投げ銭サービスの法律【資金決済法の資金移動業】
皆さま、こんにちは。
弁護士をしております、中野秀俊と申します。
今日のテーマですけれども、投げ銭サービスの法律についてお話をしたいと思います。今、投げ銭サービスというものが色々とありますが、法律的には大丈夫なの?という相談が多くきます。ですので、今回は投げ銭サービスについて、どういう法律が関わってくるのかという事についてお話したいと思います。
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資金決済法上の「資金移動業」にあたるか
主に問題となるのは、資金決済法上の「資金移動業」にあたるかどうかという事です。資金移動業とは何かというと、主に銀行などが振込のサービスをしていると思いますが、あれは銀行法という形で許認可があるのでできています。銀行以外が資金移動させる場合については、資金移動業という登録が必要になります。行政に対して審査をして、登録をするという事が必要になりますので、この資金移動業にあたるのかあたらないのか、もしあたるのであれば、登録が必要になるという事になります。
資金移動業にあたるかどうかというのは、為替取引にあたるかどうかという事になります。簡単にいうと、銀行の様にAさんからお金を預かって、Bさんにお金を送金するといったものが資金移動業なのだという事をおさえていただければと思います。
この資金移動業に登録をする場合、申請作業も必要ですが、登録された時に何をしなければいけないかという話になります。資金移動業の申請も当然大変ですが、仮にこの資金移動業登録をされた時に、供託義務というものが生じます。つまり、送金サービスとしてAさんからお金を預かって、Bさんに振り込みなどをするわけですが、その預かっているお金と同額のお金を供託、供託というのは法務局に預けるという意味ですが、同じ額を預けて下さいというものです。なので、100万円預かっているのであれば、同じ額の100万円を供託して下さいという義務が生じます。供託の金額は最低1000万円供託しなければいけないという義務がありますので、1000万円は必ず元手が必要です。
あとは本人確認義務といって、例えばAさんから預かった場合、Aさんに対して身分証などを提示されなければいけないという義務があります。本人確認義務があるという事で非常に面倒くさいという事があります。なので、この資金移動業登録をすれは大手を振ってできますが、面倒くさいという事でこれを回避しようというスキームもあったりします。
資金移動業の回避スキーム~収納代行~
例えば、これは聞いた事があると思いますが、決済代行、収納代行といったスキームです。これは何かというと、お金を受け取る側の代わりにその業者が受け取るというものです。細かい事は概要欄の方にブログの記事をはっておきますので、収納代行の細かい点についてはそちらを見て下さい。
参考ブログ記事
https://it-bengosi.com/blog/new-escrow/
お金の流れは変わりませんが、中間的にお金を預かって渡すだけではなく、あくまで受け取る側の代わりに受け取っている、収納を代行しているというスキームが1つあるかと思います。
ポイントスキーム
もう1つは、ポイントのやり取りをするというものです。お金をそのまま相手に送るのではなく、ポイントをあらかじめ買ってもらって、そのポイントを渡す様なやり方です。Kyashというサービスがありますが、サービス内で使えるポイントを購入してもらって、そのポイントを相手に送るという方式もあります。前の動画でもお話しした通り、ポイントを買ってもらう為、前払式支払手段にあたるのでそこの届出は必要になってきます。また、もう1つの問題点は、もらったポイントの現金化ができないという事です。商品券と同様の規制で、ポイントというものは基本的に現金化ができないという事にされているので、もらったポイントの現金化ができません。そこの現金化をどうするのか、そういう風に変えるのかという点が問題になります。KyashではAmazonギフト券や商品に変えていますが、現金化ができないというのは1つのネックになるかなと思います。
投げ銭~SHOWROOM方式~
例えば、ライブ配信のSHOWROOMではどうしているかというと、まずはShowGoldというものを購入してもらいます。これは、いわゆるポイントですが、このShowGoldで色んなアイテムなどを購入してもらい、そのアイテムを投げ銭する、アイテムを送るという形になります。
アイテムを受け取ったライバーといわれる人たちは、そのアイテムをお金にするのではなく、もらったアイテムなどをSHOWROOMが独自に評価してSHOWROOMからお金が入る様な仕組みになっています。なので、もらったアイテムを換金しているわけではなく、あくまでもらったアイテム数やコメント投稿など色んなものを総合的に評価して、SHOWROOM側がライバーやライバーの事務所にお金を払うというシステムを作っています。その為、資金移動業ではなく、払い戻しにもあたらないという形で回避をしているという話になります。
今言った様に、投げ銭サービスの場合については正面から行うと資金移動業になるので、それを回避する為に収納代行やポイントの利用、SHOWROOMの様な形を取るなどして皆さん、何とか逃れようとしているというのが現状です。
勿論、資金移動業をとるという方法もありますが、それを回避するというスキームも考えてどちらが良いのかを事業に合わせて考えていただければと思います。
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