1.己

父方は共に産み出し、分け合うことをモットーにした人たち。
母方は社会のために、清貧でいることをモットーにした人たち。

祖父は海を渡り多くの人たちを連れて行った。
そして多くの人たちを救えなかった。

自分も祖父も母も父も叔父も、その恨みをもって殴られ続けた。
でも自分たちを殴った人も、また恨みで殴られ続けていた。

一族全ての人間が罪を背負い、人生の大半を贖罪に費やした。

その一族の一人。