「アフリカの風土」意外に物価が高い西アフリカ:コートジボワール
世界の中でも、最も経済力が低い大陸がアフリカなので「物価が安いのでは」と思うのですが、決してそうではないところが興味深い。
今回、西アフリカのコートジボワールに旅行して驚いたのは、その「物価の高さ」。
コートジボワールの貧困度は下から数えたほうがはやい貧困国にもかかわらず、アビジャンという最大都市でも、ヤムスクロという地方都市でも、街中のスーパーに行くと意外にも物価が高いのです。
その他ファーストフードや外食なども利用しましたが総じて日本の物価とあまり変わりません。今の日本は歴史的な円安局面だとはいえ、いくらなんでも「あまり変わらない」というのは、何かがおかしいのでは、と思ってしまいます。
一方で、郊外の屋台の果物屋は激安。バナナ一束50円とか、です。
私が連れて行ってもらった一般庶民向け屋台も、その場で鳥や魚を捌いて薪で焼く料理なので、お腹いっぱい食べてビール飲んでも1,000円もしませんでした。
つまりこれはどういうことかというと、地元で育った農産物をそのまま販売している商品(=一次産品)は、激安なのです。
ところが、いったん「一次産品が加工されると途端に値段が日本並みになってしまう」ということらしい。
例えば、私が短期留学していた35年前の今のコートジボワールぐらい貧乏だった中国の場合は、なんでも激安で、高かったのは家電製品ぐらい。
北京に住む中国人が普通に暮らしている分には、特に食料品関係については激安でした。北京ダックでさえ、現地価格でお腹いっぱい食べて400円程度でしたから。。。
つまり35年前の中国の場合は、食料品が一次産品はもちろん、加工品含めてすべて人件費の安い国内生産だから安かったのでは、と思われます(ただし質も悪かった)。
ところがコートジボワールの場合は、国産品の多くが一次産品のみで、加工品は多くが輸入品になってしまっているのです。
つまり自国生産が少ない。
スーパーに並ぶ商品は確かに輸入品が多かったので「物価が高い」と感じてしまったのかもしれません。
これは、農産品はもちろん、石油などの鉱物資源も同じで一次産品は豊富なものの、加工品となると農作物、鉱物の双方含めて国産製品率が低い、という状況。
『新版地図で見るアフリカハンドブック』によると
具体的には、2020年度時点で、いまだ、GDPに占める製造・加工業の割合は11%(2020年)、輸出総額に占める割合も18%(同)に過ぎません。
製造・加工業の雇用では、アフリカ全体(12億人)で、韓国一国(5千万人)の3分の1。
輸出額ではタイ一国より下回っています。しかもアフリカでは製造・加工業は、アルジェリア、南アフリカ、エジプト、モロッコ、ナイジェリアの5カ国に集中(5カ国で全体の68%)。
つまりこの5カ国以外では、ほとんど製造・加工業が無きに等しい。コートジボワールの物価が高いのも致し方ありませんね。
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