探す!暴く! 密やかな楽しみ
日々読む新聞でオモシロイ記事に出会うことがある。
ある日の社会面、東京都墨田区でバカラ賭博店摘発の記事を読んだ。見出しは
「バカラ賭博店摘発 責任者の男を逮捕 賭博開帳図利容疑」
とある。最後の奴が見慣れない。「とばくかいちょうとりようぎ」と読むらしい。コトバンクには「自分の利益を図るために自らが主宰して賭博場を開設する罪」と書いてある。
記事によれば店の責任者と、従業員11名、客15名が現行犯逮捕されている(客は賭博容疑)。錦糸町の雑居ビルで開設されていた。錦糸町と言えばJRAのでかいビルもあり、かたや競馬は健全たる公営ギャンブルだ。再びコトバンクによれば、
「法律によって,特殊法人や地方公共団体による施行が許可された賭け事。公営競技,公営賭博ともいわれる。競馬,競輪,競艇,オートレースの 4収益事業がそれにあたり…」だそうだ。公営じゃないから逮捕された。
警視庁組織犯罪捜査4課が逮捕したのだが、記事の後半でいきなり「組対4課」とあり、慣れた記者が慣れない読者に略称を強いた例と言える。
非常に短いこの記事を読んですぐ、何か「変だな」と感じた。社会面の普通の記事なのだが。紙面を閉じてしばらくして再度目をやると、IR錦糸町駅とあった。IR?Investor Relationとは関係がないし、統合型リゾート(IR)整備推進法案、通称「カジノ法案」は頭をよぎるがこれも深読みしすぎ。記事とは全く関係がない。
JRか?JR錦糸町駅のことか?
翌日、小さな「訂正」がかなり恥ずかしそうに赤面モノで出ていた。容疑者の氏名や店の名称などが間違っていたなら、そもそも記事の信ぴょう性が問われる一大事だ。その点、なんとも微笑ましいではないか。
新聞は文章の基本、手本とされ、全国紙は中学生でも読めることが求められている。それゆえそう簡単にこうした記事を見つけることはないだけに、発見してしまった時に快哉を叫ぶ気分になる。ひねくれているだろうか。
バカラと言えば、香港駐在時代にはマカオに何度も行ったが、バカラのテーブルにつく気はしなかった。カードをめくる賭氏のその形相はただならぬ妖気で完全に別空間だった。「大小」やスロットがいいところ。バカラもマカオなら公営なのだが、いずれにしてものめり込みは怪我こそすれ、トータルでプラスになることは「絶対に」無いといえる。
こういう記事は、ネットではしれっと訂正されてしまうが、紙は翌日の「訂正」というのが、何だかこっぱずかしながらも、正直でいい感じがする。たまに、目を皿にして新聞を読んでみてはどうだろう。
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