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毎晩聞こえる銃声
この大学は、スラム街のど真ん中に大聖堂を建設し、その敷地内に大学の施設を立てている。
キャンパス内はいたって平和だが、敷地を出ると、急に治安が悪くなり、本当にスラムの街を歩いているかのような光景になる。
寮の入口には、毎週「行方不明者を探しています」という張り紙が、新しいものに更新される。それは、誘拐かもう既に息絶えてしまっているかという人が後を絶たないことを意味している。
それくらいの危険地帯なのだ。
寮にいると、毎晩のように銃声のような音が聞こえてくる。昔あった、火薬鉄砲のおもちゃのような軽い音なのだが、明らかに銃声だ。
その他にも、事件に巻き込まれるというニュースは、大学の新聞にも掲載される。
大学の体育館は、キャンパス内ではなく、キャンパスから一旦出て歩いていかなければならない。その道中で、バスケ部の5人が強盗に襲われたという。銃を突き付けられ金をとられたというのだ。
バスケ部のような体格の大きい人が5人もいるなら、反撃してしまえばいいのにと思ってしまうが、実は鉄則として、銃を向けられてお金を求められたら、すぐに渡すというのは鉄則。
全額とられるのを防ぐために、常にどこかに第二の現金を隠し持っておくように教えられた。
持っていなければ撃たれるかもしれないが、少しでも渡しさえすれば、撃たれる可能性も減ってくるというわけだ。