Nikon Z8とPanasonic GH7の組み合わせを妄想している話
現状と課題の整理
最近、登山での撮影における機材の運用について、いろいろと思いを巡らせています。現在、私はNikon Z8をメインカメラとして使用しており、標準ズームレンズとして24-120mm F4を愛用しています。
この組み合わせは画質も操作性も素晴らしく、ほとんどの撮影シーンをカバーできる万能セットです。しかし、山岳撮影においては、さらに望遠が必要になる場面もしばしばあります。
雷鳥などを撮影するシーン、遠くの山稜を撮影するには、標準ズームでは足りないのです。これは以前SONY α7RIIIに100-400mmをつけて撮影した写真の一例です。望遠レンズがなければ、この写真は撮影できませんでした。圧縮効果による描写の違いがあるため、標準レンズで撮影してトリミングしても同じ写真にはならないのです。
望遠レンズの課題
以下の記事のように望遠レンズの追加購入を検討していました。
しかし、フルサイズのカメラと望遠レンズの組み合わせは、どうしても大きくて重くなります。さらに、登山中にレンズ交換をするのはかなりの手間です。一度ザックを下ろしてレンズを交換し、その後すぐに元の24-120mm F4に戻したくなるようなシチュエーションも頻繁にあります。
これでは、せっかくの撮影チャンスを逃してしまいかねません。そこで、もう一台カメラを導入し、望遠レンズを常に装着しておくというアイデアが浮かびました。
フルサイズカメラをもう一台?
まず考えたのは、もう一台Nikon Z6IIIなどフルサイズカメラを追加購入する案です。これなら既存のシステムと完全に互換性があります。
そしてTAMRON 50-400mm F4.5-6.3が購入する望遠レンズの第一候補です。
いくら軽量、コンパクトな設計とはいえ、フルサイズの望遠レンズはやはり大きく重い。これでは登山の携行性という点で問題が残ります。また、これ以上の小型の望遠レンズを選ぶと明るさや画質が犠牲になりかねません。
マイクロフォーサーズの可能性
ここで思いついたのが、もう一台のカメラとしてマイクロフォーサーズ規格のPanasonic GH7を導入する案です。Panasonic GH7は、マイクロフォーサーズ規格でありながら高性能な動画・静止画撮影機能を持つカメラです。
LEICA DG VARIO-ELMARIT 50-200mm F2.8-4.0レンズとの組み合わせでは、35mm換算で100-400mm相当の焦点距離が得られるため、小型・軽量ながら超望遠撮影が可能です。このレンズは約655gと軽量で、防塵防滴仕様も備えており、登山中でも安心して使用できます。
GH7自体もコンパクトでありながら強力な手ブレ補正機能を持ち、動きながらの撮影や手持ち撮影でも安定した結果を得られるため、登山中の機動性を損ないません。
また、GH7は動画性能にも定評があるため、静止画撮影だけでなく、登山中の動画記録にも活用できます。この多機能性は非常に魅力的です。
画面全体にピントを合わせるパンフォーカス撮影をする場合、フルサイズのカメラより有利に撮影できる点がメリットでもあります。
フルサイズでは被写体との距離によってはフォーカスブラケット撮影が必須になりますが、その必要性が減る可能性があり、その点でも魅力を感じます。
登山でのカメラ機材選びのポイント
登山では以下の条件が重要です:
軽量性・携行性:長時間の移動を考慮し、装備の軽さが求められます。
焦点距離の実用性:風景や遠景の撮影に適した焦点距離が必要です。
耐候性:防塵防滴性能や耐低温性能があると安心です。
操作性:素早く構図を決められる操作感。
LEICA DG VARIO-ELMARIT 50-200mm F2.8-4.0
軽量・コンパクト
重量は約655gで、登山時に携行するには非常に適しています。また、マイクロフォーサーズ規格のため、カメラボディも軽量化されるメリットがあります。その上、広角端でF2.8、望遠端でもF4と明るいため、低光量環境や被写体分離が求められる場面で有利です。特に背景のボケ味が美しく、ポートレートや動物撮影にも適しています。焦点距離(35mm換算100-400mm)
登山中の風景や遠景撮影に十分な焦点距離をカバーします。さらに、1.4倍や2倍テレコンバーター対応で、最大800mm相当まで焦点距離を拡張可能。野生動物や遠景撮影に最適です。耐候性
防塵防滴・耐低温仕様で、過酷な環境でも安心して使用できます。操作性と描写力
このレンズはズーム全域で中央の解像度が非常に高いが、望遠端(200mm/400mm相当)では周辺部がややソフトになることも。F8まで絞ることで実用上大きな問題にはならないようですが、F11では回折の影響が出始めるため、若干の描写低下が見られるようです。
TAMRON 50-400mm F4.5-6.3
重量とサイズ
重量は約1,115gで、LEICA DG 50-200mmよりも重く、大きいです。登山中に持ち運ぶ際には確実に負担になりますが、それでもフルサイズ対応レンズとしては軽量な部類です。焦点距離(50-400mm)
標準から超望遠まで対応できるため、汎用性が非常に高いです。さらに最短撮影距離が広角端でわずか0.25mと短く、最大撮影倍率は0.5倍。マクロ的な撮影も可能で、高山植物など小さな被写体にも対応できます。耐候性
防塵防滴性能が備わっていますが、LEICA DG 50-200mmのような徹底的な耐候性設計にはやや劣ります。操作性と描写力
TAMRONレンズはズーム時にやや固いようです。中央部の解像度が非常に高いが、400mmでは隅がまだ少し甘くなる傾向があるため、周辺部の解像度改善には絞り込む必要があります。
どちらが良いか?
Nikon Z8 + TAMRON 50-400mm F4.5-6.3
この組み合わせは既存機材を活用できるためコスト面で有利ですが、重量とサイズが大きく登山時には負担となります。また、多用途性は高いものの、長時間携行する場合や取り回し面では不便さを感じる可能性があります。
Panasonic GH7 + LEICA DG VARIO-ELMARIT 50-200mm F2.8-4.0
この選択肢は軽量・コンパクトで登山向きです。特に「Z8 + 24-120mm F4」と「GH7 + LEICA DG 50-200mm」を併用することで、広角から超望遠までシームレスに対応できる柔軟性があります。新たな投資が必要ですが、その分登山中の撮影体験が大幅に向上します。
最終的な選択:Nikon Z8 + Panasonic GH7の組み合わせ
私が考える理想のセットアップは、メインとしてNikon Z8を、サブカメラとしてPanasonic GH7を使用するスタイルです。この組み合わせのメリットを整理します。
Nikon Z8
フルサイズセンサーの高画質
Nikon Z8は4571万画素のフルサイズセンサーを搭載しており、非常に高い解像度とダイナミックレンジを持っています。日の出日の入りなど低照度の環境において、静止画の品質を最優先する場面で活躍。
NIKKOR Z 24-120mm f/4 S
標準ズームで多様なシーンに対応。
Panasonic GH7
マイクロフォーサーズの軽量性
望遠撮影用として高い携行性を発揮。GH7本体(約658g)とLEICA DG 50-200mm(約655g)の合計重量は約1,313g。Z8とTAMRONの組み合わせより750g以上軽く、登山時の携行性が大幅に向上します。
50-200mmの汎用性
マイクロフォーサーズ規格による2倍クロップ効果で100-400mm相当の画角が得られるため、望遠撮影にも十分対応できます。また、別売りテレコンバーターでさらに焦点距離を伸ばすことも可能です。
優れた動画性能
Nikon Z8と同様に静止画と動画を1台でカバーできるマルチタスク性で、バランスがとてもいい。
登山での運用方法
Nikon Z8 + 24-120mm F4
登山の大半ではこのセットを使い、広角から中望遠のシーンをカバー。風景や登山道の様子を中心に撮影します。
Panasonic GH7 + LEICA DG 50-200mm
雷鳥や遠くの山々を素早く撮影するために、GH7は常に手元に準備。望遠が必要な場面で即座に対応可能。
結論
Nikon Z8とPanasonic GH7の組み合わせは、それぞれの強みを活かしながら登山時や多様な撮影シーンで効率的かつ快適な体験を提供します。Z8で広角から標準域を担当しつつ、GH7で超望遠域を補うことで、機材全体のバランスが良くなるでしょう。この構成は特に「軽さ」「機動性」「画質」のバランスを重視する方におすすめです。