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TOEFLの模擬試験

 このエージェントを通じた留学では、TOEFLが免除されていた。合格に至る要件は、エッセイの提出とエージェントが作成したと思われる英語力を測るテストの二点だけだった。そのため、TOEFLを受ける必要はなかったが、現地で全員が模擬試験を受けた。

TOEFLの試験時間は昼一にスケジュールされていたが、これは非常に不適切だった。昼一のテストは睡魔に襲われやすく、集中力を保つのが難しい。理想的な試験時間は朝二くらいだ。私が当時は朝型人間ではなかったが、今では朝7時が最も頭が冴える時間だ。

TOEFLは受験英語と大差なく、数段落の中程度の長さの読解問題に対して、選択肢形式の設問が5問程度出題されることが多い。受験経験者には簡単に思えるかもしれないが、私の場合、英会話の経験を重ねるほどTOEFLの点数が落ちていった記憶がある。これは英語力の低下ではなく、試験対策としての学習を行わなくなったからだ。

試験は知識を試すだけでなく、時間内に達成するという別のゴールもある。TOEFLは3~4時間の長丁場で、休憩も短い。集中力を維持するのは難しい。集中力が持続する時間は試験時間と比べれば非常に短く、集中しないで如何に点数を取るかが鍵だ。躓いた設問があれば、先に進む方が良い。先に進めば新しい設問で得点を稼ぐチャンスが増えるからだ。

試験で人の能力を判断する社会において、TOEFLやTOEICの点数だけが評価基準になる。しかし、実際のビジネス現場では、試験では測れない社会的知性が重要だ。高得点を持つ者が必ずしもビジネスで成功するとは限らず、逆に試験では評価されなかった人が現場で優れたパフォーマンスを発揮することもある。

大学に入ってしまえば、次の4年間で社会的知性をさらに磨くことができる。英語の理解だけでなく、時間内に全問を解き終わるための行動パターンをシミュレーションすることも重要だ。

ESLの先生は、TOEFLの試験を好んでいなかった。理由は、TOEFLで高得点を取っても実際のクラスについていけない学生が多いからだ。逆に、クラスで学んだことをしっかりと身につけている学生は、アカデミックな生活の中で必要な行動パターンを習得している証明となる。

極論だが、企業も応募者全員を採用し、一斉に仕事を開始させることで真の能力が見えることがある。TOEFLの点数が高いからといって必ずしも優秀というわけではなく、実際の業務でのパフォーマンスが重要だ。

ESLを受講することは、大学生活の入口を抜けることであり、そこでの学びを基に成功への道を進むための重要なステップだ。TOEICの点数を重視するのは、日本のように英語が広く普及していない国に限られると思う。

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