会社の業務命令で作った資料やプログラムは誰のもの?【著作権】
皆さま、こんにちは。弁護士をしております、中野秀俊と申します。
今日のテーマですけれども、会社の業務命令で作った資料やプログラムは誰のもの?というお話をしたいと思います。
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職務著作について
これについてはよく質問がくるので、お答えしたいなと思います。会社の業務命令で作ったコンテンツについて、これは誰のものなのかという著作権の問題になります。著作権のご説明の際にもお話していますが、著作権というのは前提として手を動かした人のものです。なので、その作った人のものになるわけです。そうすると、従業員のものになるのか?という話なのですが、会社の業務命令で作ったコンテンツについては会社に著作権があります。これを職務著作といいます。なので、会社の業務命令で作ったコンテンツについては手を動かした人のものではなく法人、会社のものになるという事をまずおさえておいて下さい。
職務著作の要件
では、この会社の業務命令で作ったコンテンツというのはどういうコンテンツなのか?という事が問題になるわけです。職務著作の要件としては、法人の業務に従事する者が会社の業務命令として作成したもの。これが法人等の名義で公表されるという実態がある事という事で、こういう場合には職務著作とされています。
「法人の業務に従事する者」とは
ここでよく問題となるのが、「法人の業務に従事する者」という要件です。これはどういう事かというと、典型的には雇用契約がある人、いわゆる社員さんといわれている人は間違いなく「法人の業務に従事する者」です。問題となるのが、業務委託社員のような人です。これはどうなるかというと、法人等の指揮監督下において法人等がその者に対して支払う金銭が労務提供の対価であると評価できる場合には「法人の業務に従事する者」となり、職務著作つまり法人の著作権があるという形になると思います。これは労働者性のところでも未払残業などで雇用契約なのかどうなのかという問題になる話でもありますが、業務委託であったとしても、例えば「10時から18時まで勤務時間です」「ここへ来て下さい」「こういう業務をして下さい」という形で、指揮命令や時間的、場所的拘束性があり、いわゆる法人の指揮監督下にある自由がない社員的な働きをしている場合、「実質、雇用契約だよね」といわれている状況であれば「法人の業務」という形になると思います。また、純粋な業務委託や請負、いわゆる外注の場合については、これはあてはまりません。あくまで会社の内部の話になってくるので、業務委託や請負契約といった外注をするような場合には、当然、手を動かした人、手を動かした会社のものになります。
こういった形で原則、手を動かした人のものですが、会社の業務命令として作ったものについては会社のものだとおさえておくと良いかと思います。
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