坂口恭平原作・道草靖子漫画『生きのびるための事務』を読んで思うこと
坂口恭平さんの活動
坂口恭平さんは、前から気になっていた存在。
絵を描いたり、執筆したり、音楽を作ったり、自殺防止の電話相談をしたり、その活動は多岐にわたる。
今回初めて、彼の本を買って読んだ。
漫画作品ではあるけれど、坂口さんがいろんなことをどれか一つに絞らずにそれぞれで収入を得て生活している、お手本を示したような本だった。
物語の流れ
物語には「ジム」という、事務についてアドバイスをしてくれたり、自信がない時にモチベートするような言葉を与えてくれたりする人物が登場する。
本当の坂口さんの頭の中にいた人物だという。
(彼は「イマジナリーフレンドのよう」と表現している)
道草さんの絵が雰囲気があってどんどん読み進められる。
好きなことを仕事にする
好きなことを仕事にするって、本当に難しいと思っていた。
しかし、好きなことを仕事にして何とかなっている人が、私の周りにもいる。
彼らに共通して言えるのは、この本にもある通り、
「やり方」をきちんと勉強している、ということなのかもしれない。
(「やり方」=「事務」とこの本では記述されている)
もう一つは、行動力だ。
つまり、少しの勇気。プレゼン力。コミュニケーション能力。
この本の坂口さんは、とても行動力に満ちている。
それというのもジムの助言をもとに、
「やり方」を数値化したり、はっきりさせているから、
余計な邪念を排除して、自信を持ち、行動に移せているように見える。
「夢」ではなく「現実」を描け
この本で一番重要だと思うのは、
「将来の夢」ではなく、「将来の現実」を明確に描け、というところだと思う。
5年後、10年後、何を1日何時間して、どのくらいの収入を得ているか。
夢を思い描いて、
おぼろげに「なんか人から認められたい…」などというのは
あまり意味を持たないということだろう。
ぼーっと生きている人への特効薬
「ぼーっと生きてんじゃねぇよ」と、
自分に言い聞かせ続けてきたものの、
何から始めたらいいかわからなくなっている人に、
この本は助けになる気がする。
なにしろ「生きのびるための」である。
にっちもさっちも行かなくなった人に、
何が一番必要なのかと言ったら、
きっとそれは「言語化」「数値化」して、
「整理」して、「行動」に移すことなのだろう。
それを「事務」と呼ぶ。
私も、おぼろげな夢ばかり描いていないで、
「将来の現実」と「やり方」を見つけていく努力をすべきなのだろう。
そして行動に移さなければ。