No.11 コーヒーで見るグアテマラの魅力と課題
このnoteは、中米グアテマラを愛する日本人がバトンをつなぐ、エピソード・リレーです。このリレーは「新型コロナウイルスの影響を受けたグアテマラの貧困層への食糧配布プロジェクト」を応援するために企画されました。
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こんにちは、Mitsです!この度はブログリレーに参加する機会を頂きました!
私は大学生最後の春休み、JICAグアテマラ事務所でインターンに参加し、コーヒー農家の収入向上施策についてリサーチをしていました。
私がグアテマラに滞在していたのはインターン期間の1ヶ月のみと、他のブログリレー参加者の方々と比べるとかなり短めです。ただ、こんな短い期間でもファンになってしまうほど、グアテマラという国は私にとって魅力的でした。雄大な自然、美味しい食事、国民の人柄・・・。好きな所を挙げていくときりがありません。
今回私は、そんな数ある魅力の中でもコーヒーにフォーカスしてお伝えしたいと思います。
前半ではグアテマラのコーヒーについての少しマニアックな話やカフェの魅力、後半でコーヒー産業の現状や課題について書いているので、興味のある内容から読んでいただければと思います!
グアテマラコーヒーは優等生
グアテマラはコーヒーの主要生産国の一つとして知られています。カフェでコーヒーをよく飲む方、豆や粉をよく買う方は、日本にいてもグアテマラという国名を見ることは珍しくないのではないかと思います。
それだけこの国のコーヒーは質が高いのです。グアテマラコーヒーはほどよい甘みと果実本来の酸味をバランス良く兼ね備えており、ブレンドにもよく使われています。さらに最近は、浅煎りでコーヒー本来の味を楽しむシングルオリジンという飲み方でも楽しまれています。
では、なぜグアテマラは美味しいコーヒーを作ることができるのでしょうか?答えの一つは、先ほど少し触れた雄大な自然にあります。下の写真を見てください。
これはアティトラン湖という世界でも有数の美しい湖で、グアテマラに来た観光客の多くはここを訪れます。しかし、今回注目していただきたいのは後ろの山々です。
グアテマラは国土のうち山地の占める割合が大きく、コーヒー栽培に適した高低差を利用して国全体で質の高いコーヒーを生産できるのです。
さらに、栽培方法自体にも特徴があります。コーヒーは成長に日光を必要とするクセに強い日差しを嫌うという、少しわがままな植物です。そのため、コーヒーの木を植える場所には意図的に日陰を作ってあげる必要があります。
グアテマラではこの日陰を作るため、シェードツリーと呼ばれる背が高めの木をコーヒーの木の横に植え、栽培条件を整えます。この方法は農地の環境生育や土壌保護にも繋がるので、非常にエコロジカルな日陰の作り方なのです。
美味しいコーヒーを、しかも環境への配慮も忘れずに栽培することができるグアテマラは、コーヒー界における優等生だと私は勝手に思っています。
写真はグアテマラコーヒー協会が販売する、地域ごとのコーヒー。各地域の違いを楽しめるし、パッケージのデザインセンスも抜群です。お土産にオススメ。
グアテマラ旅行ではカフェに行こう
一般に日本でグアテマラという国名を聞いたとき、どのようなイメージを思い浮かべるでしょうか?コーヒーを思い浮かべる人もいるかもしれないし、中米の自然を思い浮かべる人もいるかもしれません。日本人にはあまり馴染みのない国なので、どこにあるか分からないという人も多いと思います。
しかし、皆等しく、治安の悪い途上国といったイメージはあるのではないでしょうか。確かに都心部の治安も良くはなく、インフラの整備が進んでいない地域も多くあります。そのため、旅行を敬遠する方もかなりいるはずです。
ただ、グアテマラは旅行するのに勧められるかどうかと聞かれたら、間違いなく勧められる国です。特にコーヒー好き・カフェ好きの方にとっては楽しみが倍増するはずです。
グアテマラには、一般の途上国のイメージとはかけ離れたレベルのオシャレなカフェ、スタイリッシュなカフェが観光地を中心に数多く存在します。例えば下の写真。
ここはアンティグアというコロニアル調な観光地にあるカフェで、2階のテラス席から町と自然を一望することができます。当然コーヒーのレベルも高め。
こちらは首都グアテマラシティの中心部にある小さめのカフェ。温かみのあるインテリアとスイング席が特徴的。ちなみにグアテマラのカフェにあるケーキやクッキーといったスイーツ類も総じて美味しい印象です。カフェに行った時の満足度が安定して高い国です。
ケツァルテナンゴという大きめの都市で出会ったアンティーク調カフェ。インテリアにこだわったカフェが多いのも特徴です。
これを読んでいる皆さんの中に、グアテマラをピンポイントで狙って旅行しようという方は中々いないかもしれません。しかし、日本の裏側、中米地域を訪れる予定の方には、ぜひグアテマラまで足を伸ばしてみて欲しいです。
貧困・経済・政治:多方面に影響するコーヒー産業の危機
ここでは若干シリアスな話を。今までグアテマラコーヒーの魅力について書いてきたのですが、実はグアテマラコーヒー産業は大きな課題を抱えています。
コーヒーを生産する小規模な農家は、普通は組合に所属して組合に流通やプライシングを依頼します。組合は輸出業者に輸出を委託し、それを商社や焙煎業者などバイヤーが輸入、私たちのもとに届きます。この過程で多くのマージンが発生し、おおもとの生産者にはコーヒー1杯の価格のうち1%ほどしか還元されないと言われています。
この、生産者に利益が適切に還元されないという課題は、グアテマラという国全体に、様々なチャネルで影響を及ぼしています。まず分かりやすいのが貧困問題です。コーヒー栽培に従事する国民が数多く存在する中、生計を立てられない農家が増えてきています。グアテマラはもともと地方部の貧困率が高く、深刻な問題です。
次に経済面。コーヒーはグアテマラの輸出額のうち3番目に大きなセクションです。コーヒー栽培で生活できずに農地を売り払う農家が増えれば、グアテマラのコーヒー産業自体の存続が危ぶまれます。これは国にとっても大きな外貨獲得手段の消滅を意味するので、国全体としても無視できる問題ではないのです。
さらに政治面。先ほど農地を売り払う農家が増えるという話がありましたが、彼らはここで得たお金を違法密入国業者に支払います。そしてメキシコを経由して渡米、職を探します。アメリカで不法移民が問題になっている事もあり、政治面でも悪影響が波及してしまいます。
このような課題はグアテマラに限った話ではなく、多くのコーヒー生産国に当てはまります。さらに言えば、チョコレート産業におけるカカオ生産国でも似たような問題があるはずです。消費国の一員である私たちがこのような問題を認知して、何ができるかを考える事も大切なのではないかと思っています。
おわりに
インターンでコーヒー産業を扱ったということで、グアテマラにおけるコーヒーという視点で書かせていただきました。
この記事を読んで、グアテマラという国にどんな魅力があるのか、あるいは、私たちの飲んでいるコーヒーがどこからやってきて、そこにどのような現実があるのか。
そういったことに、皆さんが想いを馳せてくれるとうれしいな、と思っています。
ありがとうございました。
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次回は、青年海外協力隊として小学校の算数教育に携わっていた永倉さんが、任地や活動内容についてお話ししてくれます!お楽しみに!
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