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グロースすれば蝶が羽ばたく。新しいファネルの形。バタフライモデル

こんにちは!グロースマーケティング編集部です。

前回第7回の記事では『カスタマーサポートとカスタマーサクセスの違い』について解説をしました。

第1回目から順番に読んでいただければ、より理解が深まると思いますので、まだ読んでいただけていない人はぜひ読んでから戻ってきてほしいです。

それでは、今回第8回のテーマを発表します。

グロースすれば蝶が羽ばたく。新しいファネルの形。バタフライモデル

Here We Go!

新しいファネルの表現方法

今回の記事では上記通り、バタフライモデルについて紹介するんですけど、バタフライモデルって何かわかりますか?バタフライは蝶々を意味するんだろうけど、それがどうマーケティングと繋がるの?

恐らく聞いたことがない、聞いたことはあるけど何を意味しているのか全く検討がつかないという方が多いのではないでしょうか?

これまではマーケティングファネルは三角形のものが主流でしたが、グロースマーケティングではボトムファネルを重視することから、新しい考え方が出てきたのです。

それがバタフライモデルです。

バタフライモデルを理解するにあたり、顧客が商品と出会い、購買し継続使用するファンになるまでの過程、言い換えると行動理解を確認することが必要ですので、下記図で説明します。

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これは、マーケティングファネルと言われる顧客行動の流れを縦横から、左右の流れに置き換えた図です。

真ん中の新規顧客獲得を成果点地点と考えたとき、そこまでに至る左側のプロセスが、トップファネル(三角形の図では、購買までのプロセスにあたる)、右側がボトムファネル(購買後からロイヤルカスタマー化へのプロセスにあたる)を表しています。

これがちょうど、蝶の羽のように見えるので我々は「バタフライモデル」と呼んでいます。

トップファネルは右に進むにしたがってしぼんでいきますが、後半のボトムファネルは購買後、図の通り再び広がっていくようになることを目指すのが理想なのです。

では、美しく蝶が羽ばたくためには何が必要なのでしょうか?

蝶の羽(ファネル)にいびつなすぼみを生み出す原因

蝶の羽にあたる、トップファネル、ボトムファネルが美しく開かない、つまりいびつにすぼんでしまう原因は主に5つあります。

1.正しい広告配信がなされていない(トップファネル)
2.コンバージョンに至る導線に問題がある(トップファネル)
3.FTUXを最大化するためのアハモーメントが欠如している(ボトムファネル)
4.熱狂的なファンに依存しすぎている(ボトムファネル)
5.継続しない。タッチポイントが画一的(ボトムファネル)

以上の5つが主な原因となっており、上部(1、2)2つは購入に至るまでのトップファネルにおける原因で、残り3つ(3、4、5)は購入後のロイヤルカスタマー化のプロセスであるボトムファネルにおける原因です。

それでは、これらについてそれぞれ説明します。

1. 正しい広告配信がなされていない

デジタル広告を活用されているマーケターは多いでしょう。

ファネルの一番左側における新規獲得において広告の果たす役割は大きく、これがうまくできていなければそもそも左の羽が開きません。

広告配信で重要なのがターゲティングですよね。ターゲット以外に広告を出稿しても、クリックされればされるだけ、販売できる見込みがないのにコストがかかってしまいます。

広告配信では、最も一般的とされている「年齢」「地域」「職業」といった、「デモグラフィック」項目でセグメントし、指定配信することが多いと思います。

例えば、

30代女性ならこういう商品
10代ならこれくらいの価格帯
このようにセグメントしたそれぞれの層に合わせて配信を行います。

しかし、この方法で全ての顧客の真の行動を追えていると言えるのでしょうか?

例えば、大ヒットしている「鬼滅の刃」は少年マンガですが、子供から老人まで、男女を問わず多くのファンがいます。週刊少年ジャンプに掲載していたマンガですから本来のターゲットは10代~20代前半の男性なのでしょう。

これ以外にも、マーケターが予想した顧客層以外に売れた、という事例は枚挙にいとまがありません。デモグラフィックなセグメントではこうした潜在ニーズを逃してしまう恐れがあるのです。

最近は行動データの分析がほぼリアルタイムにできるようになっています。デモグラフィックなセグメントよりも、実際に「複数のタッチポイントでバナーを押した」「購入の一歩手前の画面まで来た」というユーザーを狙って広告を配信したほうが効果は高いでしょう。

2. コンバージョンに至る導線に問題がある

「決済ボタンが見つけにくい」「IDを何回も聞いてくる」「聞き覚えのないアクションを求められる」「パスワードが何種類もある」など、コンバージョンに至る導線が複雑で顧客をイライラさせる、というのはよくある話です。

最近、オンラインイベントに自社ブースを出展するのですが、ユーザーとしてオンラインイベントのサイトに入っていっても、一向に自社のブースを見つけられなくてがっかりすることがあります。

洗練されたサービスは、できる限りここが簡略化されており、購入に至るまで一貫した心地よさが提供されています。

3. FTUXを最大化するためのアハモーメントが欠如している

あるサービスに興味を持って購入したり、会員登録をしても実際に使ってみると思ったものと違う、使い勝手が悪い、好きなコンテンツがない、などの理由で使わなくなってしまうことって意外と結構ありますよね。

これは顧客が求めているものを提供できていなことで起こってしまいします。

こうした離脱を防ぐためには1回目の体験(FTUX)がどれだけ心地よく提供できるかが重要なのです。

それぞれの製品·サービスで、プロダクトの価値を顧客が最大限に感じた瞬間、ポイントのことをアハモーメント(Aha moment)と言います。「アハ」という感嘆の言葉が出るくらい、製品・サービスのもたらす価値に感激した体験ということです。

私も最近こんなことがありました。

リモートワークが多くなり、Zoomでの会議が非常に増えてきたので、ヘッドセットを有線から無線(Blue Tooth)に変えたのです。これまでパソコンと線でつながっていなければならなかったものが、無線化されて一気に自由度が増し、非常に感激しました。

こうしたアハモーメントをFTUXで感じたユーザーはその後もあなたの商品を好んで使い続けてくれるでしょうし、ファンになればきっと知り合いに紹介してくれるでしょう。

4. 熱狂的なファンに依存しすぎている

熱狂的なファン、ロイヤルカスタマーの存在とそれを大切にすることはもちろん大事です。しかし、度を過ぎて売上のほとんどが彼らに偏ってしまっている状態は非常に危険です。

できる限り多くのアハモーメントを作り出し、多くのポイントで熱狂が起こり、広がるようにしていくことを目指しましょう。

5. 継続しない。タッチポイントが画一的

顧客一人一人に対して、適したタッチポイントを作り出すことは大切ですが、一方的な配信にならずに、それぞれのタッチポイントで顧客とコミュニケーションをとることもまた大切なのです。

一つ例を挙げて説明します。

「北欧、暮らしの道具店」というECがあり、ここでは北欧の生活をイメージしたデザインに特化した家具、食器、雑貨などを販売しています。

この世界観に惹かれるファンに強く支持されています。彼らのサービスは、製品そのものを売るというよりも、ライフスタイルを提案してユーザーとコミュニケーションすること、と言えるのです。

したがって、キャンペーンなども、単なる時限的なクーポン配信などとは違い、コミュニケーションとして成立するものになっています。これによってますますエンゲージメントを固めるスパイラルを生み出すことに成功しているのでしょう。

タッチポイントが販売によりすぎていると、購買行動も販促活動も画一的になってしまいます。提供側もセールがある時しか知らせませんし、ユーザーもセールを行っているときにしか来訪しないという状況を生み出してしまいます。

そうではなく、販促活動によらない、コミュニケーション重視のタッチポイントを作っていく、そこにユーザーとブランド間のエンゲージメントを見出す意識を持つことが大切です。

美しいバタフライモデルを描くためにやるべきこと

バタフライモデルでいびつなすぼみを作り出してしまう原因を理解していただけたかと思います。

それらの原因を把握したところで、どのように解決をしていけばいいのかということになりますよね。

また、考えなければいけない課題が出てきた、、、

とはなっていただきたくありませんので、「いびつなすぼみ」を改善するために注意すべきこと、以下5つを紹介します。

1.行動ターゲティング
2.コンバージョンの最適化
3.獲得プロモーションの改善
4.サービス戦略立案
5.リテンション最大化&LTV

1. 行動ターゲティング(Target engagement)

ターゲティングを適切に行うことにより、狙ったターゲットに正しくエンゲージメントをしていきます。全ての購買顧客の行動を理解することで、そこからさらに大きな成果を生み出すことが可能になるのです。

2. コンバージョン最適化(Optimize Conversion)

購買、成約ポイントを最適化する。―― ECサイトで、買おうかなと思ったときに、決済完了に到達するまでの導線が心地よくないと、そこで、「面倒くさい」と購買を中止してしまうことがあります。ここを最適化し離脱を防ぐということです。

顧客目線に立ち、どのタイミングで、どの場所に決済ボタンを配置するべきかを徹底的に考え、ストレスなく購買に至れる導線を作るよう心がけましょう。

3. 獲得プロモーションの改善(Improve Acquisition ROI)

獲得のROIを改良する。すなわち、新規の獲得効率を上げることが大事です。最適なものを見つけ出すために、常にテストを行いプロモーションを改善しましょう。

4. サービス戦略立案(Set Product Strategy)

前提条件として、そもそも製品やサービスに魅力がないと、ファネルの入り口を最大化することはできません。そのため、ユーザーの製品に対する好評価をきちんと把握しなければなりません。

従来はユーザーアンケートなど限定的な声を拾い集めていましたが、グロースマーケティングでは全量·リアルデータを活用してユーザーの行動を見ることで、製品·サービス改良の戦略立案を行います。バタフライモデルでいうと、ちょうど真ん中の部分にあたります。

顧客からの声を集めることができれば、それを製品·サービスに反映させ改善を行います。改善は一度行って終わりではありません。何度も繰り返し改善を施し、顧客に飽きられない、継続して使用したくなる製品を提供することが大切です。

5. リテンション最大化&LTV(Increase Retention&LTV)

リテンションとLTVを増加させる。―― すぼみが生じてしまっている部分をできる限り長く、何回も購入してもらうころを目指すということです。

リテンション、LTVを向上させるためには中長期的な視点を持ち、改善を行なっていくことが大切となります。

以上5つの点に注意をすることで、いびつなすぼみを回避することができるようになります。

まとめ

この記事では、ボトムファネルに重きを置くバタフライモデルについて紹介しました。ボトムファネルに注力することでロイヤルカスタマー化に取り込むことができ、継続した成長も見込めるようになります。

お役に立ちましたでしょうか。

それではまた今度。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。