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愛LOVEハンバーグ 

結婚してハンバーグを良く食べるようになった。
ハンバーグは嫌いではないが物凄く好きとゆうわけではない。

私の人生にハンバーグを食する機会が増えたのは私の夫がハンバーグ、大好き人間だったからである。

夫には私に話してくれたハンバーグ伝説があった。
若い頃、今も大好きな某チェーン店のハンバーグを週5日、続けて食べに通ったらしい。
頼むのは必ずデミグラスソースだ。
かなり、自慢気に武勇伝のごとく
私に話した。

私も結婚した当初、手作りハンバーグを
夫の為に作った事があった。
料理本を見ながらその頃は一生懸命作ったものだ。
確か「美味しいよ」と言ってくれた
覚えがあるが、2人で某チェーン店に行った時の夫のテンションの違いに気づいた私は手作りでハンバーグを作るのをいつの間にかやめた。

それからスーパーで売っているハンバーグを買ってきて、夫が自ら焼いていた事があった。それも独自の焼き方でハンバーグをフライパンの隅に立てて少しずつハンバーグの面を焼いていくのだ。
それが夫が編み出した、最高の焼き方なんだそうだ。
私ははっきりいってそんな面倒な焼き方は出来ないし、やりたくもない。
なのでスーパーのハンバーグを買うイコール夫に「焼いて〜」と甘えて焼いてもらう事にしている。料理もしなくていいしハンバーグをメニューにすれば楽ができるようになった。

私はある時、夫に軽い気持ちで聞いてみた。
「人生最期に食べたい物ってなぁに?」
私はもちろん、夫が大好きな某チェーン店のハンバーグに違いないと予測していた。

「炒飯かな!」
夫がきっぱりとした声で言った。

私は「炒飯?」と聞き返した。
声が半音、上がってしまった。
予測してなかった、変化球を投げられた気分だったから。

「お前が作った炒飯かな」
私は「えっ!そうなの!なんで?なんで?」
夫が「だって美味しいじゃん」

そうなのかぁ…。そうなのか!
私はなんだかくすぐったいような気持ちになった。

それ以上、理由は夫に聞かなかった。
だって聞きたくなかったから。
それは夫の戯言だったのかも
知れないからだ。

でも人生最期に食べたい物を
私の手作り炒飯と嘘でも言ってくれる夫で良かったと心から思った。
新婚、当初に戻ったかのように
心がぴょんぴょんと跳ねた。

私は「じゃあ、明日、炒飯作るね」と言って、頬が緩んだ顔で夫に後ろから抱きついた。



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