見出し画像

テンプレと思われようと


三脚にタブレットをセットし動画で記録したいと思った。

校長先生になって3年目。4月から全校生400人余りの小学校に転任した。
2日前の始業式。体育館で初めて出会う子どもたちに私は心をこめて「ふたことあいさつ 」の話をした。私は子どもたちの「まなざし」に感激した。翌朝校門に立つのが楽しみでならなかった。

そして記念すべき初日。

驚いた。

昨日会ったばかりの子どもたちにとっては遠い存在であろう校長先生にこんなにあいさつを、「ふたことあいさつ」をしてくれるのか!

「ふたことあいさつ」は、普段のあいさつにもう一言言葉を添えること。
誰にあいさつをしているかわかるように例えば「校長先生、おはようございます」と言われると心への響き方も変わってくる。
「おはようございます。今日はいい天気ですね!」と言われると「ほんとだねースズメもうれしそうだよ。」と会話が弾む。

私は無我夢中であいさつを返した。一時に集中して子どもたちは登校してくるものだからとても全員に返すことはできない。それでも言葉は「おはよう」の4文字であっても、まなざしは送ることができる。一斉に校門になだれ込んでくる子どもたちに「おはよう!おはよう!」と何度も声をあげながら、前後左右にまなざしを送り、子どもたちのまなざしを受け取る。
決して400人のこども全てが「ふたことあいさつ」をしているわけではない。
しかし、私の「ふたことあいさつ」の解釈に従うなら全員しているとも言える。

小さな声でうつむき加減で「おはようございます」とつぶやく子。他の子の元気なあいさつを横目にチラッとまなざしを送るだけの子。遅刻間際で校長先生と10mも先から対面しているにも関わらず「ガン無視」を決め込む子(笑)
どの子もみんな「ふたことあいさつ」だ。それはあきらかにメッセージを送ってくれているから。そこにいてくれるから。
元気に大きな声であいさつをすることこそ大切!と声高らかに叫ぶ方はまだいらっしゃるだろうし、それも大切な要素のひとつかもしれないが、まずは「つながる」ためのあいさつでありたい。

私は初日のあまりにも感激した校門でのあいさつの時間を翌日に動画で収めた。2日目、感激しっぱなしの校長先生をおもしろく思ったのか、子どもたちに「ふたことあいさつ」の輪はさらに広がった。

校門には毎朝立つ。たくさんの「ふたことあいさつ」がある。そのどれもが尊い。

#未来のためにできること

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?