「三重県の風土」餅街道:食べ歩き紀行
奈良県・大阪府・和歌山県に引き続き、今回は「三重県の風土」を味わいに3週間ほど、三重県をフィールドワークしてきました。
特に江戸時代に交通の要衝として栄えた三重県は、「東海道」「伊勢街道」「伊勢別街道」「初瀬街道」「伊勢本街道」「和歌山街道」「和歌山別街道」「大和街道」「熊野街道」などたくさんの街道がいきかっていました(以下書籍も参照)。
東海道新幹線が岐阜周りなので、なんとなく関東人には三重県はわかりにくい県(地元の方には申し訳ありません)ですが、かつては三重県が関東と関西をつなぐ重要なエリアだったのです(新幹線は鈴鹿山脈のトンネル工事が困難ということで米原の雪はあるものの、岐阜周りを選択したそうです)。
それぞれの街道の分岐点は「追分」と呼ばれ、宿場町が栄えていましたが、
今回取り上げたいのは、「餅」です。
街道を行き交っていた旅人(主に参拝客)は、歩き疲れた脚を休めるために、街道沿いにある茶屋を利用。それぞれの茶屋では、主に腹持ちのよい「餅」をふるまっていたのです。
中でも現代人が伊勢で餅と聞いてすぐに目に浮かぶのが「赤福」ではないかと思いますが、実は赤福以外にも数多くの伝統ある餅屋が三重県にはたくさんあるのです。
私も行けるところはできるだけ行って買ってみたのですが、それでも休業だったりスケジュールの都合で行けなかったりと、利用できなかった餅屋もまだたくさん。そしてどれも賞味期限が短いのでお土産にもなかなかできないのが難点ではあります。
とはいえ相当多くの餅屋に行ってみたので、以下利用した餅屋を紹介したいと思います。どれも例外なく美味しいのですが、個人的に気に入ったのは熊野の「志ら玉」、桑名の「安永餅」、伊勢の「へんば餅」あたり。
【食べ歩き実績】
(創業が古い順。単価は1個換算ですが、バラ売りしてないお店もあり)
東京でも「伊勢屋」の屋号を持つ餅屋が数多くあります。
かつて伊勢商人は、江戸に多く進出し、江戸時代に最も多かった屋号は「伊勢屋」だったそう(後藤敬之「伊勢商人の世界」)。今でも有名なのは松阪出身の「越後屋→三越・三井財閥」、現代では四日市出身の「イオングループ」ですが、餅屋も当時数多く江戸に進出していたのですね(伊勢商人については別途展開予定)。
◾️四日市「なが餅」
微妙な焼き加減がなが餅の特徴か。関東人としては食べたことない餅。
◾️伊勢市「太閤餅」
赤福よりも古い餅なんですが、売れ行きは雲泥の差のよう。こっちも相当美味しいですよ。赤福ばかりでは芸がない、という方は伊勢名物にこっちもお勧めです。賞味期限も1週間と相当余裕がありますので。。。
◾️桑間市「柏屋 安永餅」
江戸時代、東海道の七里の渡で渡ってきた旅人が出会ったのがこの安永餅。
四日市のなが餠と同系統ですが、若干こっちの方が焼きの感じが強めか。個人的には最初ということもあって相当気に入りました。
◾️伊賀市上野「いが餅」
餅のテカリがその品質の良さを象徴しています。餅のテカリがその品質の良さを象徴しています。
うーん、オーソドックスなこし餡饅頭。
◾️赤福本店の「赤福」
お土産の赤福との違いは「餅」のまろやかさ。
餅は出来立てであればあるほど美味しい。餅は劣化が早いので。。。
◾️鈴鹿市「小原木餅」
素材の味そのものが生かされているピュアな味わい。鈴鹿市の中でも古い街道の雰囲気が残っている白子のお菓子です。
◾️伊勢市「へんば餅」
餅そのもののネバリ感がなんとも絶妙なお餅。私は旧伊勢街道にある本店で購入しましたが、
伊勢神宮内宮前のお祓いまちにも出店してますが、そして伊勢土産としていちばんお勧めですが、賞味期限が製造日の翌日までしかないのでちょっと厳しい。
◾️玉城町「黒蜜みたらし団子」
他では食べたことない黒蜜入りのみたらし団子。午前中で売り切れてしまうというのも理解。
◾️亀山市関宿「志ら玉」
オーソドックスはこし餡入りの白もちでした。いまだに100円なんですね。手作りなのにコンビニの饅頭よりも安いんです。
シンプルで素朴な味。
◾️名張市「なばり饅頭」
薄皮が意外にも主張していた記憶が。。。
◾️尾鷲市「おさすり」
東紀州の柏餅。おさすり。現地でよく取れる「サルトリイバラ」の葉を使用。
個人的には、こっちの豆大福がお気に入り。東京や千葉にあったらローテーションものです。この豆大福は。
◾️熊野市「志ら玉」
できたてだったので、素晴らしいモチモチ感。手こねならではの不均一さが最高の味わいでした。今回の餅食べ歩きでいちばんのお気に入りです。
◾️伊勢市「神代餅」
草餅なら、伊勢では珍しい神代餠。
ピュアなヨモギの香り。
◾️津市ひとえや「玄米団子・発芽米団子」
自転車で日本一周したのちにオープンさせた、というオーナーさんだそうです。団子自体は雑穀的なざっくりした食感が特徴。
オープンカフェ?で一服できる、現代の茶屋です。
以上、餅好き、饅頭好きの人にとっては天国の三重県。それにしても日本の食文化は本当に奥が深いです。
*写真:伊賀上野「かぎや餅店」
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