw これはスポーツが一番わかり易いので、サッカーを例に考えます。(ちなみに僕はスポーツの経験、体育以外ないので間違ってるかもですがごめんなさい)
たとえば、プロリーグに属するサッカーチームがいたとします。リーグに属している以上、試合に勝ち、リーグ優勝を目指さなければなりません。
勝つためには、チーム・個人ともに練習が欠かせません。相手チームを分析し、個人の強みや弱みを改善し、チームでの動きを練習する、というような勝つための行動を積み重ねるはずです。
このサッカーチームに対して、目的・目標・成果を置き換えるとこうです。
目的:リーグ優勝
目標:試合に勝つ(点を取る、点を取らせない)
成果:勝つためにとった行動の良い結果(練習や分析)
チームの大きなゴールとして、リーグ優勝(目的)を掲げ、そのためには、各試合で勝たなければなりません(目標)。練習や分析を積み重ねることで勝ちにつながるプレーができる(成果)・試合に勝利することが出来る(成果)ようになります。成果が積み重なって、目的・目標を達成する、と考えても良いかもしれません。
デザインに置き換えて考えると、期限内に納品(目的)するためには、仕様や構成・デザインの合意を取る(目標)必要があります。そのために、調査や構成案・デザインの試作(成果)もいるでしょう。Webであれば、その後は実装しなければいけません(目標)。機能によっては細かなテストや調整(成果)もあるでしょう。このように、納品という大きな目的のために、細かく目標を設定し、それに向けて各自が成果を積み上げていきます。
ちなみに「結果」は行動の結末なので、失敗も成功もひっくるめたワードになります。成果がポジティブな視点なのに対し、結果は極めて冷静な物事の捉え方をするイメージです(僕の場合)。
カオナビさんの記事がわかりやすいので、興味ある方はぜひ…!
お金をなぜ払うのか・もらうのか
目的・目標・成果の意味は理解できたと思うので、今度は、経済活動の基本である「お金の流れ」からも考えて、プロとしての定義を見ていきましょう。
例えば、レストランでは、目的の料理を調理・用意してもらうことに対してお金を払います。美容院では、自分の望むヘアカラーやスタイルにしてもらうことにたいしてお金を払います。スーパーでは食材を用意してもらう対価としてお金を払います。
某錬金術師の漫画で有名な「等価交換」という考え方も用いましょう。ヘアカット5,000円の美容院があれば、わたしたちは5,000円分の成果を期待します。逆に、5,000円支払ったのに、全く望んでいない髪型にされたとすれば、クレームを入れます。望んでいない成果を提供されたわけですから、等価交換は成り立たないわけです。
要するに、「自分が期待していることを、代わりに実現・行動してくれる対価として、お金を払う」わけです。
仕事も同様です。クライアントは、何かしらの行動や成果の対価として自社にお金を払います。わたしたちは、クライアントが望む成果や、行動をする必要があります。
なので、プロとしての定義は「自身の任務に責任を持ち、望まれる成果を上げる・行動することができる」と言えます。
仕事はチーム戦
多くの仕事は、個人事業主であれ、組織の一員であれ、一人で全部しなきゃいけないということはありません。
僕自身はWebや紙媒体を領域とするデザイナーですが、コーディングはできません。Webサイトを作る、という依頼に対して、自分ひとりでは絶対に完結できない。であれば、エンジニアやコーダーさんの力を借りるしかありません。
このように会社は、お互いの足りない部分を補いながらまわります。そうして出来上がった成果に対して、クライアントはお金を出してくれるます。ここで忘れてはいけないのは、クライアントは望む成果や行動は求めますが、それをどうやって実現するかはこちら側に委ねられている、という点です。
まとめると、クライアントは、会社をその道のプロとして様々な要望を出します。会社は、実現のために何が必要かを考え行動します。チームの一員としての個人は、そこに向けて任務を責任を持って遂行し、実現に向けてサポートします。その集大成の成果としてお金をいただきます。
仕事のプロの責務とは
さて、色々と書いてきましたが、改めて3つの定義を考えます。
①自分に求められている役割・成果を正しく把握する。
仕事は基本的にはチーム戦と書きました。成果とは「何かしらのタスクや行動の積み重ねに対する良い結果」です。成果が積み重なり、ひとつの目的や目標が達成されます。
サッカーであれば、相手より多くの点を取って試合に勝つ、という成果を挙げなければなりません。そのためには、全員でボールを繋いで相手ゴールに運ぶ必要があります。ボールを受け取ったなら、ドリブルで前に運ぶのか、仲間にパスを打つのか、判断しなければなりません。
このときの判断基準は、自身に任せられた役割です。ディフェンスなら、ボールを奪い仲間にボールを繋ぐ、オフェンスならシュートを放つことも選択肢でしょう。この一瞬の行動で試合の勝敗が左右されます。
このように「試合に勝つ」という目標の中で、自分の役割と期待されている成果は何なのかを、常に理解していると、取るべき行動が見えてきます。
仕事も同じです。どんな作業であれ期待されている成果があります。まずはそれを正しく理解しましょう。このとき自分の作業の先まで把握することも重要です。
なるべく視座を上げ、全体を俯瞰して見れるよう意識すると、把握しやすいと思います。正面から見るとそれしか見えませんが、空から見ると全体像が見える、そんなイメージです。
②成果を挙げるために適切な行動をする。
成果を上げるための適切な行動とは何でしょうか。引き続きサッカーで考えます。
例えば僕がディフェンダーだとして、やるべきことは何でしょうか。
相手が自陣に攻め込んできたなら、まずは攻撃を防がなければなりません。そのためには、相手の動きに注意をはらい、行動します。自分のプレーで間に合わなければ仲間と連携して、対応する必要があります。
ただ防ぐだけでは試合に勝てないので、相手からボールを奪う必要もあります。プレーで奪っても良いし、プレッシャーを掛けてミスを誘うのもありです。
ここで大事なのは、「ボールを奪うのは自分でなくてもいい」ということです。結果的にボールを奪えるのなら、チームで連携してもいい。逆に、ボールを奪おうと自己中心的なラフなプレーをした結果、反則行為をしてしまえば、元も子もありません。試合に勝つというチームの目的を妨げることになります。
要するに、適切な行動の中には「自分の最高のパフォーマンス」だけでなく「できないことを認める・助けてもらうことも含まれる」という点を覚えておきましょう。自分に任された仕事だからと、必死にやった結果間に合いませんでした、というのは「成果を上げるために適切な行動ができた」とはいえません。
普段の仕事では、100点満点の行動がいつもできるとは限りません。さらにトラブルやイレギュラーがたくさん起こります。そんなときでも、常に何をすべきかを意識し、どうすればその目標・目的を達成できるかを考えましょう。頑張ってなんとかする・クライアントに相談や交渉する、も選択肢としてあるでしょう。
出来ないと感じた・難しそうだと感じた場合には、すぐに相談したほうがいいかもしれません。これも「期待された成果を挙げるための行動」です。
ちなみに「できない」というのもある種、何かの積み重ねです。単純にスキルが足りないのか、もしくは思ったより時間がかかったのか、着手が遅かったのか、理由はそれぞれあると思いますが、できないことを四の五の言っても仕方がない。それは、後でしっかり振り返れば良い。出来なさそうだ、という状況に対して、どういう行動が正しいかを判断するのが重要です。
③期待された成果を挙げる。
これは分かりやすいですよね。サッカーなら「試合に勝つ・リーグ優勝する」などの目的を達成することです。仕事においてもそうでしょう。
僕の場合はデザイナーなので、まず求められるのは、「期日内に、クライアントの利益に繋がる、クオリティ・機能を持つものを納品すること」です。これは、対クライアントだけの話ではありません。組織からもそれを期待されています。なぜなら、その最終成果に対してお金が発生するからです。
成果を挙げるには行動しかありません。自身のスキルや知見をもとに、課題に向き合い、時には応援を呼ぶことも必要です。そうした最終目標に向けた適切な行動の積み重ねが、成果に繋がります。
報連相の意味を考える
プロとは「自身の任務に責任を持ち、望まれる成果を上げる・行動することができる」と書きましたが、仕事はおおよそチーム戦です。各自の行動の積み重ねが「結果・成果」につながる以上は、連携が欠かせません。
となると、そこで一番重要になるのが「報告・連絡・相談」です。
報連相とは
そもそも報連相とは何でしょうか。ここでも言葉の意味を辞書で引いてみます。
例えば「明日から上司と出張のため、一週間の東京の天気を調べる」というミッションがあったとします。僕は気象庁や、その他のサービスを通じて天気予報を調べ、上司に報告します。その後、天気予報に変化があったので、上司に連絡します。どうも明日の午後に天気が崩れそうなので、駅から目的地への移動手段にタクシーを使ってよいか、上司に相談します。
この例からわかるように、報連相において大事なことは「情報を受け取る側の行動が、内容によって変化する」という点です。
天気予報で考えると「一週間晴天が続くと聞いていたので雨具は必要ないと判断したが、雨が降る可能性が出てきたので、雨具を用意し、必要であれば移動手段を変える」となるわけです。
ただ、仕事においてはもう少し踏み込んで考える必要があります。
報連相は責任であり、リスクヘッジ
報連相は相手の存在を前提にしたコミュニケーションです。双方の持っている情報次第で、お互いの行動が変わることになります。
例えば「イベントで必要なチラシの納品が一日遅れる」という情報を自分が受け取ったとして、次に使う人に伝えなければ、スケジュールに乱れが発生します。その乱れは水の波紋のように広がり、最終的にクライアントへの納品に支障が出るかもしれません。チームにも影響を与え、組織のプロとしての信頼を損ないかねない、最悪の事態に繋がります。
報連相は、案件に関わる者(クライアントも含め)全ての責任です。情報伝達をいかにうまく行うかが、成果の可否につながるからです。つまり、報連相は成果をあげるために必要な、チームワークを維持する上で欠かせないもの、と言えます。
もうひとつ、リスクヘッジという側面でも考えましょう。
チラシの例だと、納品が一日遅れるという情報を共有していなかったがために、大事なイベント当日にチラシが届かないという事態が発生したとします。クライアントには怒られ、チーム内ではなぜこんな事になったのか、原因究明が始まるでしょう。いずれ、納品遅れの情報をあなたが知っていたという事実も明るみに出るはずです。となると、あなたは間違いなく怒られ、何かしらのペナルティを受けたり、組織内での信用を失うようなことになりかねません。
これを見ると、報連相はしないよりは絶対にしたほうがいいのは間違いありませんよね…。想像するだけで胃が痛い…
仕事はチーム戦。自分ではできないことを成し遂げるために仲間がいます。報連相をしっかり行えば、仲間の知恵やノウハウを借りることができます。またトラブル発生時も、上司や管理者に報告をしっかり出来ていれば、火の手が上る前に防いだり、二次災害を防ぐこともできます。そう、究極、報連相をしっかり行っていれば、自分の身も守ることになります。
そういう意味でも、報連相はリスクヘッジのための手段と言えるでしょう。
ちなみに例で用いた「言った・言わない(報連相)問題」は発生しやすい上に、大きな問題に発展しがちです…。まじ気をつけて…。
報連相の仕方
とはいえ、なんでもかんでも報連相するのでは意味がありません。天気予報を調べるとき、いちいち「PCを起動しました、サイトにアクセスしました」などとは報告しません。する方も面倒だし、されるほうも鬱陶しいはずです。「で、その後どうするの?結果を教えてほしいんだけど」と言われるに決まっています。
報連相のコツは、相手に必要な情報は何かをよく考ることです。特に報告や連絡は、主観ではなく事実を伝えるよう心がけましょう。また、忘れてはならない大事な点が、事実に基づく結果や、自身の今後の行動です。
報連相があるということは、何らかのタスクを遂行中だと思います。相手がほしいのは、今後の行動の部分であると言っても過言ではないでしょう。自分自身がどう考えどう行動するのか、予想・仮説・懸念、それを踏まえたアクションについて共有・相談するようにしましょう。もちろん、対処方法に困っている、助けてほしい、という内容でも構いません。
これらを踏まえて、僕が思う報連相のベストな形は以下の5つです。
現在の状況(全体を通してみたときの進捗)
進捗から導かれる今後のタスク(残タスク)
どんな懸念があるか
残タスクと懸念事項にたいして自分はどう取り組むか
チームへの要望
特に3と4は重要です。ここの有無でチームとしての行動が左右されます。もしかすると、自分の気づいていない観点から意見をもらえる可能性もあるので、自身の把握していることをしっかり共有するようにしましょう。
このように、チームの一員として「自分の任務に責任を持ち、望まれる成果をあげるために行動する」という視点で考えると、報連相の仕方も一味変わってくるのではないでしょうか。
まとめ
さて、長々と書いてしまいましたが、要約していきましょう。
仕事のプロの定義
まず、仕事のプロとは、「自身の任務に責任を持ち、望まれる成果を上げる・行動することができる」ことを指します。
それを細かく分解すると以下の3つに集約されます。
最終的な目的の達成のために、自分に求められている成果を正しく把握する。
成果を挙げるために適切な行動をする。
期待された成果を挙げる。
とはいえ、いきなり3つをパーフェクトに出来るとも限りません。まずは1から順に着実に行っていきましょう。また経験を積むにつれて、求められる成果の大きさも難易度も変わります。でも、常日頃からこの3つを意識して行動できていれば、どんな難しい成果を求められても、対応できると思います。
正しい報連相
プロの責任を果たすための、成果につながる行動の中には、適切な報連相が欠かせません。報連相のポイントは以下の5つです。
現在の状況(全体を通してみたときの進捗)
進捗から導かれる今後のタスク(残タスク)
どんな懸念があるか
残タスクと懸念事項にたいして自分はどう取り組むか
チームへの要望
まとめ
プロなら何でも一人でできて、期待された成果を挙げることを目指してしまいがちですが、そうではなくありません。繰り返しになりますが、大事なのは「結果としての任務の達成」で、それを実現するにはどう行動すればよいか・何が必要かを自分でも考えることです。依頼者から見れば、結果として達成されていれば良いのです(もちろん法律に触れるようなことはしちゃいけません)。
とはいえ、何でもかんでも自分で抱え込む必要はありません。むしろそれは思考の放棄とも言えます。できないことをできると言う必要もないし、徹夜してでもやりきれ、とは思いません。精一杯、自身の実力のすべてを出しても足りないものは仕方がないし、足りないものを補うために、チームは存在します。頑張っていることが分かる人には、誰でも手を差し伸べてあげたいと思うものです。
チームとして、成果につなげるために各自がどう行動するか・最善を尽くせるか、が最も重要だと僕は思います。
仕事は大変なことも多いですが、困難を乗り越えたときの喜びや成長実感は素晴らしいものがあります。なので、自身の健康も大事にしつつ、どうすれば目指している成果を挙げられるか、みんなそれぞれが考えながら行動できると良いですね…!
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