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【開催報告】GSクィア映画祭〜話そう!私を照らしたあの作品〜(2021/04/16)

こんにちは!学スタのKokoroです。

今回は4月16日(金)に開催されたオンラインイベント「GSクィア映画祭〜話そう!私を照らしたあの作品〜」の様子をお届けしたいと思います。💌🕊


1.イベント概要

ジェンダーバイナリー規範や異性愛規範の強い社会のなかで、それらに当てはまらないあり方は、語られたり可視化されたりする機会が非常に乏しいと感じています。
ジェンダー・セクシュアリティのテーマに限らず、見えていないがために自分を“おかしい”と思ってしまえるそんな日において、物語のなかに自分と重なる者の姿や感情を見ることが出来るという経験に、救われたことや喜びを感じたことのある方も少ないくないのではないでしょうか。それと同時に、これまで自分では見えていなかったことや、見過ごしてきた(/これた)ものの存在に自覚的になり、世界を見つめる新たな視点や社会の規範について再考するきっかけを得られるのも、クィア映画をはじめとしたエンタメ(物語ること)の持つ魅力なのではないかと個人的には感じています。



「『これは私の作品だ!』という、世界に叫びたくなるような素敵なクィア作品に出会えた時、気軽に周囲に話せなくて悲しかった…」
「もっと多くの人に知って欲しい作品がある!」
「みんなの『私を照らしたあの作品』ストーリーをぜひ聞いてみたい!」


本イベントでは、そんな声にお応えし、グラウンドルールのある安全安心な環境で、参加者間でお互いのおすすめクィア映画作品を紹介しあう勝敗なしのビブリオバトルを行いました🎬🌼                                                                    当日は多岐にわたるジャンルから、全部で4作品の紹介がありました。1作品ごとに、発表のなかから得た新たな気づきや考えたことを互いに共有することができ、興味関心が広がってゆくきっかけとなるイベントになったかと思います。


2.当日紹介された作品

■作品1:『あなたに触らせて』(2017) #ルッキズム
押しポイント ①自分を破壊しながら観ざるを得ない。
       ②「触られない」「触らせてもらえない」
       ③さまざまなリアリティが描かれている:ハッピーエンドだけじゃない

■作品2:『パーフェクト・レボリューション』(2017)#インターセクショナリティ #障がいと性
推しポイント・不可視化されている身体障がい者のセクシュアリティに焦点を当てた作品。セクシュアリティについて語るときに見落としちゃいけない。

■作品3:『燃ゆる女の肖像』(2019) #家父長制 #女女
押しポイント
① フランス映画業界における、フェミニズムの牽引的な存在でもあるアデルエネルや監督のセリーヌシアマ がタッグを組み、「Female Gazeの元で描かれた女と女の物語を」と製作者全員女性にして創り上げられた作品。作り手の説得力!

② 「家父長制による抑圧の強い社会で生きる女性同士だからこその共鳴」や、「狭い世界のなかに閉じ込められて孤独に闘うしかなかった者が、ようやく言葉や心を通わせられる相手についに出会えたよろこび」を想起させる愛の姿。その背景に浮かぶ社会的抑圧の重みや、「共に生きたい人と生きられない」という事実は、しかし現代を生きる私たちのものと変わっていない…

③ 女性同士だからといって、それでじゃあもう対等か?というとそうではなく、「人と人が真に対等にあるということはどういうことなのか、そして対等な関係のもとでコラボレーションをシナジーを生み出していくことの面白さ」というところまで切り込んで描かれている!

■作品4:『軽い男じゃないのよ』(2018) #ジェンダー格差
押しポイント
① 男女逆転世界という架空の世界を通して現実世界に存在するジェンダー不平等に気づくことができる。
② 私たちが社会における不平等に順応してしまっていることに気づかされる。
③ 大事なポイントなのは、男女の立場が逆転して男性が差別を受ける世界が理想の世界ではないということ。差別自体をどのようになくしていけるかに目を向けられるかが重要。    
④ 不可視化されているジェンダーの多様性にも目を向けられるようになりたい。      

おまけ
イベントの最後にチラッとお話した作品も紹介しておきますね😊

 『モキシー 〜私たちのムーブメント〜』(2021)#フェミニズム校内に蔓延る

性差別や不条理な扱いの差にモヤモヤしていたシャイな高校生のヴィヴィアン。1人では、黙ることしか選べないと感じていた彼女が、強く立つ転校生や母親に感化され、校内の性差別を問題提起する匿名の冊子「モキシー」を作って大きな一歩を踏み出すことに。その想いは次第に広まって、互いの手を取り、背中を押し合える仲間ができ・・・。


3.学スタ後記

『あなたに触らせて』という作品を発表してくださった方のお話の中で、私にとって特に印象的だったのが「自分を破壊しながら観ざるを得ない。労力が要った。」というものです。見過ごしがちなことや不可視化されている事柄に対して、立ち止まって向き合い、それまで自分のなかに存在していた価値観や社会規範について再考してみたり、その上で必要なときには、自分の正しいと信じてきたものを自分自身で壊そうと試みる想像力を、私も持っていたいなと思いました。

当日参加してくださった皆さんのご協力のおかげで、映画を通じてジェンダーやセクシュアリティの問題についての新たな学びや気づきを互いに共有することができ、短い時間ながらも充実したイベントになりました。また、今回のように情報共有のできる機会を企画したいと思います:)

参加してくださった皆さん、読んでくださった皆さんありがとうございました✨