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企業の本質的問いとアクティビストの活動

日経ビジネスの今月号の特集「アクティビストの論理」は、企業の本質とは何か?を問わざるを得ない秀逸な記事でした。

日本の株式市場を舞台に、アクティビスト(物言う株主)が荒稼ぎしている。
狙うのは割安な株価を放置し、株式持ち合いを続ける資本効率の悪い企業だ。政府・東証が推進する株主重視経営を錦の御旗に、標的企業に改革を迫る。
彼らは本当に改革を後押しする友人なのか。それとも混乱を招くだけなのか。今や市場も世論も動かすアクティビストとの向き合い方が、あらためて問われている。

日経ビジネス2277号9頁

以前、ROE8%超の目標を提言した「伊藤レポート」で有名な一橋大学の伊藤邦雄先生が主催するビジネススクールに参加した時も実感したことなんですが、結局企業って、遊んでいてはいけないんですね。

儲かったからといってそこに安住してはいけないのが企業の本質なのです。

これが資本主義の論理で、だからこそ、資本主義は社会をより良い方向に加速させていく強力なエンジンになるのです。

もちろん、競合には真似できない技術やノウハウ・特許があって、非上場のまま、そこそこ儲かって無借金でキャッシュリッチで、のんびり安定を求めるのも決して悪いことではありません。

しかし、それでは社会は幸福にならない、というのが私たちの生きる世界。

常にこの世は動的存在であり、時代はどんどん変わっていく世界が私たちの世界。生物学でいう「赤の女王仮説」、不思議の国のアリスに登場する「赤の女王」の如く走り続けなければならないのです。

その場にとどまるためには、全力で走り続けなければならない。

そのためには、企業は現状に甘んじてはいけない。現金預金を溜め込むのではなく(内部留保ではない)、儲かったら投資して資産を遊ばせない。ひたすら資産効率を極限まで向上させていく。それが企業の本質なのです。

そんな企業の本質の追求に怠けている企業を狙っているのがアクティビスト。

そんなアクティビストの行動は、結局は「赤の女王仮説」を促進させる存在として、資本主義社会にはなくてはならない存在だということです。

投資家目線で見れば、私たちの資産をどこまで増やしてくれるのか?と問うたとき、確実にリターンが見込まれる投資先に資金を投入したいわけです。

1億円で、何にこのお金を振り向ければ一番効率よく稼いでくれるのか、といったときに、ただ債券を買って低金利に甘んじるのではなく、やはり継続的に資本効率を上げていく企業に投資していくのは当然です。

そしてこのような投資家の行動が、さらに企業の資本効率を向上させていく。そういう好循環を生む。

こうやって資本主義社会は豊かになってくわけです。



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