地図を画像認識して商圏ラインを自動抽出してみる
こんにちは、技術開発本部の柿沼です。
今回はエンジニア部門からの記事ということで技術寄りの内容になります。
私は当社の商圏分析GIS(地図情報システム)MarketAnalyzer®5の開発担当をしています。
クライアントには飲食や小売等の多店舗展開のチェーン企業が多いので、新規出店候補地や既存店舗が分析対象となることが多いです。
店舗を中心とした商圏を設定し、その商圏内の人口統計等を集計しマーケット調査を行います。
その時に設定する商圏は「半径2km」や「自動車15分」といった機械的な範囲だけでなく、河川、線路といった商圏分断要因も考慮したエリアを設定したいというシーンも多くあります。
もちろん当社GISでは上記のような色々な商圏設定はできるのですが、商圏分断要因の設定を、イマドキな感じで「地図を画像認識して商圏ラインを自動抽出してみる」というやり方で試してみたいと思います。
店舗から円形2km商圏
今回は東京都のJR荻窪駅付近の店舗での半径2km商圏というモデルケースを対象にしてみます。
画像中央のピンが店舗で、南北に線路と河川があります。これらの商圏分断要因を踏まえて単純な円ではなく、よりリアルに商圏を描いていこうというわけです。
画像認識に使用するライブラリ
OpenCVというオープンソースの画像処理ライブラリを今回は使用します。
まずは白黒画像に変換する
カラフルな画像だとエリアの輪郭の抽出が難しいので、グレースケール画像→白黒画像と画像を変換していきます。
白黒画像に変換したものが下の画像になります。
コントラストの差が小さい道路のラインが省略され、背景同様に黒く塗りつぶされています。
画像内の輪郭を抽出する
白黒画像をもとに輪郭を抽出していきます。
抽出した輪郭を赤、青、黄…と色分けしたものが下の画像になります。
河川や鉄道のラインをうまく抽出できていそうです…!
商圏ラインを自動抽出する
画像中心の分析地点を囲うような輪郭のみを抽出してみました。
南北の鉄道や南西の河川による商圏分断を考慮したラインを綺麗に抽出できていますね!
今回はお試しのためここまでとなりますが、こういった技術を応用することで、より精度の高い商圏分析が可能になりそうですね。
みなさま、最後までお読みいただきありがとうございました。
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それではまた次回もよろしくお願いします。
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<執筆者プロフィール>
技術開発本部 柿沼
2018年より技研商事インターナショナルに入社。
MarketAnalyzer®一筋のエンジニアで、隙を見つけては新しい技術を活用できないか試行錯誤中。
在宅ワーク時のデスク環境も試行錯誤中。