米国株IPO紹介‐Root編-「自動車保険業界のディスラプター」 $ROOT
今回紹介するRootは、データの力によって自動車保険業界に革命を起こすテクノロジー企業です。
これまでの保険会社は、安全運転ができる人も、運転が荒い人も、すべてごちゃまぜにして同一の価格設定をしてきました。つまり、荒い運転をする一部の人が起こす事故や支払う必要がある保険金のせいで、安全運転な人も高い保険料を払わなければなりませんでした。Rootはこの問題を、スマホから集めた運転データの解析と、スマホから直接消費者に保険を販売する仕組みによって解決するテクノロジー保険会社です。
業績情報(2019年)
売上高:2.9億ドル
営業赤字:▲6910万ドル
時価総額:39.4億ドル(2020年12月31日)
ビジネスモデル
Rootはスマートフォンのアプリによって自動車保険を販売しています。消費者は、Rootアプリをインストールし、2-4週間スマホを持ったまま運転をしてRootに自分の運転データを提供します。Rootは、アプリから得られた運転データをもとに、その消費者の事故リスクを自動で推定します。Rootは、事故リスクに応じて最適な価格の保険をその消費者に提供します
ビジネスモデルの流れ
①アプリをインストール
②スマホを持ったまま2-4週間運転し運転データをRootに送る
③Rootは運転データを解析してその消費者のリスクを分析
④リスクに基づいた価格の自動車保険がレコメンド
⑤消費者はレコメンドされた保険をスマホ上で購入可能
強み
Rootの強みは、データに基づいた経営がなされていること、モバイルで事業が完結しているためコストを大幅に削減できること、およびデータが集まることによって成長が加速し、成長が加速することによってさらにデータが集まるというフライホイール効果がビジネスモデルんに組み込まれていることです。
Rootは、消費者から得られた運転データを大量に保有しているだけでなく、その後の保険料や損害率、支払保険金の金額などのデータもセットで保有しています。これによって、データが集まれば集まるほどさらに事故のリスクの推測や保険料の設定を精緻化することができます。安全運転ができる消費者には、さらに安い価格で提供することができ、さらに競争力が高まって成長力が加速します。
また、Rootは75%がスマホ上の直接販売によって保険を販売しており、保険の企画から販売までを自社で完結することができます。これによって、迅速にPDCAサイクルを回すことができるようになります。既存の保険会社は、代理店ネットワークをすでに構築してしまっていたり、重厚長大なシステムをすでに作ってしまっているため、どうしてもPDCAサイクルが遅くなります。
今後の展開
自動車保険は多くの消費者にとって最初に加入する保険になるため、Rootは自動車保険を購入してくれた消費者に対して次の保険もバンドルして提供する戦略を開始しています。
創業者たち
アレクサンダー・ティム(Alexander Timm、左)
ドレイク大学でアクチュアリーを学ぶ。2011年~2015年まで大手保険会社で勤務した。
ダニエル・マンジェス(Daniel Manges、右)
CTO。Paypalに買収されたバイルシステム会社のBraintreeの創業者。
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