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ニッチで最高なアンソロジーを主催した話
こんにちは、笹島と申します。
普段はゲームのシナリオを深読みしてウンウン言ってるこのアカウントですが、今日は自分が主催したものの話をさせてください。
先日、私の推し、声優の笠間淳さんの朗読番組「黄昏古書堂」(通称、たそこしょ)内のコーナーで生まれたキャラクター「たそこしょガールズ」のウェブアンソロジー企画「Weekend!(ウィーケン!)」を主催し、記念ブックレットを発行しました。
はっきり言ってめちゃくちゃニッチな企画にも関わらず、番組を愛する11名の方から作品を寄せていただき、他にも沢山の方のご協力を受け、さらにはいちファンの企画なのに番組内でご紹介・応援までいただきまして、企画を無事に完遂することができました。
本当に関係頂いたみなさまに感謝申し上げます。
今日は、そんな私が主催した最高のアンソロジー企画の裏で、何を考えたり、何をしていたのか、という話を言語化して記録します。
世の中に企画は数あれど、そして何をもって最高と呼ぶのかの尺度は人によるものですが、私はこの「Weekend!」という企画は最高だと断言します。
何故なら、この企画はやってみたいことをほとんどやらせていただくことができた企画だからです。
告知動画まで作っていただいたので見てほしい。
https://twitter.com/weekend4tgirles/status/1336301156352454656?s=21
■そもそも、なんで企画したの?
企画を思いついたのは昨年、2020年の6月頃です。
コロナのために毎月、下手すると毎週のように顔を合わせていたファン仲間と楽しいを共有できなくなってしまったのが寂しくて、何か一緒に遊べること、できることはないかな、と考えておりました。その選択肢のうちの一つがアンソロ企画でした。
そんな中で、2020年6月~10月の番組で、かねてから番組内のファンアートなどで人気だった「たそこしょガールズ」の設定を説明しながらファンアートを紹介していくコーナーが開催されまして。
推し含め番組制作陣の熱量の高さは勿論、投稿されるファンアートにみっちり詰まったラブにすっかり酔ってしまった私は、もっと見てえ~~~~!!これアンソロいけそうじゃない??いけそうだよね!?いっちゃうか!!!と、軽率に企画をスタートしたのでした。
そもそも、黄昏古書堂という番組にはリスナーがファンアートを作成して投稿し、番組内で紹介するという文化があります。お便り募集がはじまった第2回以降、途切れることなくほぼすべての回でファンアートが投稿されているのは驚異的です。
これは、ファンアートを歓迎する番組の雰囲気はもちろんですが、古書堂の店主たる笠間さんが、朗読の脚本をご自身で執筆されていることも大きいのではないかと。
表現者として、そして創作者としてのお話を聞いていると、「何か自分も作ってみたい」という気持ちを刺激されるのか、投稿されるファンアートはイラストにとどまらず、マンガから小説、短歌、切り絵、アニメ、オリジナル楽曲、音声、写真、コスプレ、ドール、ケーキなど、実にバリエーション豊かです。
■企画テーマについて
番組内で、テーマを設定してファンアートを募るコーナーがある以上、テーマ設定は番組と絶対被らないものにする必要がありました。
そこで、番組の「黄昏古書堂という古書店に月一で集まって、店主の朗読を聞いているのがこの番組。たそこしょガールズもそこに出入りしてお手伝いしている」という設定にあやかり、「古書堂の外の彼女たちの日常」にテーマを絞りました。
そこから、テーマを端的に表せて、かつ企画が目指したいわくわくして華やかな雰囲気を纏う言葉として、「週末」=「Weekend!」を企画タイトルに採用しています。
実はこのタイトル、完全な内輪ネタも含まれてまして、
黄昏古書堂にファンアートを投稿する人を番組内では度々「黄昏古書堂に集う神々」と呼ぶ → 黄昏の神々 → 神々の黄昏 → ラグナロク(終末) → 週末(Weekend)
というダジャレがありました。結構気に入ってるので割と吹聴してます。
■なぜ今、ウェブアンソロジーだったのか?
同人誌文化に馴染みがある方ならご存知とは思いますが、アンソロジーというと、「何かテーマを設けて、そのテーマに沿った作品を複数の参加者から募り、ひとつにまとめた企画」です。
特に、本になっているものが多いイメージがありますね。
ひと昔前、個人のウェブサイト全盛期の頃(2000年代後半頃?)はウェブアンソロって結構見た気がするのですが、今はどうなんでしょう。
それに代わりを担っていそうな企画がSNS上で散見されますが、ウェブアンソロ自体はあんまり見なくなった気がします。
じゃあ何故、今回敢えて手間がかかるホームページをわざわざ用意して、ウェブアンソロという形をとったのかというと、
① 新作を寄稿いただくからには、できるだけ沢山の人に見てほしい
② 参加したい方は誰でも参加できるようにしたい
③ いちファンの企画でおこがましくはありますが、番組の視聴者を増やすのに貢献できたらいいな~
という思惑がありました。
細かくは、
・見てくれるのは黄昏古書堂の視聴者がメインなので、番組と同じネット上で公開できること
・同人文化をよく知らない人でもアクセスしやすいこと
・番組に投稿される作品形式すべてに何らかの形で対応可能であること
・見る側がお金をかけなくてもいい形態であること
・SNSの特性上、流れるし埋もれるので、後から参入した方でも追いやすい「残る」形態であること
・テーマを設定するので、外観にも統一感を持たせたい
といった条件を設定し、ウェブアンソロの形に落ち着きました。
色んな人に聞きまくりながら久々にウェブサイト構築したんですが、今ってなにもコーディングしなくてもオサレに作れるのしゅごい……
■公開と番組への報告について
企画を発表し、参加者の募集を開始した当初から、この企画は番組側に報告することを宣言しておりました。
これは黄昏古書堂特有の事情になりますが、番組がファンアートを歓迎して、ファンの動向をエゴサしていると宣言している以上、本企画もちょっと規模の大きいファンアートということで番組に報告するのが、参加者のみなさんにとっても、番組にとっても最終的にはベストだろうと判断しました。
スケジュール的にはもう少し早く作品公開することも出来たのですが、それなら例年実施される店主笠間さんのお誕生日特番に、有志視聴者のサプライズとして投稿してしまえと、悪魔が囁きまして、作品公開日は笠間さんのお誕生日に設定。
しかし、その目論見は、まさかの作品公開前に番組内で企画の存在が紹介されることによって、脆くも崩れ去るのであった……( ˘ω˘ )
悪いことはするもんじゃねぇな。
参加者を募る企画の特性上、特に隠して動いていたわけではなかったので、結構早い段階で番組制作陣から把握されていたのは分かっていました。
把握されても、特にお叱りを頂くわけでもなく、むしろこっそりと応援頂いていたので、そのまま粛々と進めていたのですが、……いきなり紹介されたら心臓は縮むのよ………
最終的に、報告メールをご紹介頂いた回のゲストさんにまでご覧いただくという、予想外の結果になりましたが、参加者のみなさんの悲鳴が聞けたので大正解だったなと思っています。
貴重な番組の時間を割いてご紹介頂き、本当にありがとうございました。
■ブックレットの制作について
(通販ページスクショ)
上でウェブアンソロの意図を説明しておいて何ですが、私は本を作るのが好きなオタクなので、やっぱり紙の本は作ることにしました。
その上で、まず決めた方針は2つ。
① 印刷は西村謄写堂さんにお願いすること
② 作品ごとの世界を切り分けること
まず、①については紙の本を作ると決めた時点で、これしかないと決め打ちでした。
というのも、西村さんは以前、笠間さんのラジオ番組を制作されてまして(何故印刷所さんが?と言われると私もいまだによく分からない)、いつかはそのお礼をしたいと思っていましたので。
また、西村さんはご相談すれば特殊なこともできるというイメージがあったのもプラスでしたね。せっかく記念として作るんですから、出来る限りのものを作りたいじゃないですか。
普段の私の活動では、西村さんはちょっと……予算が……ごにょごにょ……
実際、西村謄写堂さんには「こういう本が作りたい」という要望をお伝えした上で、ページの構成や予算内での加工など、何から何まで提案して頂きまして、頭が上がりません。
(ちなみに、表紙のデザインは、西村さんにご提案頂いた新作のオリジナル紙の質感を見て、あ、こういうのがいけそう!とアイディアが固まりました。)
本当にお世話になりました。
そして②「作品ごとの世界を切り分けること」については、個人的な美学も込みで、提出頂いた原稿を見て決めました。
頂いた原稿はどれも愛の籠った力作で、全てタイプの違う作品。
左右見開きに配置していくのは難しいように思えました。
そこで、作品と作品の間に必ずトビラや遊びのページを挟み、作品同士が隣り合わないように構成して、作品同士の世界を切り分けることにしました。(通販のページから一部見れます)
そこでさらに、全作品分、作品の色味やイメージから作品に合わせたページを作ったのは完全にノリです(本の統一感という意味では同じデザインを採用した方が良かったなと後から思いました)。
手探りで拙いものになってしまいましたが、めちゃ楽しかったですし、とても勉強になりました。やっぱデザイナーさんはすげえんだわ。
おかげでカラーページ20ページ、モノクロページ40ページという大変リッチな仕様に。
これもやっぱり、アンソロジーならではの楽しさですよね。
実は、マンガの遊びページにも作品をイメージしたカラーパレットを用意してました。さすがにフルカラーはできませんでしたが。
■終わりに
今回、本当にたくさんの方に支えて頂いて、企画を完遂することができました。改めて感謝申し上げます。
また、企画に寛容なご対応と、まさかの応援を下さった黄昏古書堂のみなさまにも感謝の言葉しかありません。番組界隈の盛り上がりの一部になれましたら幸いです。
ウェブアンソロページは絶賛公開中ですし、ブックレットの通販も執り行っていますので、よろしければ覗いていってくださいね!