アクティブファンドを買う理由とは
コロナショック?が市場を席巻しているまさにその真っ最中、ずば抜けた投資実績を誇るアクティブファンドを運用するアメリカの大手資産運用会社「キャピタルグループ」に関する書籍を読んでみました。
彼らのファンドとしての長期に渡る実績の謎について、資産運用のベストセラー、というか古典ともいえる「敗者のゲーム」を著したチャールズ・エリスが逆説的に書いているのが非常に興味深い。
アクティブファンドを否定している大御所ともいえる著者本人がアクティブファンド「キャピタル」を褒め称える本を書いているのです(翻訳も同じ方:鹿毛雄二氏)。
チャールズ・エリスは「敗者のゲーム」の中で「アクティブファンドは決して買ってはいけない」と主張しています。
エリス曰く「まず大切なことは、大手運用機関で、長期的に市場平均に勝っているところはほとんどなく、また誰が市場に勝てるかを見極めるのも非常に難しい、ということを理解することである(敗者のゲーム:第2章、35頁)。
加えて市場平均に勝ったとしても、運用コストは平均おおよそ年率2.85%かかっているわけだから、これを上回って初めてファンドとしてプラスになる(同32頁)。
つまり、アクティブファンドは、二重の意味でインデックスファンドより不利ということを著者は主張しているのです。にもかかわらず「キャピタルグループ」だけは別物らしい。
キャピタルグループの特徴はいくつかありますが、本書を読んだ結果「信用できるな」と思う特徴は、以下の通り。
■非上場会社であり、投資家の短期的な要求に応える必要がないこと。
■ファンドの組み入れ銘柄は、時間と労力をかけた優秀な人材によるリサーチをベースにした積み上げ方式になっており、かつ中長期的な成長の如何(短期ではない)で採用の可否を判断していること
■ファンドマネジャーがグループで一つのファンドを長期間運営し、彼らの評価も1年ごとの成績の短期ではなく数年間の平均値をベースにされていること
■過去のずば抜けた実績:キャピタルのニューパースペクティブ運用は、世界株式平均と比較しても直近45年で全世界株式価値15倍のところ、キャピタルは同45倍
*直近のコロナショック?のレポート「逆風下におけるニューパースペクティブ運用」も「さすがだな」という感じです。
とはいえ、アクティブファンドなので手数料は高い。
例えば、キャピタル世界株式ファンドの場合、アクティブファンドなので、信託報酬は毎年1.7%かかります(楽天証券の場合)。パッシブファンドを同0.5%とすると、その差は1.2%。
1,000万円運用すれば、毎年12万円余計にお金がかかるわけですから、結構な金額です。
それでも選ぶ価値があるかどうか?は、本書を読んでのご判断です。