【ショートショート】『ネコクインテット』
文化祭の三日前、校内は準備を進める生徒たちでごった返していた。
向こうからラッパの剛がやってくるのが見えた。目が合うとニヤッとしながら腹にパンチを見舞ってきた。もちろん軽いおふざけだ。
「ネコちゃんが探してたよ」
「ホントに出んのかよ」
「ああ、ネコちゃんピアノで俺がラッパまでは決まってる」
文化祭のメインイベント「バンド合戦」に出ようと誘われていた。高校生活も最後だから絶対に出るとネコちゃんが息巻いていたのは知っていた。
クラスに戻るとすぐにネコちゃんはやってきた。
「青ちゃんさあ、やってくれるよね?」
「いいけどさあ、あれってハードロック大会じゃね?」
「とにかくさ、ドラムとベースはもう当たりつけてるからさ」
トロンボーンの僕が加わりネコクインテットは結成された。
他の出演バンドは、例年通りツェッペリンとパープルのコピーバンドだらけ。
僕らのジャズコンボはどう見ても場違いに思えた。
「浮きまくりじゃねーかよ。猫でもわかるっての!」
(410文字)
* * *
以上、こちらからお題をいただきました。
ほぼ実話だけに捻りもオチもないですね。
失礼いたしました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?