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恐れのない組織――心理的安全性がもたらす新たな可能性

エイミー・C・エドモンドソン著『恐れのない組織――「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす』は、心理的安全性という概念の「本家本元」による名著であり、現代の働き方に悩むすべての人に読んでほしい一冊です。


心理的安全性とは何か?――誤解を解く明快な定義

本書では、心理的安全性が「個人の資質」ではなく「集団の規範」によるものだと明言されています。この解釈は、従来の「心理的安全性=甘やかし」や「ぬるい職場」といった誤解を一掃し、むしろ「成果志向の環境」であることを強調しています。著者の明快な定義により、読者はこの概念を実践的かつ論理的に理解することができます。


恐れが組織を蝕む――失敗と成功の事例

本書の強みは、豊富な事例を通じて心理的安全性の影響を具体的に描いている点です。特に印象的だったのは、福島原発事故やフォルクスワーゲンのディーゼル不正問題など、恐れが引き起こした悲劇的な事例です。これらの例を通じて、「危険な沈黙」がいかに組織を崩壊させるかがリアルに描かれています。

一方、ピクサーやGoogleなど、心理的安全性を高めた成功事例も紹介され、恐れを取り除いた職場が生み出すイノベーションの可能性が説得力を持って伝えられます。これらのケースは、どのように恐れから解き放たれた環境が、学習と成長を加速させるかを実感させてくれます。


フィアレスな職場――未来をつくるための実践的ガイド

心理的安全性の概念を深めた後、本書は「どうすればフィアレスな職場をつくれるか」という実践的なステップを提示します。沈黙を避け、失敗を学びとする文化を育む具体的な方法は、リーダーだけでなく、全ての働く人にとって有益です。

第7章「実現させる」では、心理的安全性を職場に根付かせる方法について詳しく述べられています。ここでは、ただ理想を掲げるだけでなく、現実の職場にどう適用するかという視点が丁寧に解説されています。


読後の感想――行動の変革を促す力

心理的安全性に対する誤解や偏見を解消し、その本質を明らかにした本書は、読後に「自分も恐れを取り除いてもっと大胆に行動したい」という意欲を掻き立てられる内容でした。単なる理論書ではなく、職場や組織の中で即座に応用できる具体的なアドバイスが詰まっています。

特に、「心理的安全性が成果志向と矛盾しない」というメッセージは、現代の競争社会において重要な指針となるでしょう。学び、イノベーションを促進し、恐れから解放された組織文化を構築するための必読書です。

(この記事には、アフィリエイトリンクを含みます。)


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