バイクに乗るのが夢だった4
2024.6.24の出発です、だいぶ前の話です。東北秘湯の旅に僕は出かけました。この2ヶ月後に中型バイクの免許を取得することになるのですが、この時はそんなことは頭の片隅にもなく、ただただ愛しのカブとの旅でありました。
今回の行程はフェリーを除いて実質3泊4日。秘湯を巡る旅です。
フェリーは行き帰り共に太平洋フェリー。行きは19:00発、翌日の10:00着。帰りは19:40発、翌日の11:00着です。
この旅は順調な旅で、それほど強調するような出来事もなかったのですが、その分落ち着いて楽しめた旅でした。
〜雨中の出発〜
バイクに乗っていて、これはカブも同様ですが一番嫌なのは「雨」です。寒いのもきついけれど、雨はやっぱり一番嫌です。いつも「出発の時は晴れていて欲しい」と願います。
この日は、バッチリ雨の予報。疑いようのない予報です。フェリーが出る苫小牧までは自宅からは2時間弱。なるべくなら雨の降り方が弱い時を狙って出発しようと思いました。苫小牧まで行ってしまえば何とかなります。イオンで時間をつぶすこともできます。問題は苫小牧までの2時間をどうするかということです。
最初は雨に対する重装備で準備をしていました。
でも、雨が小やみになったので、結局一段軽い雨装備で出発しました。
ところが、これが甘かった。どんどん雨は強まり、50キロほど離れた「むかわ」という町で雨宿りです。道の駅の休憩室みたいなところです。
半端でない濡れ方なので、風邪ひいたら大変ですから、衣服を脱いで乾かします。
ちなみに足元だけは完璧です。カブに乗っている時に足元をどうするかは結構大切な問題です。ギアチェンジは足の裏を使うのでつま先の補強は必要ありません。第一カブに本格的なライディングシューズは不釣り合い。色々試しましたが、結局一番信頼できるのは「長靴」であるという結論に達しました。あまりにごつい長靴は蒸れるので短めのヤツ(短すぎるのはだめ)
この長靴が最高。ある旅の最中に八戸のワークマン(だったと思う)で購入したものです。
だから足元は完璧、体はびちょびちょという状態でした。幸いフェリーの時間にはだいぶあるのでゆっくり乾かして、苫小牧に着いてからコインランドリーで乾燥機に入れて事なきを得ました。
フェリーは快適でした。いつもフェリーに乗る前には苫小牧のマクドナルドによることにしています。そこで夕食をとってからの乗船でした。
昔のフェリーといえば絨毯敷きの雑魚寝でしたが、今は余程の近距離でないとあんまり一般的ではない。ちゃんと個室になっています。一番安い船室です。
風呂に入るのも楽しみの一つです。以前も記しましたが、食事をケチるのが私の流儀です。夜はマクドナルドで済ませているので、朝だけは売店でパンを買って食べました。無事仙台に到着。
〜今回の旅〜
25日は仙台から「奥小安峡 大湯温泉 阿部旅館」26日は「乳頭温泉 大釜温泉」27日は「夏油温泉」という3つの宿を回りました。
阿部旅館は以前4月に妻と東日本を巡った旅(いずれ投稿します)に日帰りで入浴だけしました。とても感じが良かったので、「絶対にカブで来たい」と思っていた宿です。「秘湯を守る会」からの予約です。
大釜温泉は、有名な「乳頭温泉郷」の一番上にある宿です。鶴の湯など人気の宿は外国人の人ばかりになっていたり、とにかく混んでいて商売っ気が感じられて、30年位以上前から知っている僕としてはちよっと悲しくなったりする。宿の方に怒られるかもしれないけれど、一番地味な宿です。携帯は圏外。WIfiも怪しい。
3泊目は夏油温泉。
ここは、秘湯としては有名。有名だけど全く情報はなかった。
結果から言うと「度肝を抜く」秘湯でした。
〜阿部旅館〜
期待を裏切らない温泉でした。
食事が猛烈に美味しかったです。
山菜のオンパレード、川魚の塩焼き(これが熱々で出てくる)どれもこれも美味しかったです。
カブで旅するときは、基本的にはカッコつけて言うと「孤独を友として」旅をします。集団旅はカブではしない。だからこそ、できる時は丁寧に人と話をするようにしています。例えばガソリンスタンドで。道路工事の誘導員なんかには必ず丁寧に頭を下げて通るようにしています。宿では働いている人とよく話をします。この食事があんまり美味しくて嬉しかったので、給仕してくれたおばさんに「美味しいですね。山菜のオンパレードですね」って言ったら、おばさん曰く「たまに、『山菜とか全然食べられない』ってお客様もいるんですよ」って言ってた。多分、本音では「じゃあなぜうちの宿を選んだの?」って思っている事だろう。
ネットを使います。僕もある程度は。Amazonの買い物なんかもする。やはり口コミなんかは参考にします。たまにすごい人いますね。Amazonでたとえば、そうだなTシャツ買ったとしましょう。評価は星一つ。コメントを見ると「台風で到着が遅れたので、評価は星一つです」って。Amazonもきついなあ。商売柄、僕は色々苦情も受けた。その中には「確かにその通り、申し訳ない」ってこともあったけど、「すいません」って言葉が出せないようなものもありました。ちょっとそんなことも思い出しました。
〜大釜温泉〜
乳頭温泉は、田沢湖近辺にあるいくつかの温泉宿の総称です。泉質も宿の様子も全く違います。昔、この近くのキャンプ場に泊まって、日帰りで何軒か回ったことがあったので、今回もそれを楽しみにしていました。
しかしながら、ほとんどの乳頭温泉の日帰りは休みだったり時間が合わなかったりで、「鶴の湯」だけ入って大釜温泉に入り浸ることにしました。
夕食は前日に引き続き、山の物のオンパレード。北海道ではあまり食べない「鯵の開き」が格別に美味しい。秋田らしく「きりたんぽ鍋」も出ました。
特別だったのが、いぶりがっこです。柔らかめで、今まで食べた中では断然一番でした。宿の方に「どこで買えますか?」と聞くと、田沢湖の近くの「パインテール」というお土産屋さんで売ってるとのこと。そこで作っているそうです。
次の朝、僕はパインテールに行ってみました。優しいおじさんとおばさん、かなり長居しました。田沢湖の「パインテール」ぜひ行ってみて下さい。僕はこの時カブで行きました。次の年今度は「キャンピングカー」で再訪しています。「今度は何に乗ってくるのかな?」とおばさんは言いました。できるならば今度はGSRで再訪したいものです。
〜夏油温泉〜
ここは、本当に秘湯でした。10キロ以上も山道を通ったでしょうか・・・道を間違ったか、と思い始めた時忽然とその温泉はありました。
エアコンもないけれど、恐ろしいほどの静寂と暗闇が心を癒してくれたように思います。
本当の秘湯でした。
帰りは、いくつか温泉に立ち寄り仙台を目指しました。
〜仙台〜
仙台ではフェリーの時間まで楽しい時間を過ごします。まずはカブをおかなくちゃ。札幌などでもそうですが、昔は自転車でもバイクでもどこにでも駐輪することができましたが、今は結構大変です。自動車よりも置き場に困ったりもします。
仙台は素晴らしい。
ちゃんと駅前に置けました。
計画していたのは、牛タン弁当です。フェリーのレストランは使わないでいる僕は、普段も食事にはお金を使いません。ケチケチ旅がうまく行ったので、少しばかり予算に余裕ができました。だから、仙台駅で「牛タン弁当」を買ってフェリーの中で食べようという贅沢です。
一番高い弁当にしました。結構したなぁ。
これ、糸を引っ張ると熱々になります。
もう一つ、感動したことがあった。
昔から思っていたのだが、フェリーって入港してからどうやって出航できるように向きを変えるのだろう、これが疑問だった。沖に出てから向きを変えるのかな?とか思っていた。
たまたま、ほくがデッキに出ている時だった。
タグボートが現れた。
タグボートは、ちょっとした漁船みたいな大きさだ。そいつが、フェリーのしりに縄をかけて引っ張るのだ。後ろに引っ張るだけではない。力技で180°回すのです。本当に初めて見たので驚きました。タグボートはフェリーが出航しても港内は並走する。並走して見守るのだ。そして、僕たちを見送った。何ともかっこいい。プロの仕事でした。
ずっと雨に塗れることを危惧していたけれど、結局本州に渡ってからは一度も雨に打たれずに旅を終えることができました。
では、また。
最後までお読みいただきありがとうございました。