棒倒し
体育祭と運動会の大きな違いは、体育祭になると肉弾戦が増えるという点だ。
もしかしたら、令和だと「棒倒し」は危険なので禁止になっているかもしれないが、当時は「棒倒し」という競技があった。
あまりの肉弾戦の為、男子のみの競技となる。
紅組と白組でサイドに陣を構え、棒を倒されないように死守する競技である。
どちらの組も大きく分けて3つの勢力に分かれる。
まずは、棒の土台を固めるチーム。
このチームは、相手のことすら見ないで、棒の方に向かい、何があっても棒が倒れないように支え続けるのが仕事。
次に相手のオフェンスをなぎ倒すディフェンス役のチーム。
スタートと同時に、棒の先に上ってくる勢いのある武将が猛スピードで向かってくる。
この武将は、陣地を守っている勢力の上に飛び上がり、人の山を駆け上って棒の先端を目指してくる。
まさに特攻隊長の役だ。土台役は、上手くバランスを保ちながら棒を抑え、土台チームの周りにいるディフェンスチームは、人の上を駆け上ってきた勢力を引きずり下ろすのが仕事である。
その間に、自陣の勢力も敵陣に対して同じ攻撃を仕掛ける。
時間が経過すると疲労で棒を支えられなくなるため、スピード勝負の競技。大抵、校内でもやんちゃしている人が、この競技においては活躍することが多い。
喧嘩ではないが、喧嘩並みに踏みつけられた土台の人たちには痛みを与えることになるため、見ている教諭陣も気が気でない競技であることは確かだ。
この競技は、通常、紅白リレーの一つ前あたりに騎馬戦と並んで組み込まれることが多い。
騎馬戦と棒倒しで最大限のエネルギーを使い果たしたところで、最終決戦の紅白リレーでフィナーレという流れだ。
体育祭と言うのは、運動が長けているものが毎回目立ってしまうのが公平ではないと思っている。
体育祭で活躍できるのは、放送部も同じだと思う。なぜ、体育祭の実況はあんなに冷静でゆっくりなのか。
サッカーの実況中継のように、興奮させたり、盛り上げたりするような実況をなぜ誰もやらないのかが不思議だ。
それこそ、お金をかけてでもいいから、プロの実況MCを雇ったりしても面白いと思う。