スラッシュメタルバンド
ついに念願のスラッシュメタルバンドのカバーバンドに入ることが出来た。今までメタルバンドのカバーを続けていたのは、自分一人でカバーしていたに過ぎない。バンドで組めたのは、初めてである。合計すると2つのメタルバンドを組むことが出来た。一つは、他校の先輩と一緒に他校の文化祭用のバンドで演奏すること、もう一つは、自分の高校の3年生のドラムの先輩が、ボーカルをやりたいのでドラムをお願いされ文化祭でお披露目をするというバンドのかけもち依頼だった。
さらに、自分の高校の先輩のバンドではテスタメントのカバーもした。テスタメントは、メタリカやメガデスなどと同じ時期にスラッシュメタルを盛り上げたアメリカのバンドではあるものの、メタリカ、メガデス、スレイヤーと比較してヘッドライナーでアリーナを埋めるようなバンドではなかった。
しかし、テスタメントのギタリストは技巧派で、リフが難しいことが特徴だ。特に二人いるギタリストの一人は、スラッシュメタルだけでなくフュージョンにも精通しており、ギターのテクニックが際立っていた。
メタリカがニューメタルの隆盛に合わせて「ロード」や「リロード」で路線を変更したのに対し、テスタメントはメガデスに近いスタイルを貫き、デビューから現在までスタイルを変えずに続けている。ファンベースも昔ながらのものを維持しており、メンバー交代も少ないバンドの一つである。
また、テスタメントの初期のドラムはシンプルだったが、メンバー変更後はツーバスを取り入れ、メタルバンドらしい進化を遂げた。私のようなドラマーにとっては嬉しい要素だ。
メタルがやりたくて仕方がなかった自分にとっては、またとない好機だと思った。「下の階の住人が頻繁に引っ越す」の所でも話したが、私の練習は殆どがイメトレに近かった。しかし、ツーバスは、それではなかなか上達できない。実際に練習スタジオで繰り返し叩かなければ上手くはならないため、どうしても実際のバンドの中で練習をしたかった。
他校のH先輩の選曲は非常にレアで、どのメタルバンドもメタリカをカバーするのが主流だったが、メガデスやLaaz Rockitの「Fire in the Hole」、Paradoxの「Herecey」、Sodomの「Agent Orange」など、あまりカバーで聞かない曲を選んでいた。メガデスを除くと、かなり稀な選曲で、これをきっかけに私はレアなメタルを聞くようになり、デスメタルなども聞くようになった。これが、アメリカでの音楽活動に大きく影響を及ぼした。