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政治経済と価値観

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フリードリヒ・ハイエク「古くからの真実を人々の心に留めておきたいなら、世代ごとにその言語と概念で語り直さなければならない」。この精神で近代市民社会の原理をベースに記事を展開しよう…
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#啓蒙主義

2025年も私の政治スタンスは「自由」

毎年更新している「私の政治スタンス」の2025年版。私の政治信条は大雑把にいえば「徹底した自由と透明性と現実的な安全保障政策」。 残念ながら、リベラルでも保守でもない、つまり既存の属性に当てはまらない私の政治信条は、特定の属性に当てはまらないがゆえに人気がないように思いますが、現役時代含めFIRE後もひたすら哲学・生物学はじめ様々な勉強をし各国・国内を渡り歩いた結果の信条であり、相当に自信のある考え方なので、賛同者が増えることを望みます。 なお今年は細かい部分の変更点のみ

「大阪」都構想の賛否両論とは?

最近大阪関連の書籍をひたすら読み続けて、まだ終わっていないのですが「大阪都」構想の賛否両論について考えてみました。この結果、都構想の賛否両論とは、 「賛成=啓蒙主義者」と「反対=コミュニタリアン」の真っ二つの対決 だったのではと思います。過去の大阪関連の仕事(年間50日以上の大阪出張が数年継続)や、以前読んだ中沢新一「大阪アースダイバー」のほか、 以下、都構想発案者の橋下徹と彼を府知事に推した故堺屋太一共著の「体制維新」、江弘毅著「街場の大阪論」を読んでの仮説です。特に

「本物の教養」出口治明著 を読んで

<概要> 生命保険会社の読書マニアCEOが、人生は「数字・ファクト・ロジックによって自分で考える」という「本物の教養」を身につけると楽しい人生になると提言した書 <コメント> 出口治明さんの対談をネットでみて「説得力があるなあ」と思ったので、早速6年前(2015年)に出版された新書通読。とても読みやすくエッセイのような本なので、あっという間に読了。 感想としては「なるほど」と思う点が多い一方、最後の「時事問題編」については、6年前ということもあって、ちょっと「考え方の古さ

「移動の自由」の重要性とは

新型コロナによって移動の自由が制限されています。「ステイホーム」つまり家の外には出るなということで、歴史上でもよく出てくる「軟禁」という拘束方法に近い状況です。 移動の自由は、実は自由の中でも一番と言っても良い基本的な自由の要件です。 「人を拘束する」とよくいいます。罪を犯せば罰は「移動の自由禁止」です。 歴史的には、拷問や死刑などの罰の方が主流だっったと思いますが、現代世界においては(イスラム国家では鞭打ちという拷問もまだ残存しているらしい)、刑務所に拘束して移動の自

ナショナリズムも虚構の一つ

ナショナリズムに関する古典と言われている本書。装飾的な言葉も多い(著者曰く飽きさせないようだそう?)こともあって読みにくい本ですが、なんとか読了。 認知革命による「虚構の創造」によって原始狩猟社会から脱却した人類(ホモ・サピエンス全史より)は、近代国家が成立するまでは、各地各様の社会の虚構を育んできたと思います。 本書の著者アンダーソンは、ハラリのいう「虚構」のうち、国家体制について「想像の共同体」と定義し「近代国家もその一形態」としました。 したがって「ナショナリズム

ルポ 人は科学が苦手  三井誠著 書評

読売新聞記者による科学への疑念に関するアメリカの現地ルポ。 オークランド大学のマーク・ネイビン准教授(社会政治・哲学)曰く 「私たちが科学的な事実に基づいて判断することなんてほとんどありません。人は自分が思っているほど理性的に物事を考えているわけではありません。何かを決めるときに科学的な知識に頼ることは少なく、仲間の意見や自分の価値観が重要な決め手になっているのです」 地球温暖化の場合は共和党支持者の35%が地球温暖化は人為的と考え、民主党支持者では89%と、政党の支持

歴史上「最も偉い人」とは

まずは、アメリカ人のアベル・ウォルマン(1892ー1989)とリン・エンスロー(1891ー1957)。 と言っても、私も「21世紀の啓蒙」を読むまでは私も全く知りませんでした。 何を基準に「偉い」と判断したかという世界の歴史上「最も多くの人を救った人」。 彼らは何をしたことで最も多くの人を救ったかというと、塩素を使った水道システムを発明したこと。 さて、どれぐらい人を救ったかというとなんと「1億7700万人」 塩素殺菌による水道水の浄化は、赤痢やコレラなどの各種感染