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コンプレックスは最大の味方

人は容姿が全てではない

個性的な顔(ブスじゃない)の女が何を上から目線で言ってるのかと思われるかもしれない。だが「人は見た目が9割」と言われる以上、どうしても自分の容姿で劣ると感じる部分を人は隠してしまう。

ただそれは必ずしも自分のためにはならない。見た目で判断するような人間を、自分がふるいにかけていると考えるものありではないだろうか。

自分の欠点と思う部分を隠せば隠すほど、後々その事実に相手は驚き、落胆することもある。この世のスタンダードじゃないもの、それが例え相手の個性やチャームポイントだとしても受け入れてもらいやすいのは第一印象で目に見えている時だけだ。

「嫌われるかもしれない」と不安になるのはわかるが自分のコンプレックスを隠して相手に誤解を与えるような、そんな頭を隠して尻を出す行為はけして得策ではない。

第一印象とは?

以前わたしは出会い系SNSに挑戦してみた。恋人と別れたばかりで暇な時間はつい彼の事を考えて泣いてしまう。

そんなわたしを見るにみかねて友人は「男のことは男で忘れろ」と言う。わたし自身ただ泣いているよりもいいと思い始めることにした。

わたしはなんとなく「出会い系」をすることに気恥ずかしさがあったため、アイコンに顔を設定することはせず、当たり障りのない写真を設定した。

外人女性の映る映画ポスター

第一印象、女性らしい。そんな気がしたのだ。そして男性から1通のDMが届く。。

「はじめまして。映画お好きなんですか?」

彼はスーツ姿のアイコンで、ネクタイもとてもセンスがよかった。そしてその文面はとても穏やかで、わたしより少し年上の彼はわたしのアイコンを見てDMをくれたとのことだった。

そこから朝起きたら、お昼を食べたら、おすすめの映画を思い出したら、なにげないやりとりを続けていった。

「ランチでもいかがですか?」

しばらくたってそう誘われた時に躊躇した。「顔も知らない相手に会う」ことはやはり不安だった。彼もなんとなく察してくれたのか顔が半分くらい映った写真を送ってくれた。

見えにくかったが鼻筋の通った端正な顔立ちだった。その気遣いが嬉しくて軽い気持ちで会ってみることにした。そしてこの写真が大きな落とし穴となったのだ。

待ち合わせ場所にほんの少し前に着き、わたしは彼に連絡をした。

「コインロッカーの前にいます」

わたしはコインロッカーを探した。一人の男性がそこに立っていた。。コインロッカーの前にいたのはアイコンと同じネクタイをしたスーツ姿の男性だった。

彼はハゲていた

わたしは割とハゲを好む。男性らしさの特徴でもあると思うし、恋人の頭をみて「ハゲてきたなこの人」と重ねてきた時間を慈しむ時がとても好きだった。

だが電車の中吊りはハゲに悩んでいる人のための病院や育毛剤、そんなものにあふれているのが現実だ。今の日本はまだハゲに厳しい

しかしスティーブジョブズやジョンソン・ステイサムを想像してほしい。彼らのハゲはアイデンティティなのだ。

つまりハゲは隠す必要がない

ハゲは男性としての魅力の一つでもある。ここで「あいつら外人じゃん」と思った人もいるだろう。

そういう島国根性が抜けないから魅力のないハゲになるんじゃないですかねぇ?

そして日本人はハゲることに気をつかい、鏡を見るたびに後頭部を覗き込む。もしわたしがワイフならそんなハゲの部分すら愛しいと思うのに。

彼が事前に送ってきた写真には頭部が映ってなかった。うまい具合に顔だけ映るようにしたのだろう。そうつまり彼は、おそらく彼は意図的にハゲを隠したのだ。そしてそれをみたわたしは「ハゲじゃない」と認識してしまった。

彼はわたしの動揺を知ってか知らずか彼は嬉々として話始めた。だが人間、相手の隠そうとした真実、まさに見てはいけないものを意識すれば意識するほど目が泳いでしまうのだ。

なるべく目線を下に向けよう、目を合わせることでハゲを見ていると思われてしまうかもしれない。その結果、わたしは

コミュ症と化した

近くの喫茶店に入り、軽い昼食を食べる間も彼のネクタイを見つめていた。そっと目線を上に向けては静かにネクタイに戻す。その繰り返しだった。

こんな挙動不審な女といて楽しいのか

なんとなくの気まずさに「用事があって」と早々に帰ることにした。彼とちゃんと目線を合わせることができたのは、駅の改札を通ってふりかえった時だった。

帰ったあとも「楽しかったね。また食事に行きましょう」と言ってくれ、DMのやりとりは続いたが、いつのまにか連絡を取らなくなった。

罪とハゲ

昨今カメラアプリの進化により、女の子達は写真を盛る。実際に会ってみたら「ブスだった」など言われる原因だが、人間は残念ながら思い込んでしまう生き物なのだ。

こんなにかわいい目をしているなら
こんなにきれいな脚をしているから

盛っている本人が想像する以上に偶像ができあがる。

カメラでかけたフィルター以上に相手は脳内でフィルターをかけてしまう。そうなると生まれるのは悲劇。人間というのは本当に身勝手なものだ。

イソップ寓話に「虚飾で彩られたカラス」という話がある。

ある時ゼウスは、最も美しい鳥を王様に決めることにした。

 ゼウスは、鳥たちに集まる日時を決め、その中で一番美しい者を王様にするというお触れを出した。 鴉は自分の姿は黒く醜いと思い込んでいたので、美しく装うために、野や森を見てまわり、他の鳥たちが落とした羽を拾い集め、身体中に貼りつけた。そして約束の日、鳥たちはゼウスの前に集まった。そして、色とりどりの羽で着飾った鴉も姿を見せた。 

ゼウスは、彼の羽が最も美しかったので、彼を王様にしようとした。

すると他の鳥たちは、憤然と異議を申し立て、それぞれ見覚えのある自分の羽を鴉から引き抜いた。結局、彼に残されたのは、自分自身の黒い羽だけだった。

カラスが自身の黒い姿を受け容れ、その黒い羽に磨きをかけていれば、結果は違っていたかもしれない

わたしの場合、彼がハゲを隠そうとした魂胆が見えてしまったことにがっかりしてしまった。もし最初から彼がハゲを打ち明けていてくれていたら、せめて隠そうとしないでいてくれたら、勝手なことを想像してしまう。

昨日の敵は今日の友

自分の魅力を引き出すのも殺すのも自分次第である。仮にそれがコンプレックスだとしても一生つきあっていくしかないのであれば、それを引き出して自分の味方につけるしかない。

自分をブラインドすることと隠すことは全然意味合いが違うが、彼は頭を隠して「信用」を失ったのだ

最後まで読んでいただきありがとうございます。まだまだ不慣れですがサポートいただけるように頑張っていきます❤︎