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【開催報告】テーマトーク「アニメとジェンダー」(2022/1/12)

皆さんこんにちは!(自称アニメオタクの)学生スタッフのルーです。

今回は1/12に開催した、参加者の皆さんとアニメにおけるジェンダー表象について語り合うイベント「テーマトーク:アニメとジェンダー」の開催報告をお届けします!

1.イベント概要

オタク文化とフェミニズムの相性が悪い、という話を聞いたことありますか?文学・映画などの他のジャンルの文芸作品と同じように、アニメもフィクションでありながら現実世界の現状を反映しており、それ故にジェンダー規範やジェンダー不平等の要素がしばしば見られます。
しかし、最近ではアニメのジェンダー表象における変化も見られるようになってきました。今回のイベントでは、これらのジェンダー表象について参加者同士で話し合い、アニメのジェンダー表象に関するモヤモヤや、自分が思う望ましいジェンダー表象を共有しました。

 

2.イベントコンテンツ

①アニメの女性表象に関するモヤモヤ

今回のイベントのディスカッションの冒頭で、「冷蔵庫の女」という概念を出してくれた参加者の方がいました。「冷蔵庫の女」とは、男性ヒーローの成長や動機付けのためにガールフレンドや家族など、親しい女性が殺されるようなプロットを指す言葉だそうです。この意味において、女性が殺されることが主人公男性を奮起させ、活躍させるためのプロットデバイスとして使用されているということです。詳細は以下の記事をご参考ください。

アニメの中では、このような「冷蔵庫の女」の表象がしばしば見られます。男性主人公のために死ぬキャラクター以外にも、死んではいないけど悲惨な目に遭ってしまうキャラクターもいます。

それから、アニメの中の女性キャラクターの描かれ方について色々話し合いました。参加者の皆さんによると、女性キャラクターはアニメの中で「性的対象化」「恋愛対象化」されてしまうことは非常によくあります。例えば、戦場で敵と戦わなければならないのに、戦闘服は体をよく守るものではなく、ミニスカートのような身体を大量に露出するものになっています。それから、ホラーコメディがテーマの作品なのに身体が性的に強調されている女性キャラクター、スポーツアニメの中によく出て来る女子マネージャーのキャラクター……これ以外の例もまた数え切れないほどあります。悲しいことに、性的対象化や恋愛対象化をされていない女性キャラクターはいまだに数少ない存在であるというのは、アニメ作品から見られる現状です。

 

②ノンバイナリーのアニメキャラクター

参加者の皆さんに「望ましいジェンダー表象」について色々話していただきました。そこで続々と出てきたのは、「アニメの中性的キャラクター」たちです。例えば、『進撃の巨人』のハンジ・ゾエ。中性的な顔立ちとしており、性別がはっきり分かる描写も作品の中にはありません。似たようなケースとして、『ハンターハンター』のクラピカを参加者の方が挙げました。

そこで、英語と日本語の人称代名詞に関するディスカッションもされていました。英語では近年、theyをノンバイナリー(Xジェンダー)の人の代名詞として用いています。英語では近年、theyをノンバイナリーの人称代名詞として用いています。一方、日本語ではそもそも三人称で「彼」「彼女」ではなく、その人の名前を使うこともあるので、あえてキャラクターの性別を明言しないこともできます。この点については、人称代名詞を用いる国の言語に訳される際、誤訳や意図しないジェンダー付与もあるそうです。

また、『宝石の国』という作品に描かれるキャラクターについても話をしました。『宝石の国』のキャラクターの全員の性別は、「中性・無性」と設定されています。「上半身が少年で下半身が少女」のような身体的特徴を持ち、服装はジェンダー化されていない黒いスーツを着ています。この作品のメインな内容には、ジェンダーはそれほど関わっていません。とはいえ、ノンバイナリーのキャラクター像が描かれているからこそ、ジェンダーを気にせず楽しめるという人もいれば、自身の中で勝手に「男性っぽい」「女性っぽい」などと感じる無意識なジェンダーバイアスに気づいたというお話しもありました。 

3.学スタ後記・感想

当日参加してくださった皆さん、そしてここまで読んでくださった皆さん、ありがとうございます!中国出身の自分が日本語を学び始めるのは、好きなアニメがきかっけになっていたのです。ところが大学に入ってからジェンダー系の授業を受けてみたら、アニメの中の沢山のジェンダー表象に関して違和感を持つようになり、アニメ作品を純粋に楽しめなくなってしまいました。フェミニズムの相性とあまりよくない作品も多いアニメ等の表象において、モヤモヤを共有できる仲間がほしいという気持ちが自分の中にずっとあります。それを今回のイベントにできて、とても嬉しかったです。参加者の皆さんの意見も聞かせていただき、「これは知らなかった、すごく勉強になった」と思わせた内容も沢山ありました。本当に一時間だけでは語りきれない感じでしたので、また今度テーマをより絞って開催できればと思います!改めて、ありがとうございました!