競合バンド
校内でのバンド同志は、競合になることは少ない。
どちらかというと、皆で楽しみましょうというケミストリーがあって、妬むこともなければ、誰かを子蹴落とすこともない。
しかし、ライブハウスで定期的にライブをしていると、地元の雄みたいなバンドから称賛されたりもするし、やっかみを受けることもある。
ビジュアルバンドを組んでいた時は、私たちのバンドは新人そのものだった。
競合バンドは、既にライブを定期的にこなしていて、地元のファンも圧倒的に私たちのバンドより多かった。
そもそも、私たちのバンドには、ファンが出来ていなかった。
全て、クラスメートだ。
ライブ当日に我々を見てファンになった見ず知らずの人たちは一人もいなかった。
もちろん、バンド結成時はどこもクラスメートを連れてくるが、学校の色やレベル、カバーしているバンドのジャンルによって、誘っても来てくれるか来てくれないかは瞬時に決まっていた。
私が関わっていたバンドの多くは、メタルが多かったため、誰を誘っても見に来てくれるという人はいなかった。しかも、ライブのチケットを買わないといけない状況で、率先してチケットを購入してくれることは皆無に等しい。
それもあり、ライブへ誘うたびに「断るための理由を無理矢理考えさせてしまっている」気持ちになり、相手にとって喜ばしい体験を売っていない事が嫌だった。
見たいと思う人に見てもらいたいと思うのが人情であろう。