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メガソーラーが阿蘇の草原を破壊する

熊本県と大分県にまたがる阿蘇地域は世界最大級のカルデラと、日本最大級の草原地帯を有している。

春の野焼き、初夏の新緑、夏の青々とした大草原、秋の紅葉、冬の雲海と雪景色。力強い火山と雄大な山々の大自然が融合する景色をバックに、大草原では放牧の馬や牛がのんびりと草を食む。阿蘇の草原は、“千年草原”と呼ばれ、日本書紀に記載が残るほど古くから存在し牛馬が草を食み、人間が野焼きをし、受け継がれてきた。

阿蘇地域は日本全国のみならず、世界から人々が心身の癒しを求めて訪れる日本有数の観光名所である。

この美しく、雄大な阿蘇の大草原に異変が起きていることをご存知だろうか。

「いつの間にこんなことに・・・」絶句する県民。失われる阿蘇の大草原
3月中旬、西日本新聞で報道された一枚の写真が人々に衝撃を与えた。

阿蘇外輪山の元牧野に開発されたメガソーラー

阿蘇の広大な草原地帯が真っ黒なメガソーラーに覆われ、その光景は黒光りするタールがグロテスクに草原に垂れ込んでいるような印象を受ける異様な光景が広がっていた。

「阿蘇くじゅう国立公園」は国が管理するが、近接地域や公園内でも規制の緩いエリアではメガソーラーの建設が可能となり、相次いで建設が進んでいる。「農地」は規制が厳しいが、草原は「森林」扱いのため、要件が整えば森林法に基づいて林地開発許可がおりる。そして、公園内の「普通地域」と呼ばれるエリアは、届出のみで建設できるのだという。

担い手不足や高齢化、畜産業の低迷で放牧される牛の頭数が激減し、使用されなくなった草地を企業が買い叩いたということらしい。

草原地が破壊されることは大きな問題となる。
阿蘇地域は火山灰土壌であり、急傾斜地も多いことから、土砂崩れしやすい地域である。草原の草は根を張り、水土保全機能を発揮して斜面を土砂崩れから守ってきた。草地は涵養効果もあり、熊本の豊富な地下水にも貢献している。

「偽りのエコ」太陽光発電は環境を破壊する
① 自然破壊

メガソーラーを設置された土地の土壌ではどんな変化が起きるのだろうか。

地球上のあらゆる植物、微生物を含む生物は、太陽の光を浴びることでエネルギーを産み出し生息している。メガーソーラーによって太陽光の大半を奪われることになると、草は枯れ、土壌の生態系も大きく崩れることが予想される。

② 設備の製造・破棄時に大量のCO2を排出する

皮肉なことに、CO2を削減することを目的とした太陽光パネルが、製造時に火力の電気で大量にCO2を出しながら製造されているという矛盾点も指摘されている。製造時のCO2排出の相殺には2〜3年の稼働が必要と言われるが、パネルの劣化などで発電効率が悪ければそれ以上になる。さらに、パネルには寿命があり、廃棄時にまた大量のCO2を排出することになる。

③ 有害物質の土壌汚染・地下水汚染

災害によって破損したパネルから有害物質が漏れ出る可能性もある。九州は台風も多く、メガソーラーの設備が破損する可能性は十分にあり得る。

太陽光発電に含有される可能性の高い有害物質は、鉛、カドミウム、ヒ素、セレンである。環境省の太陽光パネルの破砕片の溶出試験では、鉛、セレン、カドミウムの溶出が基準値を上回る値で検出されている。

環境省のガイドラインでも「ガラスが破損した使用済み太陽電池モジュールは雨水等の水漏れによって含有物質が流出する恐れがある」とされている。

さらに、太陽光パネルの廃棄はリサイクル・埋め立ての二通りであるが、埋め立ての場合の土壌汚染や地下水汚染も気になるところである。

https://www.env.go.jp/content/900533586.pdf


環境破壊だけじゃない!メガソーラーは家計も圧迫する
再生可能エネルギーの拡大のよるFIT賦課金の増加は国民の家計を圧迫しているが、問題はこれだけに止まらない。
太陽光発電や風力発電のような自然変動性の高い電源は、電力需要に応じた供給をすることができない。

太陽光の場合、晴天時は発電量が需要を超えてしまい、超過発電によって既設の火力発電所の稼働が低下し、固定費回収が遅れて火力発電のkWhあたりのコストが上昇する。

逆に雨天時には、電力需要を満たすために火力発電を必要とするため、再生エネルギーをいくら増やしてもバックアップの火力発電をストップすることは不可能である。火力発電は稼働率が低いとコストが異常に高くなるので、それを日本社会で負担することになるのである。


太陽光パネルはほぼ中国製
日本の太陽光パネルの8割以上は輸入品で占められている。世界シェアの7割強が中国製、それに韓国、マレーシアが続き、3カ国で約85%を占めている状態である。

つまり、日本の国内メーカーに利益が上がるような事業でもないのだ。

だが、それだけではない。中国製太陽光パネルの活用についてはESGの観点から国際的な問題が首をもたげてきている。太陽電池のパネルは、高純度の多結晶シリコンウェハに光電効果を持たせる半導体処理を行って製造されているものだが、その多結晶シリコンの生産シェアの45%を中国の新疆ウイグル地区が握っているとされる。太陽光パネルは新疆ウイグル地区の強制労働を助長するような事業なのである。


阿蘇の美しい景観と環境を破壊し、熊本県民を悲しみの底へと突き落としたメガソーラー。果たしてそれに見合った価値があったのかと甚だ疑問である。


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