映像と写真に最適なNDフィルターの考察
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カメラ機材が重すぎて実際は必死なのに、撮影のときは澄ました顔をしながら登山しています(笑)
頑張って撮影しているので、応援よろしくお願いします!
NDフィルターの基本解説
はじめに
NDフィルターは、写真や映像撮影において、光の量を調節するために使用されるフィルターです。このフィルターを使用することで露出をコントロールし、撮影の表現力を高めることができます。
目的や予算、撮影スタイルによって最適となるNDフィルターは異なりますが、いざ購入する検討段階になったとき、網羅された判断基準が示された情報は見つけられませんでした。
それはネットの情報は発信者またはスポンサーの利益となるように商品への誘導が目的とされているためだと考えています。また公式HPやAmazonレビューを見比べていても、素敵なコメントばかりでどれを選んでも正解のように思えてしまい、結局は価格やSNSの口コミだけで選んでしまう可能性が高くなります。
私はこれまで写真用NDフィルターは持っていますが、映像のことを考えると使い分けるか、または共通のNDフィルターを探す必要が生じました。
備忘録して、また悩める皆さんが参考となるよう検討した過程と世界中のクリエイターによるレビューを調査した結果を示したいと思います。
「登山」でも使える軽量でかつ、高品質なNDフィルターを私は求めた結果、Nisiのフィルターが最適解と私の場合は判断しました。皆さんにとってベストなNDフィルターが見つけることを祈っています。
NDフィルターの機能
露出のコントロール:明るい条件下での撮影時、適切な露出を得るために使われます。フィルターを通して入る光の量を減らすことにより、露出オーバーを防ぎます。
写真であればシャッタースピードを早めることで露出調整できますが、映像ではシャッタースピードは基本的に1/50などに固定されており、NDフィルターがなければF22など限界まで絞ることになってしまいます。長時間露出:流れる水や雲の動きなどを滑らかに表現するために、シャッタースピードを遅く設定する際に役立ちます。
水の流れの写真撮影はシャッタースピードを5秒に設定するなど、日中にフィルターなしには撮影することは困難です。被写界深度の調節:明るい光の中でも大きな絞り値を使い、浅い被写界深度を得ることが可能になります。これにより、被写体を際立たせることができます。
映像では日中に開放で撮影するためにはNDフィルターが必須となります。
使用例
写真撮影:水の流れや雲の動きを5秒など長時間露出で撮影し、幻想的な効果を出します。
映像撮影:24FPSであれば1/50など適切なシャッタースピードを保ちながら、被写界深度と露出をコントロールするために用いられます。
必要性
写真撮影
長時間露光を必要としないのであれば、絞り、シャッタースピード、ISOを必要に応じて調整するだけで対応できるため、必要性はかなり限定的になります。
映像撮影
シャッタースピードはモーションブラーを考慮すると必然的に固定して撮影することになります。風景の撮影なら被写界深度を深くするためにF11など絞ることで対象できるシーンもありますが、それ以外のケースでは被写界深度を浅くするためにNDフィルターは必ず用いる必要があります。
もし映像撮影でシャッタースピードを1/1000などに設定すると、映像がカクカクして滑らかさのないものになってしまいます。写真とは異なり、自然な表現にするためにはシャッタースピードを固定してモーションブラーを用いる必要性があります。
モーションブラーを用いるにはフレームレートfpsの2倍程度のシャッタースピードを設定することがセオリーとなります。24fpsであればシャッタースピードは1/50といった感じですね。
NDフィルターの種類
NDフィルターの必要性について理解できたとして、一番難しいのがNDフィルター選びだ。NDフィルターは可変・固定ND、円形・角型フィルターがあり、また様々なメーカーから製品が出ている。どれを見ても説明文では色再現性が素晴らしく、Xムラが発生せず最高品質であると謳っており、何を選んでも失敗がないように思える。
しかし、もちろんそれは宣伝文句にすぎず慎重に検討が必要である。各製品の特徴と製品群でのポジションを整理した上で、リアルな性能をレビューを吟味して検討する必要がある。
多くの媒体ではスポンサーとなるメーカーを批判することなどできず、ベストなNDフィルターを提示することは事実上困難である。また最新製品まで全てを網羅して比較することも当然困難であることから、私の比較検討には一定の価値があると考えている。
以下では、フィルターを分類した上で、最終的に各製品をジャッジした結果を示したい。
可変NDフィルター VS 固定NDフィルター
可変NDフィルターのメリットとデメリット
メリット
調整可能な光量制御: 光の透過量をフィルターを回転させるだけで調整でき、さまざまな光環境に柔軟に対応可能。
利便性: 複数の固定NDフィルターを持ち歩く必要がなく、一つで多様な状況に対応可能。
スピード: 撮影現場の光に合わせて即座にフィルター側で明るさを調整することができ、フィルターを変更することなく、スピーディーに撮影をすることが可能。
価格: 複数のND値に対応できるため、複数のフィルターを揃える必要性がなく、コストパフォーマンスが高い。
デメリット
画質の問題: 最大ND値に設定したときに色変化が生じることが多々ある。ND2-400まで対応していても、実際に品質面で使用できるのは32までという商品が複数存在している。
光学的な品質: 固定NDフィルターに比べて光学的な品質が劣る場合が多い。
構造上の問題: フィルターが物理的な損傷を受けた場合、濃度調整のために回転させることができなくなり、実質的に使用できなくなることもある。
固定NDフィルターのメリットとデメリット
メリット
画質の一貫性: 特定のND値に設計されており、色再現性と画質の安定性が高い。
クリエイティブな効果: 例えば後述の角型フィルターでは中央部分だけND機能がある製品があり、部分的に露出調整できるものがある。
色変化のリスクが低い: 最大ND値での色変化のリスクが少ない。
構造の単純化: 耐久性が高く、長期間にわたる使用に適している。
デメリット
柔軟性の欠如: 一定のND値に固定されているため、異なる光環境に迅速に対応することが難しい。
コスト: 複数の固定NDフィルターを購入する必要があり、全体的なコストが高くなることがある。
取り付けの手間: 状況に応じてフィルターを頻繁に交換する必要がある。
これらの点を考慮して、使用するフィルターを選ぶ際の参考にしてください。また、ブログ記事では、これらの特性を詳細に説明し、読者が自分の撮影スタイルやニーズに合った選択をできるように情報を提供すると良いでしょう。
円形フィルター VS 角型フィルター
円形フィルターのメリットとデメリット
メリット
取り付けが簡単: レンズに直接ねじ込むだけで取り付け可能。
携帯性: 小さくて軽いため、持ち運びが容易。
互換性: ステップアップリングを使用すれば、異なるサイズのレンズにも対応可能。
コスト: 角フィルターに比べて一般的に安価。
デメリット
サイズ制限: レンズのフィルター径に合わせたサイズが必要で、レンズごとに異なるサイズを用意する必要がある。
機能性の限界: 特定の撮影技法、例えばグラデーション効果などには向かない。
角型フィルターのメリットとデメリット
メリット
汎用性: 異なるサイズのレンズに同じフィルターを使用できる。
制御性: フィルターの位置や角度の調整が可能で、特にグラデーション効果などの撮影に適している。
複数のフィルターの使用: フィルターホルダーに複数のフィルターを同時に取り付けられる。
デメリット
コスト: 円形フィルターよりも高価なことが多い。
取り付けの手間: フィルターホルダーを取り付ける必要があり、取り付けに少し時間がかかる。
携帯性: 角フィルターは大きく、持ち運びが円形フィルターに比べて不便。
マットボックスの選択肢
ND フィルターの種類について説明してきましたが、どのフィルターにも一長一短がありました。マットボックスを使うことで、例えば円形フィルターと角型フィルターを組み合わせて使用することができ、いいとこ取りできるようになります。以下にそのメリットとデメリットをまとめます。
マットボックスのメリットとデメリット
フレアやゴーストの防止: マットボックスはレンズに直接取り付けられ、不要な光や反射を遮断します。これにより、映像のコントラストと色彩が向上します。
可変NDフィルターを装着するとレンズフードを付けられなくなりますが、そのフードの代わりとなります。複数フィルターの使用: 多くのマットボックスにはフィルタースロットが備わっており、NDフィルターやブラックミストの角型フィルターなどを簡単に取り付けられます。
レンズの保護: レンズを直接の衝撃や悪天候から保護します。
プロフェッショナルな外観: マットボックスを取り付けることで、機材全体がよりプロフェッショナルな外観になります。
風切り音の制御: 一部のマットボックスには、外部ノイズや風の影響を軽減するためのサウンドブロックを提供するモデルもあります。
レンズの切り替え:各レンズにアダプターを取り付けることで、円形フィルターよりスピーディーに取り付けて使用するができる。
大口径レンズに対応:95mmなど大口径レンズにも対応できる。
アダプターリングが付属:口径別にアダプターリングが付属しており、どんな口径のレンズにも対応できる。
デメリット
サイズと重さ: マットボックスは比較的大きく、重いため、機動性が制限されることがあります。
価格: カーボンを使用した高品質のマットボックスはかなり高価になることがあります。
取り付けと調整: 取り付けや適切な位置への調整に時間がかかることがあります。
携帯性: 持ち運びに不便であり、特に屋外や移動が多い撮影では取り扱いが難しい場合があります。
NDフィルターの判断基準
どのフィルターにも一長一短がありますが、どこまでメリットを求めるか、デメリットを受け入れるか、個人のニーズに合わせて考える必要があります。
その判断基準となる要素を製品ごとに検討して、メリット・デメリットとしてまとめています。
重量
フィルター口径
価格
色再現性
カラーシフト
フィルターの種類
装着のしやすさ
VND 製品一覧
Nisi
NiSi 可変NDフィルター TRUE COLOR VARIO 1-5stops (ND2-32)
評価ポイント
色再現性が可変NDフィルターの中ではトップクラス
専用のフィルターカバーが付属
ブラックミストフィルターやND16を押し込み式で追加できる
マグネットではないため、砂鉄が付着するリスクが低い
ND16(固定ND)は可変NDより高い品質のため、可変NDフィルターと組み合わせることで、5stop以上に濃度をあげたときに品質劣化を最小限に抑えることができる。
課題
カラーシフト: 若干黄色・緑色による(補正可能)
VNDは最大値の5 stopまで回すと品質が低下する。
ケラレ:複数枚重ねると広角域で発生する
ねじ込み式:レンズを交換するとき都度取り外しが手間になる。
ブラックミストだけ使用するときは専用のアダプターをつけなければいけない
色が黒ではない
フィルターケースは嵩張るため不評
レンズフードを取り付けることができない。
総評
価格帯は比較的高額の部類ではある。
VNDの中では最も色再現性が高いため、フィルタータイプの製品では第一候補になるはずだ。
色がシルバーのため、装着していることを忘れないメリットがある一方で、黒で統一したい人には大きな不満ポイントとなるか。
5stopまで回すと品質が低下するのは可変NDフィルターの宿命とも言えるが、固定ND16を重ねて使用することで1+4stop=5stopを高いクオリティで使用できるのは素晴らしいシステムだ。
広角ではケラレが発生するが、ブラックミストを押し込みだけで使えるのは大きなメリット。
コンパクトで軽量なため、機動性重視であれば最もおすすめできるNDフィルターといえる。
おすすめの人
価格より品質重視
コンパクトで軽量なフィルタータイプを求める人
機動性重視な人
映像での使用がメインな人
フィルターの色(シルバー)を気にしない人
NiSi マットボックスC5 フィルムメーカーキット
評価ポイント
色再現性:円形の可変NDフィルターTRUE COLOR VARIOと同様に、VNDの中では最も色再現性が高い
多様なフィルターオプション: 4x4フィルターや4x5.65フィルターだけでなく、専用の回転式VNDフィルターも使用できる。
堅牢な構造: アルミニウム、プラスチックコンポジット、カーボンファイバーを使用しており、頑丈。
軽量設計: フィルターなしで350gという重量は、持ち運びや操作に便利。
直接取り付け可能: 外部径が95mmのレンズに直接取り付け可能で、標準キットには67mm、72mm、77mm、82mmのリングアダプターが含まれている
カスタマイズ可能: さまざまなサイズのリングアダプターが含まれており、多くのレンズに対応。
フィルターの近接配置: フィルタートレイをレンズの近くに配置することで、不要なフレアや光の反射を軽減
エアフロースロット: 風の影響を軽減するための設計
コスト効率: キットをまとめて購入することで、個別購入よりもコストを抑えられる。
付属品:高品質のキャリングケースも付属します
課題
カラーシフト: 僅かに黄色・緑色による(補正可能)
枚数制限:円形NDと角型フィルターを1枚ずつしか付けれず、複数のフィルターを同時に使用する際の柔軟性が制限される
価格: 高品質なマットボックスなため、価格設定は高い。
携帯性:サイズは比較的大きく、重さはフィルター無しで350g
上部フラグの取り外し不可: 取り外せないため、使わない時に邪魔になる可能性がある。
総評
価格帯は円形フィルターと比較すると2倍以上となり高額の部類ではある。
フィルターの品質が最も優れており、マットボックスの中では最適解だと思える。
おすすめの人
予算よりも品質重視
TILTA
Tilta Matte Box (Mirage VND Kit)
評価ポイント
円形フィルター:2枚同時に取り付け可能なオプション。角型フィルターの組み合わせよりは小型軽量で安価に運用できる。
課題
総評
広角レンズを使用したいなら、ケラレが発生するため選択肢から外れる
可変NDは1〜9ストップまで採用したことでVNDの品質を落としており、NisiのVNDのほうが品質面で優れている
円形フィルターを2枚重ね付けできるため、Vaxisの高品質な固定NDを2枚組み合わせて運用するのも一案か
おすすめの人
軽量で安価なマットボックスを探している人(2万円以下で購入可能)
VNDなどフィルターは他社製品で探している人
広角レンズを使用しない人
PolarPro
PolarPro - BaseCamp
評価ポイント
軽量性: BaseCampは極めて軽量であり、ドローンやジンバルでの使用にも適しています。
フィルターの交換のしやすさ: マットボックスによりフィルターの交換が簡単で迅速にできるようになっています。
画質の向上: 様々なフィルターを使用することで、ビデオや写真の画質が向上します。
多様なフィルターオプション: NDフィルターやミストフィルターなど、多種多様なフィルターが利用可能です。
プロフェッショナルな外観: このシステムを使うことで、よりプロフェッショナルな撮影環境を構築できます。
課題
コスト: 高品質な機材であるため、価格が高めに設定されています。
専用フィルターの必要性: PolarPro独自のフィルターシステムを使用しているため、他社のフィルターは互換性がありません。これが一部のユーザーにとってデメリットになる可能性があります。
設置の複雑さ: 初心者にとっては、セットアップがやや複雑に感じられる可能性があります。
携帯性の制限: 軽量ではありますが、装備が増えると持ち運びに影響が出ることがあります。
総評
価格帯は高額の部類ではある。
発売が2019年のためより魅力的な選択肢がいまはあるように思える
おすすめの人
特になし
PolarPro 82mm 可変NDフィルター (2~5ストップ)【Peter McKinnon Signature Edition II】PMVND ED2
評価ポイント
ビネット効果の軽減: 16mmの焦点距離のレンズまでゼロビネットを実現
Defender360: 360°のフィルター保護機能により、防水・防塵性能を備えています
課題
カラーシフト: 濃度によっては大きく緑色に寄る(補正困難なケースあり)
周辺減光:VNDは5stopでは周辺減光あり
ねじ込み式:レンズを交換するとき都度取り外しが手間になる。
総評
価格帯は高額の部類ではある。
大きく緑色に色ずれするため、高価格帯な割に品質に大きな疑問が生じる。
デザインや保護の仕方はコラボ商品ということもあり素晴らしい。
おすすめの人
特になし
K&F Concept
K&F Concept 82mm 可変NDフィルター ND2-ND32 TRUE COLOR 黄色被り解消可能 両面28層コーティング 光学ガラス 撥水撥油キズ防止 フィルターケース付き (NANO-Xシリーズ)
評価ポイント
リーズナブル:ほかの可変NDと比較すると半額近い価格設定である。そのためAmazonのカテゴリーランキングで1位となっている。
課題
周辺減光:VNDは5stopでは周辺減光が確認される
ねじ込み式:レンズを交換するとき都度取り外しが手間になる。
カラーシフト: 濃度によっては大きく緑色に寄る(補正困難なケースあり)
フィルターの重ね付けの制限: フィルターの前面にネジ山がないため、他のフィルターの重ね付けができない。
総評
大きく緑色に色ずれ、補正困難なため安価であること以外のメリットがない
Amazonではカテゴリー1位だが、せっかくの映像や写真を台無しにする可能性が高い。
おすすめの人
特になし