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「兵庫の風土」自然編
兵庫県を1周して感じるのは、多様な地域が合併した県であるということ。地域文化の区分にほぼ近い旧来からの区分でいえば、播磨・摂津・丹波・但馬・淡路の五つの国が合わさった県で旧五国と言われます。
なぜ兵庫県がこれだけ多くの地域を包含したかというと、大久保利通の発案だったらしい。大久保は、兵庫県は神戸港という屈指の国際貿易港を有している県だから、経済的に強くなければいけない、と述べます。
これを受けて桜井勉(内務省地租改正局出仕)が「それでは但馬と丹波2県を兵庫県に合併したら知性的にも便宜である」と答え、これが契機となって大兵庫県構想ができたということ(『児山桜井勉翁米寿賀集』)
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なお、播磨と淡路は瀬戸内海を囲む一つの地域と言っていいかもしれません。したがって地域風土的には四つの地域。
自然環境的には、
⑴瀬戸内海気候の「播磨・摂津・淡路・丹波」
⑵日本海側気候の「但馬」
の二つの地域。「丹波」は中国山地の盆地系ですが、基本的に瀬戸内気候に近いものの、山間で雨が降りやすいのか、姫路市よりも降水量が多く東京並み。
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このように日本の気候は、温帯区域内でも住む地域によって気候が全然違うのが日本で、これに沖縄だとか北海道だとかの亜熱帯や亜寒帯もあり、本当に日本の気候は世界でも稀有な豊かな地域。
⑴瀬戸内地域:播磨・淡路
瀬戸内地域は、四国山地と中国山地が外洋からの大気(シベリア高気圧や太平洋高気圧)をブロックする関係で、一年を通して雨が少なく乾燥した地域です。
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なので、乾燥した気候を活用した農業や産業が栄え、播磨平野&家島諸島の小麦から作られる播州そうめん(揖保乃糸など)&醤油(ヒガシマル醤油)、
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赤穂の塩などを育みました。
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この辺りは、同じ瀬戸内海気候の香川県(小豆島含む)ともよく似ています。
⑵摂津
地域的には、六甲山の存在が、自然環境的に大きな影響を及ぼしている地域。
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六甲山の急な傾斜が美しい眺望を生み(=高級住宅街)、
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深い水深を生み(=良港→外国人)、
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強い風(=六甲おろし→酒造り)を生むなど、国内的にも、独特の風土を育んでいます。
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⑶丹波
丹波は京都府と別れて兵庫に参入されましたが、面積自体は京都府側の方が圧倒的に広いものの、丹波焼や丹波黒豆などの発祥は兵庫県側の丹波篠山市で、生産量も兵庫県側の方が多い。
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丹波は内陸性気候で霧が多く、昼夜の温度差が大きく厳しい自然環境のためは二毛作のできない土地。逆に「昼夜の気温差が大きい」ということは、栗が甘く育つ条件でもあり(気温の下がる夜に糖度が上がる)、丹波栗は全国的なブランドに。
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さらに冬は杜氏(=「丹波杜氏」という)として主に灘の酒造りを担うなど、丹波ならではの自然環境が、丹波ならではの風土を育んだのです。
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⑷但馬
但馬牛で有名な但馬ですがその気候は日本海側ならではの「冬は雪深く、夏は猛暑の一年中湿気の多い気候」で、おとなりの鳥取県などとよく似た自然環境。
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日本海の荒波に削られた海岸線には有名な鉄道橋「余部橋梁」など、高低差の激しい美しい海岸線を育んでいます。
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また城崎温泉周辺では、
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約160万年前に起こった火山活動により、玄武岩質のマグマが流れ出してそのマグマが冷却した柱状節理の洞窟(採石場の跡地)があり、玄武洞公園として観光施設に(詳細は以下)。
なお、黒毛和牛の99.9%は但馬牛の子孫ということで、但馬牛は和牛のルーツですが、但馬の狭い山間の中で段々の田畑を耕すには牛耕が必須。
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たまたまですが、雪が深く積もる厳しい冬を越すために、但馬牛の脂はエネルギーに変えやすい融点の低いキレイな脂になったため、結果として高品質な霜降りの牛になったといわれ、但馬ならではの自然環境なしには日本の黒毛和牛は誕生しなかった、といえます。
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以上、兵庫の自然環境を踏まえた上で、兵庫県の歴史を踏まえつつ、各地域ごとの風土を別途紹介したいと思います。
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*写真:丹波 香住の香住ガニ